興味のはしっこを捕まえる
先日、神戸の子ども本の森へ行きました。
私の興味は、建物そのものももちろんですが、そこに広がる「空間」を味わうこと。
その日は、幼稚園児たちが先生と一緒に訪れていました。階段の上に腰をかけて、なんだかまったりと過ごしている様子を見て、「あぁ、いいなぁ」と感じました。
そんな風景を見てふと思ったのです。
建築士ってどうやったらなれるんだろう?(笑)
建築士になりたい子どもたちとの出会い
最近、「建築士になりたい」と夢を語る子どもたちと出会うことが増えてきました。保護者の方からも、「どんな勉強をしたらよいのか知りたい」と聞かれることがあります。
でも、いくら興味があったとしても、その「知識の学び」自体が面白いかといえば……。正直に言うと、そうでもないのです。
面白さは「空間の気づき」から
建築において本当に面白いのは、自分たちが今いる「空間」への気づきです。
気づきを得て、自分で調べてみること。そして、思いついたアイデアを伝え、広げていくこと。
それこそが建築の面白さ。子どもたちにも、その楽しさを味わってもらいたいと思っています。
子ども建築士コース、スタート!
最近、「子ども建築士コース」という活動を始めました。
初回では、小学生たちがまず「自分の家」を分析するところからスタートしました。
自分の家、そのフロア、ロビーのフロアへと広げていきながら、どんな空間に住んでいるのかを説明してもらいます。そして外観を観察。グーグルアースも使いながら、自分の身の回りを知り、さらには「自分とは違う他者」を知ることにもつなげていきます。
たとえば、マレーシアの子どもたちと東京の子どもたちが参加していて、私も「こんなところに住んでるの!?」と興味津々です(笑)。
そこから少しずつ話を掘り下げていくことで、自分の住む空間を考える楽しさを広げていきます。低学年の子どもたちには、まずは家をつくる・考えるワクワク感を育てるのが大切です。
建築士に必要なもの
「建築士とは?」「何が必要?」と聞かれたら、私はこう答えます。
建築士に必要なのは、「興味」「関心」「疑問」。
そして、何かを覆すような柔らかい発想です。
それって、まさに子どもそのものですよね。子どもたちは、そのままで立派な建築士なのです。
興味のはしっこを攻めていく
子どもたちの興味のど真ん中ではなく、「はしっこ」を捕まえる。そこを広げていくこと。
たとえば、マンションに住んでいる子には、自分の家、そのフロア、ロビー、外観と、少しずつ範囲を広げながら説明してもらいます。
その過程で、自分がどんなところに住んでいるのかを知り、他者の生活にも目を向けていく。興味の「はしっこ」を伸ばしていくことで、自然と学びが深まります。
学びは、本人だけの問題ではありません。大人が寄り添い、その興味を引き出し、支えることで育まれるものだと感じています。
子どもたちの小さな興味を大切にしながら、これからも一緒に学びを広げていきたいと思っています。