米民主が州知事選で善戦 中間選挙、接戦州も死守~米選挙制度の信頼性は?~【日経新聞をより深く】
1.米民主が州知事選で善戦
決着がついたかに見えた米中間選挙ですが、当初から問題視されていたアリゾナ州知事選で裁判が行われています。
2.アリゾナ州知事選で何が起きているのか?
アリゾナ州の州知事選で問題となっているのは、マリコパ郡での投票です。投票日当日に投票危機の実に60%が故障し、投票ができなくなりました。故障の回復を待つ長蛇の列ができ、そのうち、待ちきれずに、投票をせずに帰宅する人が続出しました。
マリコパ郡には223か所の投票所があります。そのうち、132か所で投票不能となりました。
他にも疑わしいことが報告されていました。そこで、カリ・レイクは17,000票差で敗れたとされていますが、敗北宣言はせず、訴訟に踏み切ったのです。
彼女の訴えは10項目ありましたが、8項目は却下され、「投票危機の問題」と「チェーン・オブ・カストディー(保管の連鎖/管理記録)の不備」で裁判が行われています。
チェーン・オブ・カストディーという保管記録は必要な記録がなされておらず、存在していないことが判明しています。
また、投票機器の問題では投票機器ではなく、投票用紙が問題だったことも判明してきました。
今回の中間選挙でもかなりの郵便投票がありました。しかし、投票所に来る人は、郵便投票を疑っている人も多く、共和党の支持者が多いとされています。
有権者は投票所で本人確認をされた後、印刷された投票用紙を受け取ります。その投票用紙のサイズは20インチが正式なものです。ところが、印刷された投票用紙をアトランダムにチェックしてみると42.5%が19インチの物でした。前日にプリンターの設定を固定したものではなく、「用紙に合わせる」と変更していたのです。結果、サイズ違いの投票用紙が配られ、その用紙にマークして投票した人の投票はカウントされていないのです。
2年前の大統領選でも数々の不正の指摘があり、トランプ前大統領も訴訟を起こそうとしましたが、ことごとく却下されたという経緯がありました。
しかし、今回は候補者であるカリ・レイク本人の訴えにも関わらず、裁判が行われています。これは、2年前には無かったことです。
3.米国の選挙の信頼性は?
今回、裁判になっていることが事態がすごいことです。そして、この選挙は特殊な点がありました。
当選したとされるケイティ・ホッブス氏は州務長官です。州務長官は「その州の選挙の責任者」です。つまり、ホッブス氏は、自分が立候補した選挙を自分が責任者として管理監督していたということです。これ自体が利益相反ではないかとは、当初から言われていたことです。
裁判は結審するまで分かりません。しかし、今回争点となっている2点も証拠が出てきており、明らかにおかしい。
ここを曖昧にしてしまっては、米国の選挙の信頼性は、本当に地に堕ちる気がします。
また、カリ・レイクとその陣営は、アリゾナ州の選挙だけではなく、米国の選挙の信頼性そのものを守るためという大義の元に行動しています。そのため、決してあきらめることなく戦うでしょう。
ただ、相変わらず、大手メディアは報道しません。だから、日本の報道機関も報道しません。
しかし、イーロン・マスク氏によって、言論の自由を守り始めたTwitter上では、この問題は公然と広がっています。大手メディアよりも、TwitterなどのSNSの方が事実を掴みやすい。
来年、共和党が下院をコントロールします。米国の政治の流れがもしかすると、大きく変わってくるかもしれません。もし、変わらなければ、米国は混沌し、選挙そのものを信じなくなる人も増えてくるのではないでしょうか。
カリ・レイクやトランプ前大統領を「選挙否定論者」としているのが大手メディアをはじめとした既存勢力。しかし、選挙の信頼性を取り戻そうと戦っている側も決してあきらめることなく戦うでしょう。
この戦いはまだまだ続きそうです。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】