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ロシア「停戦」守らず 軍立て直し狙いか~ウクライナの発表は真実か?~【日経新聞をより深く】

1.ロシア「停戦」守らず 軍立て直し狙いか

ロシア正教のクリスマス(7日)に合わせ、プーチン大統領が一方的に宣言した「一時停戦」が6日、始まった。停戦期間中もロシアは攻撃を続けた。ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は「これがロシアの停戦の本質。常に原始的で皮肉な欺瞞(ぎまん)に満ちている」とツイッターに投稿した。

一時停戦は6日正午~8日午前0時(日本時間6日午後6時~8日午前6時)の36時間だが、ウクライナ側は拒否している。ウクライナ政府や現地メディアによると、7日朝までの24時間にウクライナの7州で砲撃があった。東部ドネツク州では7日、要衝バフムトとその周辺で少なくとも民間人2人が死亡、5人が負傷した。

米シンクタンクの戦争研究所は一時停戦について「ロシア軍が前線での攻撃作戦再開に向け軍備を再編するため、36時間を確保しようとした可能性がある」と分析する。ウクライナ側が停戦に応じないことを見越し、「ウクライナの評判を傷つけることを意図した情報操作」とも指摘した。

米政府は6日、ウクライナに歩兵戦闘車「ブラッドレー」やりゅう弾砲など30億ドル(約4000億円)規模の追加武器供与を決めた。ウクライナのゼレンスキー大統領は「素晴らしいクリスマスプレゼントだ」とツイッターに投稿した。

プーチン氏は7日、「ロシア正教会は(ウクライナでの)特別軍事作戦に参加する私たちの戦士への支援を何よりも優先してくれている」とのコメントを発表。同会最高位のキリル総主教は「神の恵みにより真実が勝つことを願う」と述べた。

(出典:日経新聞2023年1月7日

ウクライナはロシアが停戦を呼び掛けたのに、それを破って攻撃してきたと発表しています。

2.ロシアの発表

ロシア側の発表は、ロシアは休戦を守っていたが、ウクライナ側が拒否し、攻撃をしてきたというものです。そして、ロシア側は休戦を守っている、ただ、一部反撃をしたと発表しています。

もちろん、これが正しいかどうかはわかりません。しかし、日本の報道は、一方的にロシアは悪、ウクライナは善というものです。

どちらの報道も見た時に、日本の報道はウクライナ政府や現地メディアによるととなっています。ということは、ウクライナの発表を丸呑みしますと宣言しているようなものです。最初から、ロシア側の発表を見るつもりはない。

そして、問題は「ロシアは悪、ウクライナは善」、だからロシアが嘘をついているという一方的な報道が、世界でも唯一正しい報道だと思わされる日本人が多いということです。

現在、侵略を受けている被害者ウクライナという見方は、全く正しくありません。だからと言って、ロシアがすべて正しいというわけではなく、言いたいことは、「ここに至るには、ここに至るまでの経緯があった」という事実を知る必要があるということです。

3.米国、西欧の考えがすべてなのか?

現状、日本で報道され、日本人が思い込まされているのは、ロシアは悪ということです。逆を言えば、ウクライナは善、そしてその背景にいる米国、西欧も善ということです。

これで本当に大丈夫なのだろうか?と思います。例えば、こんなオピニオンが出ています。

中国は近年、イランやベネズエラ、ロシアおよび一部のアフリカ諸国から、人民元建てで石油や液化天然ガス(LNG)の購入を増やしてきた。

欧州金融大手クレディ・スイスのアナリスト、ゾルタン・ポズサー氏は顧客向けメモの中で、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が昨年12月、サウジおよびアラブの主要産油国で構成する湾岸協力会議(GCC)の指導者たちと会談したことは、「ペトロユアン(ペトロ人民元)の誕生」を告げる場となったと指摘した。

ポズサー氏によると、中国はBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を含む多くの国々の脱ドル化を進める取り組みの一環として「世界のエネルギー市場のルールを書き換えようとしている」。背景には、ロシアによるウクライナ侵攻への制裁にドル建ての外貨準備が「武器」として使われるようになったことがあるという。

ルールを書き換えるとは具体的に何を意味するのか。まず第一に人民元建てで取引される石油が増えるということだ。習氏は今後3~5年でGCC諸国からの輸入を劇的に拡大させるだけでなく、「エネルギー関連のあらゆる側面での協力」を進めるとの考えを表明した。

それは、南シナ海などにおける共同での油田やガス田の探査や生産から、精製設備や化学、プラスチック生産への投資まで含む可能性がある。中国政府としては、25年にも中国とGCC諸国との石油やガスその他の貿易については、すべて上海石油天然ガス取引所をプラットフォームとして人民元建てで決済するようにしたいとしている。

このことは世界のエネルギー取引を大きく変えることを意味する。ポズサー氏が指摘するように、ロシア、イラン、ベネズエラは、石油輸出国機構(OPEC)と非OPECの主要産油国で構成する「OPECプラス」が保有する確認埋蔵原油の40%を抱え、3カ国とも大幅なディスカウント価格で中国に石油を販売している。OPECプラスの確認埋蔵原油のうちそれ以外の40%はGCC諸国、残り20%もロシアと中国の影響力が強い地域に存在している。

ペトロ人民元が台頭し、ドルを基軸通貨とする金融システムが衰退していくという見方に懐疑的な向きは、中国は米国ほど世界から法の支配も含め信頼されていないばかりか、基軸通貨としての流動性も欠如しているため、他の国々が人民元で決済したいと考える可能性は低いと指摘する。

確かにそうかもしれない。だが石油市場は米国より中国との共通点が多い国々が(少なくとも政治・経済の面では)大きな影響力を持つ。しかも中国は上海と香港の金取引所で人民元を金と交換できるようにし、いわば金融のセーフティーネットも提供している。

(出典:日経新聞2023年1月6日

ペトロダラーが崩壊して、ペトロ人民元が進む可能性も出ています。これは、ドル離れの傾向です。

ロシアによるウクライナ侵攻への制裁にドル建ての外貨準備が「武器」として使われるようになったことが指摘されています。つまり、世界的にはドルだけの外貨準備では、米国の意向に沿わない時は、すぐに外貨準備を凍結され、資産を没収されたも同然になので、危険であると見られているわけです。

しかしながら、日本はそんな流れには全く関心を寄せず、ひたすらドル経済圏の中で生き、世界最大の米国債の保有国です。世界は米国主導のウクライナ戦争をある意味、冷ややかな目で見ている中、日本ではウクライナ支援だけが叫ばれているのです。

米国主導の世界秩序に懐疑的な国は増えています。そして、ウクライナ戦争において中立的な立場をとり、どちらにも与しない、経済制裁にも参加しない国も数多くあります。

そろそろ、世界の状況を俯瞰的に見て、また、歴史的な経緯を勘案して、日本、日本人は自分の立場を自分の考えでとるべき時に来ているような気がします。

ウクライナの発表が必ずしもすべて真実ではないという見方も手にしておくべきではないでしょうか。

最後に、以下のRT(ロシアトゥデイ)の記事とFTの記事の両方を読むことをお勧めします。


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宮野宏樹(Hiroki Miyano)@View the world
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