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NTT、インドに年600億円投資 データセンターなど拡張~インドへの投資が広がる~日経新聞をより深く

1.NTT、インドに年600億円投資 データセンターなど拡張

NTTは20日、数年にわたってインドに年5億ドル(約600億円)を投資する方針を明らかにした。国連によるとインドの人口は23年に中国を抜いて世界一になる見通しで、経済成長でデジタル消費の拡大が見込める。データセンターの電力容量を約2倍にするなど、デジタルインフラを増強する。

NTTはインドをアジアの最重要市場に位置づけ、21年と22年に計8億ドル以上を投じた。データセンターは新たに9カ所建設し、電力容量を約2倍の300メガワットにする。23年にはムンバイとチェンナイに海底ケーブルの陸揚げ局を設置する。

国内市場は人口減少や携帯電話の通信料値下げで成長が鈍化するため、NTTは海外事業の拡大を急いでいる。22年10月にはグループの海外事業を統括する新会社をNTTデータの傘下に設立した。

(出典:出典:2023年1月21日)

2.インド経済


人口14億人台のインドは2023年に中国を抜いて人口世界一になる見込みです。さらに、15歳から64歳の生産年齢人口は、9億5000万人と総人口の7割弱を占めます。

(出典:graphtochart.com
(出典:graphtochart.com

消費市場としても、生産拠点としても中国に次ぐ潜在力があります。国際通貨基金(IMF)は、27年には国内総生産(GDP)で日本を抜き、世界3位になると予測しています。国際協力銀行が22年12月に発表した国内製造業の海外投資調査では、今後3年程度の間に事業展開が有望な国・地域を問う設問で、インドが中国を抜いて首位に立ちました。

インドの自動車市場で5割近いシェアを誇り、日本企業のインド進出の最大の成功例とされるスズキは、新工場を25年から稼働、新工場で100万台の生産を目指します。同社の年間生産能力は現在の年225万台から大幅に拡大する見通しです。インドは世界最大級の人口を抱える割には自動車の保有率は3%程度と低く、非常にポテンシャルがあるとみられています。

楽器メーカーのヤマハは17年、南部チェチェンに工場を着工、19年から本格生産を始めています。インドの打楽器「タブラ」や弦楽器「シタール」の音色を奏でるインド専用モデルのキーボードを開発し、売り上げを伸ばしています。インドでは高度成長期の日本のように西洋式のピアノを習いたいという人たちが増えており、音楽教室が盛況なことも楽器需要の増加につながっているようです。

中東やアフリカなどの新興国への製造・輸出拠点としての潜在力の高さもインドの注目ポイントです。インドで生産するスズキの自動車の15%がアフリカ、中南米、中東などに輸出されています。インド工場では日本流の改善活動が根付いており、品質は既に日本の工場と肩を並べているといわれています。実際、世界戦略小型車「バレーノ」が16年~20年まで日本向けに輸出、販売されています。

ヤマハも同様に、インド工場を「地産地消」の観点だけでなく、中東、アフリカ地域へ製品を輸出するゲートウェイとして期待しています。これらの地域と、特にインドの南部地域は古くからの文化的な共通点があるためです。

インドのさらなるメリットは、英語でコミュニケーションができる環境です。オフィスで勤務するスタッフは英語でやり取りし、文書も英語で作成します。工場の中でも、労働者間では現地の言葉による会話はあるようですが、英語が公用語で業務のしやすさにつながっているといわれています。

「世界の工場」と位置づけられてきた中国が、米中対立から地政学リスクが高まっており、リスク分散の観点からも、インドでの「ものづくり」は有効です。

国際協力銀行の調査でも、インドへの投資を検討する企業が従来、課題に挙げてきた「法制の運用が不透明」「税制システムが複雑」との回答が減少し、政府による行政改革の成果が評価されています。「インフラが未整備」との課題も、13年度には約60%の企業が挙げましたが、今回の調査では32.8%まで減少しています。

新型コロナの影響で、足元では日経企業のインド進出の動きは一服しています。ジェトロによる22年のインド進出日系企業調査で、06年の調査開始以降初めて、進出する日系企業が減少に転じたほか、拠点数は3年連続の減少となりました。日本企業の中には運営を現地に任せて職員を引き揚げたり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により事業所を統廃合する動きがありました。しかし、これらも一時的な要因であるとの見方が大半です。

アジア・オセアニア地域を対象に行った22年の調査では、インドでの事業を拡大すると回答した企業は7割超に達しました。中得への追加投資とインドを比較した時に、有力な選択肢としてインドが挙がってきています。

3.インド市場の落とし穴

ただ、インドには他の新興市場とは違う難しさがあるようです。それは、大国意識です。歴史を紐解けば、インドで生まれたヒンズー教の神々は、日本では七福神の中の3神となるなど周辺地域に影響を与えました。帝政ロシア、旧ソ連などとの関係が強く、第二次世界大戦後の閉鎖的な経済中でも貧しいながら自立してきました。こうして培われた大国意識がビジネスに影響を及ぼしているのです。

日系企業が日本式のマネジメントを推進しようとすると、東南アジアと同じとはいかないようです。東南アジアでは政府も民間も日本企業が言った通りにやってくれます。しかし、インドでは「自分たちは、こう考える」という主張が強く、プロジェクトが進まないことがあるようです。インドに進出する上ではインド人の気質や習慣、文化などを理解することが何より重要なようです。

ただ、お互いの良いところを補完しあえば、強い製造業、産業が生まれてくるかもしれません。

今後、日本をはじめ、世界が注目するインド市場です。日本も乗り遅れないように。そして、新たな世界経済の在り方を見据えていかなければなりません。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】

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