ゼレンスキー氏「支援は民主主義への投資」 米議会演説~最終激突は近い~【日経新聞をより深く】
1.ゼレンスキー氏「支援は民主主義への投資」
ウクライナのゼレンスキー大統領が米国を電撃訪問し、支援を訴えました。そして、バイデン大統領から追加支援を引き出しています。
2.ロシアはどう考えているか?
ロシアのショイグ国防相は、ウクライナでの戦場の最前線にNATOのスタッフや専門家がいること、さらに加盟国から約1,000億ドル(約13兆5,000億円)相当の武器や物資が約束されていることを指摘しています。
そして、「ロシア軍は現在、西側諸国の連合軍に直面している」「米国とその同盟国はキーウ政権に武器を供給し、兵士を訓練し、情報を提供し、アドバイザーと傭兵を派遣し、我々に対して情報戦と制裁戦を仕掛けている」とモスクワで開かれた最高軍令会議で述べています。さらに、NATOの将校、砲兵隊員、その他の専門家が戦闘地域内に存在しているとも語っています。
もはや、ウクライナ軍ではく、NATO軍がこの戦いの中心であると思って間違いないのではないでしょうか。
ゼレンスキー大統領は演説が上手い。そして、演出が上手い。ただ、巨額の支援を求め、それで戦争を継続するということを自ら決断し、自ら実行しているのか?という点に非常に疑問が残ります。
そして、なぜ米国やNATOはこれほどまでに、対ロシアの前線にウクライナを立たせようとするのか。ロシア側の主張を聞いていると、決して、ウクライナ全土を占領しようという意図はなく、ウクライナから虐待を受けていた地域の人々を救うためだと主張しています。そして、NATO側が約束を破って東方拡大をしてきたのだ、とも。
つまり、ウクライナがNATOに加盟せず、中立を保ち、そして、ロシア側が虐待を受けていたという地域をロシアへ編入することを許せば、終戦するはずです。
プーチン氏は「米国が自分たちの国の傍にやってきたのだ。自分たちが行ったわけではない。ロシアがメキシコにミサイル配備するといっているのではない。米国がロシアの国境にミサイルを配備すると言ってきているのだ。私たちから米国に出かけて行ったわけではない」という趣旨の発言をしています。
それは、本当にその通りだと感じます。そして、疑問は「釣り合わないことです」。何が釣り合わないのかというと、ゼレンスキー大統領の固執する問題がウクライナ国民の犠牲に釣り合わないのです。
ウクライナ国民の人々は、国を離れています。50%の電源が喪失し、水や暖房も立たれれば、暮らすことはできません。その状況でなお、強硬に主張を曲げず、多くの犠牲を厭わない姿勢は、「戦争を継続しなければならない理由」が存在しているように感じます。
戦争ではなく、ロシアが併合を主張している地域の人々が本当にロシア編入を住民投票で決定したのであれば、ゼレンスキー大統領が主張していることは、住民の意思に反します。もし、そこがロシアの強硬姿勢によって、無理やり導かれた結論であるというならば、再度実施すればよいのではないでしょうか。(これは、イーロン・マスク氏も以前に指摘していました)
既にウクライナ軍ではないほどNATO軍になっている状況です。万が一、ウクライナ有利で戦争を終えたとしても、NATO加盟国と米国の支配下となり、自由はなくなるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
3.最終激突は近い
この段階で、ゼレンスキー大統領が追加支援を米国にまで向かって訴えたのは、ロシアによる大規模攻勢を意識してのことでしょう。また、それを支援する米国、NATOとしても、大幅な支援強化が必要ですから、その演出にゼレンスキー大統領の米国訪問を演出したと考えるのが、妥当だと感じます。
つまり、ゼレンスキー大統領単独のアイディアなどでは決してなく、米国もNATOもこの演出を必要とし、特に民主党はこの演出に乗って、ゼレンスキー大統領を賛美することで、追加支援の理由としなければならない事情があるということです。
恐らく、ロシア軍の準備に対して、相当な危機感があり、それに対抗するための措置を必要としています。なりふり構っておられない米国とNATOは、武器だけなく、人も派遣しています。ウクライナ軍が戦っているのではなく、NATO指揮下のウクライナ軍+傭兵が戦っていると思われます。
以前より、冬にロシア軍が大攻勢をかけることが予想されていましたが、いよいよそれが、間近に迫っているということの表れが今回の電撃訪問だったと考えます。
この冬、ウクライナがNATO軍とロシア軍の最終激突の時となりそうです。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】