コロナ、米エネルギー省「中国研究所から流出」 米報道~コロナの起源はどこなのかに日本は関心低い~【日経新聞をより深く】
1.コロナ、米エネルギー省「中国研究所から流出」
米国では今、コロナの発生源について再び、議論が沸き起こっています。上記日経新聞の元となっているのは、ウォールストリートジャーナルです。その記事を以下、二つ翻訳しておりますので、ぜひ、ご一読下さい。
2.武漢研究所流出説とは?
武漢には中国科学院のウイルス学研究所があります。武漢ウイルス研究所は1956年に微生物研究所として設立されました。1949年に共産党が中国全土を支配して中華人民共和国を建国して以降、中国で設立された同種の研究所のなかで最も古いものの一つです。
施設では、微生物及び病原体の実験研究がなされています。「BSL(バイオセーフティレベル)4」という最高度の安全性を誇り、世界に存在する最も危険なウイルスを取り扱うことが許されている。この研究所の研究者が、人間の細胞に感染する力のあるハイブリッド型のコウモリウイルスのを作製したことが知られています。
この研究がなされていたということと、武漢がコロナの震源地になったことで、武漢研究所流出説が流布されるようになりました。
中国は研究所からのコロナウイルス漏出について苦い経験があるのは事実です。中国では2002年にSARSが発生しました。SARSの流行は1年足らずで終息しましたが、北京の国立ウイルス学研究所では終息後もSARS-CoVの研究が続けられていました。2004年、その研究所で大学院生と研究員がそれぞれSARS-CoVに実験室内で感染し、それが市中感染に発展してしまいました。死者も出て、600人もの接触者が隔離されることとなりました。
幸いこの時は、事態は迅速に収拾され、パンデミックになることはありませんでした。しかし、もし伝播力の強いウイルスであれば、違う結末があったかもしれません。武漢の研究所からの漏出説の背景には、このような出来事もあります。
武漢の研究所で感染した研究者から感染拡大が起こったということも否定はできないということです。
今回、米エネルギー省が2021年の資料をアップデートして、武漢研究所からの漏出を断定しているのは、それだけの裏付けがあったからでしょうか。そこは機密情報となっており、今後の展開を待たなければわかりません。
3.コロナ起源には、日本は関心が低い?
世界の人々の暮らしを一変させたコロナ・パンデミックです。米国ほどの死者がない日本では、米国ほどのコロナ起源への関心が低いと感じています。日経新聞の報道もわずかです。
しかし、ウォールストリートジャーナルの記事にもありましたが、「次のパンデミックを防ぐ」ためにも、今回のコロナ・パンデミックの起源を特定することは大切ではないでしょうか。日本では自然発生説以外は、陰謀論として相手にされていない感がありますが、それで良いのか?という気はします。
心配な点は、日本政府もメディアも武漢研究所漏出説に、触れないのは、「中国への忖度」ではないかという点です。もちろん、いたずらに対立を深める必要はありません。しかし、国連の調査に対しても中国の研究の元となるデータは公開していません。それでは、中国の調査結果を信じることはできません。
真実の追求に関しては、しかるべき態度で臨むべきではないでしょうか。武漢研究所漏出説があるのも、科学的根拠をもった調査が為されていないからであり、そこに世界が真剣に向き合わなければならないと思うのです。
しかし、そこは米国任せ。トランプや一部の陰謀論者が持論を振りかざしているという姿勢が見えてきます。
ここは、メディアもしっかりと報道して欲しいと願います。対立を望むのではなく、建設的な未来のためにです。
未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞から学ぶ】