1.欧州でストの連鎖止まらず
欧州では高いインフレに市民の不満が爆発しています。賃金が上昇したとしても、それ以上のインフレでは実質賃金は目減りです。欧州の実態を見ておきましょう。
2.ヨーロッパ各国のインフレと賃金
名目賃金とインフレ率を比較すると、インフレ率の方がかなり上回っています。しかも賃金の伸び率は鈍化しています。これは、コロナからの回復期が終わりを迎え、不景気に突入しようとしているからと思われます。
上記はフランスの賃金とインフレの関係を表したグラフですが、一目瞭然で賃金の伸びをインフレ率が上回っていることが分かります。
上記はドイツの名目賃金と実質賃金です。激しいインフレに見舞われ、名目賃金は上昇していても実質賃金は大きく下落しています。
3.英国は史上初の看護師のストライキ
記録的な物価上昇を続ける英国では、看護専門職の労働組合「王立看護協会(RCN)」が、史上初となるストライキの実施を決定しました。
英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」は11月15日、WEBサイトにRCNのツイートを掲載。ストは年末に開始され、来年5月まで続く予定だと明らかにしています。
看護師たちの給料は実質で昨年と比較して5,000ポンド(約83万円)減少していると言われています。ストライキにまで発展しているのは職員の3人に1人が自宅の暖房代や家族の食費を賄えない現状があるかだとされています。
看護師といえども生きていかなければならず、現在のインフレは暮らしを脅かす状況であることは間違いなさそうです。
ヨーロッパは、高インフレ、しかし不景気。そして実質賃金の減少という市民にとっては非常に苦しい事情になっています。
ヨーロッパ各国でまだまだストライキは頻発するのではないでしょうか。
ヨーロッパは非常に厳しい経済状況、そして、それが政治の不安定化をもたらしそうです。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】