【日経新聞をより深く】住宅市場が世界で変調 北欧1割安、東欧金融不安の兆し~次の金融危機は住宅市場発~
1.住宅市場が世界で変調
世界的に住宅価格の下落が始まりました。新型コロナウイルスの感染拡大による経済の変調を救うための世界的金融緩和の反動です。インフレ抑制のための金利の上昇は世界中で住宅ローン金利を上げ、住宅販売の不振、そして住宅価格の下落へと続いています。
2.各国の指標
米国の指標
米国はインフレ率は多少下がったとはいえ、2020年半ば以降、急激に上がったため、政策金利を引き上げました。その結果、住宅ローン金利が上昇し、住宅価格上昇率が急激に下落しています。それにしても、パンデミック以降の住宅価格の上昇率は異常です。
カナダの指標
カナダもインフレ率が上昇したため、政策金利を引き上げ、結果として住宅価格の上昇率が下落しています。カナダもパンデミック以降の住宅価格の上昇はまさにバブルです。
ニュージーランドの指標
ニュージーランドも急激なインフレに襲われ、政策金利を引き上げています。結果として、住宅価格の下落が始まっています。
スウェーデンの指標
スウェーデンもインフレ率が急上昇して、政策金利を引き上げています。スウェーデンはパンデミック以降の急激な住宅価格の上昇というわけではありませんでしたが、やはり上昇はしていました。ずっと伸びていた住宅価格が急激に下落を始めています。
韓国の指標
韓国も急激にインフレ率が上昇し、政策金利を引き上げ。住宅価格はピークを迎え、下がり始めています。
日本の指標
日本は世界の中でも異例です。金融緩和は異次元で実施していますから、インフレ率は上昇してきました。しかし、政策金利は-0.1%のまま変更しませんから、住宅価格の上昇には歯止めが掛かっていません。今後、住宅金利が上昇することがあると、一気に下落するでしょう。
3.2023年は世界の住宅価格のバブル崩壊になる
世界のインフレ率、政策金利、そして住宅価格を見てみると、パンデミック以降の超金融緩和で、住宅価格は異常な上昇を見せました。しかし、インフレ率が上昇し、各国は金融引き締めに転じ、住宅価格は下落し始めています。
まだ、下落は始まったばかりで、今後は世界的な景気後退の懸念からますます住宅販売の不振が予想されます。しかし、戦争という特殊な要因もあり、エネルギー、食糧の価格は簡単には下がりそうもありません。したがって、インフレ率も急降下というわけにはいかなそうです。
世界中で起きた異次元の金融緩和が逆の金融引き締めに世界中一斉に向かっています。(除く中国、日本)世界中で住宅価格のバブル崩壊が起こるでしょう。
IMFは2023年、世界の1/3が不景気になると予測しています。戦争も長期化しそうです。次の金融危機の引き金を引くのは、世界的な住宅バブルの崩壊になるかもしれません。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】