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【日経新聞から学ぶ】米消費者物価、8月8.3%上昇~日本および世界景気にも影響大~

1.米消費者物価指数は8月、8.3%上昇

米労働省が13日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.3%上昇した。ガソリン価格の上昇が一服し伸び率は2カ月連続で縮んだが、市場の予測を上回った。エネルギーと食品を除く指数の上昇率は6.3%で、前月から拡大した。賃上げの広がりを受けてサービス価格が上がっている。

米連邦準備理事会(FRB)は20~21日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。13日の指数公表後、FRBがインフレ抑制に向けて大幅な利上げを続けるとの見方が強まり、ニューヨーク外国為替市場で円相場は一時、1㌦=144円台後半まで下げた。発表前は142円前後で推移していた。

(出典:日経新聞2022年9月14日

The consumer price index increased 0.1 per cent for August, above economists’ expectations for a 0.1 per cent drop. Most worryingly for policymakers, core inflation — which strips out volatile items like energy and food — rose by 0.6 per cent for an annual increase of 6.3 per cent, compared with 5.9 per cent recorded for July.8月の消費者物価指数は0.1%上昇し、エコノミストの予想である0.1%の低下を上回った。政策決定者にとって最も心配なのは、エネルギーや食品など変動しやすいものを除いたコア・インフレ率が0.6%上昇し、7月の5.9%に比べ年間6.3%の上昇となったことである。

(出典:フィナンシャルタイムズ2022年9月14日

各種指標を見てみましょう。

まず、消費者物価指数(CPI)の上昇率です。

(出典:Trading Economics/米国インフレ率前年比

前月に続いて上昇率は低下しました。しかし、まだ、高い水準であることは間違いなく、事前の予想を上回ったことから、まだまだインフレがピークアウトと見るには早いと市場は見ているようです。

次にエネルギーと食品を除くコアCPIの上昇率です。

(出典:Trading Economics/米国コアCPI上昇率前年比

変動率の激しいエネルギーと食品を除いたコアCPIは上昇しています。特にサービスのインフレ率が上昇しています。次にそのサービスのインフレ率を見てみましょう。

(出典:Trading Economics/米国サービスインフレ率対前年比

サービスのインフレ率が上昇している主な要因は、サービス価格の大部分を占める家賃の上昇です。その家賃の上昇率を見てみましょう。

(出典:Trading Economics/米国家賃インフレ対前年比

8月の家賃の上昇率は6.2%と約32年ぶりの上昇率です。

最後に対前月比の消費者物価指数(CPI)の上昇率を見てみましょう。

(出典:Trading Economics/米国インフレ率前月対比

2.米国の利上げ9月0.75%は確実

「9月1%利上げ」予想も
FOMC参加者の多くは9月の利上げ幅について具体的に言及していないが、ウォラー理事とセントルイス連銀のブラード総裁はCPI公表前の段階で0.75%の利上げを支持する意向を示していた。CPIの結果を受け、米ゴールドマン・サックスなど金融大手は相次ぎ利上げ見通しを上方修正。多くは0.75%の利上げを確実視しており、米国野村証券のような1%の利上げ予想も出てきた。

中略

6月段階の見通しは22年末が3.4%、23年末が3.8%だった。9月に0.75%の利上げを実施すれば、年内に会合を2つ残して政策金利が3.0~3.25%に達するため、上方修正は必至だ。金利先物から算出する「Fedウオッチ」は年内にも4%を超える予測になっている。政策金利が4%を超えればリーマン危機前の08年1月以来となる。

9月に0.75%の利上げを実施すれば、3月にゼロ金利政策を解除してから半年で利上げ幅が3%に達する。現行の金融政策で目標にしているフェデラルファンド(FF)金利がこのペースで上昇すれば1981年以来だ。

(出典:日経新聞2022年9月14日

8月の消費者物価指数(CPI)の上昇率を内訳まで見てみると、決してピークアウトしているとは言えません。特にコアCPIの上昇は懸念されます。モノやサービスの価格は上昇しています。中でも家賃の上昇は記録的となっています。まだ、全体の上昇率が下がったといっても、中身はまだまだピークアウトとは言えそうもありません。

Steven Blitz, chief US economist at TS Lombard, said Tuesday’s data combined with rising wages and a tight labour market meant the Fed was “not going to produce the soft-landing fairy tale”. He added: “The Fed has better odds of rolling a hard eight than engineering a soft landing.”
TSロンバードのチーフエコノミスト、スティーブン・ブリッツ氏は、火曜日のデータが賃金上昇と労働市場の逼迫と相まって、FRBが「ソフトランディングのおとぎ話を生み出すつもりはない」ことを意味すると語った。さらに、「FRBはソフトランディングさせるより、ハードエイトさせる確率の方が高い」とも語った。

(出典:フィナンシャルタイムズ2022年9月14日

米経済のソフトランディングよりもハードランディングの可能性が高そうです。

3.日本および世界への影響


日本への影響としては、特に円安の促進が懸念されることです。また、円安が促進されれば、貿易収支が悪化し、それがますます円安要因となっていきます。9月のFRBの利上げの0.75%は確実、1%の声も出ています。万一、1%となると、さらなる円安、もしかしたら、150円となるかもしれません。

世界的にはドル高が続くことで、新興国の財政が懸念されます。また、ユーロ安も促進されるでしょう。そうなると、EU圏の輸入物価は上昇し、インフレの加速要因となり、EU圏のますますの深刻な景気後退が懸念されます。

いずれにしても、市場予想よりも高かったことは、日本および世界の景気後退への懸念を高めたといえるでしょう。

未来創造パートナー 宮野宏樹

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宮野宏樹(Hiroki Miyano)@View the world
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