ブルキナファソ、フランス軍に撤退を命令~西アフリカではロシアが影響力を~【日経新聞をより深く】
1.ブルキナファソ、フランス軍に撤退を命令
ブルキナファソは西アフリカに位置する内陸国です。
60以上の部族で構成され、宗教は伝統的宗教(57%)、イスラム教(31%)、キリスト教(12%)を信仰しています。元はフランスの植民地の一つで、1960年にオートボルタ共和国として独立しました。1984年に現在の国名の「ブルキナファソ」に改称しています。
政府によって公式に認められている先住民族の言語は60語が確認されており、最も一般的な言語であるムーア語は、人口の半分以上から使用されています。
ブルキナファソは世界でも最も貧しい国の一つで、国連開発計画(UNDP)による人間開発指数(HDI)では、189カ国中182位(2020年度)と最下位近くに位置しています。天然資源が限られエイルブルキナファソでは、生産人口の80%以上が農業に従事していますが、気候変動の影響を受けやすい地域での農業中心の経済は、不利な状況に置かれています。主な農作物は綿、とうもろこし、タロイモなどで、中でも綿は貴重な外貨収入源となっています。
2.ブルキナファソは2022年だけで2回のクーデター
ブルキナファソは2022年だけで2回のクーデターが起きました。そして、その背景には旧宗主国フランスに代わってロシアの影響力が増しているといわれています。同じくフランスを旧宗主国とするマリではすでにフランス軍は撤退し、ロシアの民間軍事会社であるワグナーグループが活動しています。マリの暫定政権はワグネルグループに治安維持を依頼したとされています。
ブルキナファソは2015年からイスラム過激派が台頭し、これまでに数千人の民間人が殺害されたとされています。前政権で大統領だったダミバ氏も、中佐だった2022年1月に治安悪化を理由にクーデターで実験を奪取した経緯があります。2022年9月のクーデターではトラオレ大尉がイスラム過激派対策に失敗したとして前大統領のダミバ氏を追放しています。
トラオレ大統領は「テロとの戦いを支援する用意のある他のパートナー」と協力する意向を表明しており、フランスではなく、ロシアを協力者とすることを示唆していました。デモでは「ロシアとブルキナファソ協力万歳」「フランスは出て行け」などと叫ばれていました。
3.西アフリカではロシアの影響力が拡大
西アフリカは元はフランスの植民地であった国がほとんどです。しかし、治安が悪化しており、その治安悪化をフランス軍は抑えることができず不満が噴出。フランス軍は撤退することが増えています。
その代わりに治安維持にあたっているのが、ロシアの民間軍事会社「ワグナーグループ」です。ワグナーグループは、ウクライナでも前線に出て、戦況を改善しています。
国連総会でロシアがウクライナのドンバス地方で行った住民投票が避難されたとき、アフリカ諸国の多くは非難決議に棄権、または欠席を選択しました。それだけ親ロシアが広がっているということです。
私たち日本人は、ロシア悪という見方しかありませんが、ブルキナファソを始めとするアフリカ諸国にとっては、フランス悪、ロシア善ということです。もちろん、このような単純な図式ではないでしょうが、少なくとも、ロシアに悪感情は抱いていないのです。
ロシアは独自に世界での影響を広げています。一方的にロシアが悪と見ている、あるいは報道し続けている日本の在り方は見直されるべきではないでしょうか。
一方的な見方に非常に違和感を覚えます。フランス軍が撤退し、ロシアが治安維持に貢献しているという見方でもできるわけです。
世界最貧国の一つであるブルキナファソ、奪われ続けた歴史から発展の歴史へと進んでほしいと願います。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】