【日経新聞をより深く】中国、「政策不況」脱却に時間 7~9月GDP3.9%増~世界は同時不況に~
1.中国、「政策不況」脱却に時間 7~9月GDP3.9%増
新指導部が発足した中国ですが、遅れていた経済成長率の発表がありました。しかし、伸び率の鈍化は鮮明です。
その要因の筆頭は、ゼロコロナ政策です。感染が出た地域はその都度、行動制限となり、外食、娯楽などのサービス業が打撃を受けています。9月のサービス業生産指数は前年同月比1.3%の上昇と、上海ロックダウン解除後の6月以降も1~2%の低空飛行が続いています。
1~9月の不動産開発投資も前年同月比8.0%低下。さらに9月の失業率は5.5%と8月から0.2ポイント高くなっています。
2.中国経済の現実
7~9月はドル建てで前年同月比10.1%増と、増加率は4~6月の12.5%から縮まりました。
9月は5.7%と伸び率の鈍化が目立つようになってきました。
とりわけ主要な輸出相手国である米国向けが2年半ぶりの減少に転じています。米国での利上げで需要が伸び悩んでいます。7~9月の米国向け輸出は2.0%減少しています。
7~9月の輸入は前年同期比0.9%増にとどまりました。上海のロックダウンで失速した4~6月(1.6%増)よりも鈍りました。国際商品市況の高騰で値上がりした原油を除くと2.6%減となり、2四半期連続で前年同期を下回りました。
また、新築物件価格の下落も鮮明です。中国国家統計局が24日に発表した2022年9月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落したのは全体の77%にあたる54都市で、8月から4都市増えました。住宅市場の混乱が長引き、購入を見送る人が増えているようです。北京、上海、広州、深圳の「1級都市」に限っても9カ月ぶりにマイナスとなりました。
前月比で上昇したのは15都市で、8月から4都市減りました。横ばいは1都市でした。各都市平均の下落率は0.3%で、8月とほぼ同じでした。13カ月連続で前月を下回っています。前年同月比では2.3%下落し、15年8月以来のマイナス幅です。
3.EU圏、米国も不況へ向けて
EU圏はPMIが悪化しています。
米国ではPMIの発表があり、総合が47.3と前月から2.2ポイント低下。好不況の節目である50を4か月連続で下回りました。製造業の指数は2年4か月ぶりに50を割り込みました。サービス業の指数も46.6と前月比2.7ポイント低下しています。
米国の景気は10月に入り、急速に悪化しているように見えます。前々から予測していたように、景気指標にも景気悪化の兆しがはっきりと見えてきました。
中国が景気悪化、EU圏が景気悪化、そして米国も景気悪化。IMFが2023年は世界の1/3が不況となると予測していましたが、現実化してきました。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】