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FPが「年金」について解説する①4月から年金繰り下げが変わる!

国民年金と厚生年金

公的年金には国民年金と厚生年金の2つの制度があります。
国民年金は、20歳以上60歳未満の人が全員加入しなければならない年金制度です。
厚生年金は、会社などに勤務している人が加入しなければならない制度です。
いずれも老後の生活に備えた年金制度で、原則として65歳に達した時点から、年金の給付が行われます。

確定拠出年金など

会社によっては確定拠出年金や厚生年金基金に加入しているところもありますし、個人向けにはiDeCoがありますが、これは、公的年金制度に上乗せした年金制度です。
いわば、誰でも加入している国民年金制度が1階部分で、厚生年金が2階部分、確定拠出年金等が3階部分になります。

繰り下げ支給

ところで、年金がもらえるのは原則として65歳からです。
しかし、65歳になってももらわずに、後になってからもらうことを繰り下げ支給といいます。
こうすることにより、もらえる年金額が増えるというメリットがあります。
1か月遅らせると0.7%年金が増えるため、70歳までこれを延ばすと、0.7%×60か月=42%年金が増額されます(1.42倍になる!)。
今年の3月までは、最大70歳まで延ばせましたが、4月からは75歳まで延ばせることになりました。
これにより、0.7%×120か月=84%増額になり、年金額が非常に大きくなります(1.84倍になる!)。

注意すべき点

しかしこれには、注意しなければならない点がいくつかあります。

1.加給年金は繰り下げられない。
加給年金というのは、いわば年金の扶養手当みたいなもので、65歳未満の配偶者がいると65歳になるまで、一定の金額(令和3年度は224,700円)が追加されて支給されますが、これは繰り下げられません。
したがって、繰り下げて年金をもらうときに配偶者が65歳になっていれば、この加給年金はもらえなくなります。

2.実際には計算通りもらえない。
年金をもらう場合には、一定の税金や社会保険料がかかります。
普通にもらう場合でも、満額もらえるのではなく、税金や社会保険料が差し引かれますが、もらう金額が増えるとこの税金なども増えてしまいます。
したがって、年金の実際の手取り額は、予想より少なくなることがあります。

3.働きながら繰り下げた場合には、増額されないことがある。
65歳以降も働きながら繰り下げようとする場合には、特に注意が必要です。
65歳に達していても、会社に努めて一定の勤務時間があると厚生年金保険に加入しなければなりません。
この場合には(在職老齢年金という)、給与が一定の金額を超えると、年金の支給が停止されてしまいます。
そのため、繰り下げても、その停止された部分は増額はされません。

そのほかにも、細かな注意点がありますが、一度決めてしまうと撤回はできませんので、最終的には年金事務所で試算していただくのが一番いいでしょう。
ただ、繰り下げて増額した年金は一生続きます。
人生100年時代ですので、長生きのための保険と考えれば、65歳になって特に年金がなくてもやっていけるのであれば、繰り下げたほうが良いのではとも思います。

おまけ

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