【日経新聞をより深く】習近平氏、異例の3期目確定 李克強氏・汪洋氏が退任~これから中国はどう行動するか~
1.習近平氏、異例の3期目確定
習近平氏が党トップの3期目入りを決めたと報道されています。ここで気になる点を3点考えてみたいと思います。
2.胡錦涛前国家主席の途中退席
世界にこの映像が流れました。異様な光景と見えてしまいます。公の場で前国家主席が公式な発表もなく、促されて途中退席。
新華社通信のツイッターでは健康不安がツイートされていましたが、実際には公式発表はないようです。AP通信(https://onl.tw/w1HXYDW)では「微博(ウェイボー、Weibo)で「胡錦濤」と検索しても、22日午後の投稿は当局の厳しい検閲を受けているとみられ、最新の検索結果は21日以前のものや党の投稿しか表示されなかった。」と報道されています。
今回の党大会には、江沢民氏は欠席しています。習近平氏と反習近平の内紛があったのでしょうか。今後の胡錦涛氏の処遇には注目が集まりそうです。
ただ、李克強首相は退任となり、権力争いに敗れたことがはっきりとしました。習近平国家主席は権力を集中させることに成功したとみられます。
3.台湾進攻はあるのか
日本にも大きな影響があるのが、中国による台湾進攻です。最も中国からすると、祖国統一ということで、「内政」であるということだとは思います。
米海軍の作戦部長の発言は根拠なくとも思えません。今回の党大会で、半ば公約として掲げてもいます。今回、習近平国家主席にさらなる権力の集中が起きているとすると、習近平氏の決断一つですぐにでも侵攻が起きるのかもしれません。
4.異例の主要経済指数発表の延期
中国政府は、10月18日に予定していた、7月から9月までのGDPの発表を延期しています。国の重要な経済指標の発表が延期されるのは極めて異例です。
この発表の延期はGDPだけなく、主要都市の住宅価格、貿易統計についても延期されています。党大会に際して、「悪い経済事情」を発表したくない意向が働いたとみる向きが広がっています。
習近平国家主席の考え方の中には「経済」よりも「統制」があるように感じます。景気の上昇を第一に考えた場合には、ゼロコロナ政策を徹底することは世界の潮流に逆行しており、経済にとってはマイナスです。しかし、その看板は下ろしそうもありません。
また、ハイテク企業への統制を強めていることも経済にはマイナス。また、不動産バブル抑制のための金融規制に端を発した住宅市場の低迷への政策も金利の引き下げを行っている程度で、有効な政策は他には出ていません。
権力を強めた習近平国家主席の方向性は「改革開放」ではなく、「統制」。中国経済の低迷、それも不動産バブル崩壊による巨額の不良債権を抱えた経済低迷が現実になる可能性が大です。
新しく誕生する中国の新指導部の人事がバランスやチェック機能が失われたとすると、今後ますます独裁への道を進むかもしれません。最も懸念されるのは、経済の低迷から国内の不満を逸らすために、台湾侵攻を早めることではないでしょうか。
香港も50年の一国二制度の約束を無視して、一国二制度は形骸化しました。次は台湾。これは、近いのかもしれません。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】