![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/123128490/rectangle_large_type_2_691d9071e82ed155bc4b498b4545c890.jpeg?width=1200)
世界は変わる、いや変わったのか。
私たち日本人は、世界の変化を感じているでしょうか。
UAEが米ドルでの石油取引を止めるという記事が出ました。
上記の記事より詳しい内容を私はまだ掴んでいないのですが、これが事実であり、実際に起きてくれば、世界は変わります。
そして、これが既に決定的なことだったとすると、世界は「変わった」ということになります。
基軸通貨ドルは、米国の強さの源泉であり、世界はこの金融システムを中心に回っていました。1944年のブレトンウッズ体制スタートから1971年までのニクソンショックで金とドルの交換が停止されるまで、ドルは金兌換紙幣であり、金をバックにした基軸通貨でした。
1971年から1973年までのスミソニアン体制を経て、1973年からは変動相場制へと移行したドルは、その価値の担保を原油に求めました。
2023年11月29日、米国元国務長官のキッシンジャー氏が亡くなりました。キッシンジャー氏は金とドルの交換停止以降のドルの価値の担保を原油に求め、そしてその仕組みを作り上げた人物です。キッシンジャーは金とドルの交換を停止したドルの価値が下落することを防止するために、サウジアラビアに飛び、サウジとの密約によって、原油の決済はドルで行うということを実現させました。中東の産油国はサウジに続き、原油の決済はドルで行うことを決定していきました。これをペトロダラーと呼びます。
以来、今日までドルが基軸通貨であり続けた理由はキッシンジャー氏が作り上げたペトロダラーシステムがあったからです。
そのキッシンジャー氏が亡くなるのと時を同じくして、中東の産油国であるUAEがドルでの原油の取引を停止するという「ペトロダラー崩壊」の出来事を発表しました。
米国は基軸通貨ドルを維持することで、経常赤字国でありながら、国力を維持し続けてきました。
①経常赤字の米国があるということは経常黒字の国があります。
②経常黒字の日本は、黒字は出ていますが、貿易のために外貨準備としてドルを持ちます。
③結果、貿易黒字国はドル、又は米国債を購入することとなり、マネーは米国に還流します。外貨準備のマネーはFRB、米銀に預金されているからです。
④米国はその預金されたマネーを利用して経済を回していきます。
これが延々と繰り返されているので、日本は米国債の保有量がとてつもなく大きくなりました。その額1兆1000億ドル。
しかし、ウクライナ戦争でこのペトロダラーシステムに崩壊の足音が聞こえてきます。原因は米国によるロシアへの経済制裁でした。米国はロシアの外貨準備3000億ドルを凍結しました。なぜ、それができるのか。それは、外貨準備はFRBに預託されているからです。
そのことを見た世界、特にBRICSや産油国は、悟りました。
「米国の意に沿わないことをすると、外貨準備は簡単に凍結される。ドルで外貨準備をするのは危険だ。米国の意図することに反することはできない国になってしまう」
ここから、脱ドルの動きが加速したと思われます。
そして、UAEの石油の販売を米ドルで行うことを停止するという報道です。これが現実なら、ペトロダラーシステムの終わりを意味し、基軸通貨ドルの終わりの始まりになる可能性が大です。
そして、2024年1月から拡大するBRICS。オリジナルメンバーである5カ国に加え、アルゼンチン、イラン、エジプト、エチオピア、サウジアラビア、UAEの6カ国が加わり、影響力が拡大します。
この11カ国に加え、まだ加盟申請している国があり、その中にはベネズエラもあります。ベネズエラは原油の埋蔵量が世界一です。原油に関する主導権は完全にBRICS側にシフトしていきます。しかし、その決済がドルであれば、米国の地位はそれなりに保たれたかもしれません。しかし、決済にドルを使用しないということは、米国は蚊帳の外です。
2023年8月にはBRICSサミットが開かれ、そこでは、貿易には自国通貨の利用を促進する旨の発表もありました。しかし、これには既に課題も出ており、自国通貨よりもむしろ、「共通通貨」の議論が今後高まっていくだろうと、予測します。
その理由は、ロシアとインドでの原油決済で表立ってきました。ロシアはインド・ルピー決済でインドに原油を販売しました。しかし、ルピーを受け取ったロシアはその使い道に苦慮しているのです。ルピーは国際市場でそのすべてを簡単には交換できません。その為、インドはロシアにインド国内での使用を奨励してはいるものの、ロシアはインドで有意義な支出を行う機会は限られてしまいます。
これは、国境を越えた貿易において兌換可能な自国通貨を使用することの限界を浮き彫りにしていることになります。
しかし、一方で、これはBICS圏にとっては、自国通貨に代わる兌換可能な共通通貨の必要性を浮き彫りにしていることでもあるのです。
世界の潮流は間違いなく、脱ドルへ向かっています。
そして、ペトロダラーが終わったとすると、世界は既に変わったと言えるでしょう。
さて、日本ではこの変化を感じている人がどれほどいるでしょうか。
脱ドル化が起きている。これは、大変化であり、日本人にとっても知っておくべき重大事だと思います。
いいなと思ったら応援しよう!
![宮野宏樹(Hiroki Miyano)@View the world](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85716074/profile_40d92089f0a5d25ee01093bf18663780.png?width=600&crop=1:1,smart)