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炎上プロジェクトの3つの対策

■炎上プロジェクトとは?
 プロジェクトに携わっているとプロジェクトが炎上するということがあります。プロジェクトが炎上するというのは QCD(品質、納期、コスト) の観点で計画と実際のアウトプットがずれることによって起こります。例えばプロジェクトのスケジュールが予定していたマスタースケジュール通りに進まずに遅延してしまうというような場合です。スケジュールだけではなく、品質やコスト面でも計画から大きく逸脱してしまうとプロジェクトが炎上することがあります。ひとたびプロジェクトが炎上するとプロジェクトのメンバーは大変な思いをしてプロジェクトの軌道修正をして行かなくてはなりません。また炎上プロジェクトではオーバーワークになりがちでプロジェクトメンバーが疲弊していくということに繋がります。ですからプロジェクトマネジメントに関わる人はプロジェクトの炎上に対する対策をしっかりと講じる必要があります。プロジェクトに炎上の兆しがみえきてきた時に、プロジェクトの炎上を回避する三つの対策があります。この対策を講じることでプロジェクトが実際に炎上するということを防げ、プロジェクトメンバーが疲弊することもなく、プロジェクト関係者が納得する形でプロジェクトを遂行していくことが可能になります。
■炎上プロジェクトへの3つの対策
 これからプロジェクト炎上を防ぐ三つの対策について一つ一つ説明していきます。
①リカバリープラン
 まず一つ目の対策というのはリカバリープランを作るということです。プロジェクトが計画通りに進まないということが予想できる段階でプロジェクトマネージャーはリカバリープランを作り始めることが大切です。ポイントは、実際に品質・スケジュール・コスト面で計画を大きく逸脱するということが確定する前に、リカバリープランを作り始めるということです。ひとたびリスクが顕在化してしまうとプロジェクトの炎上は防げないからです。その前に、先手先手で手を打っていくということが極めて重要です。例えば、プロジェクトのスケジュールが大きく遅延しそうだということが見えてきた場合、プロジェクトのスケジュールの計画を見直す必要があります。このケースでは、プロジェクトの新しいスケジュールを作成することが、リカバリープランとなります。もしくは、プロジェクトの要員を増員して予定通りにプロジェクトを進めるという考え方もあります。この場合にはコスト面で計画を作り直すというリカバリープランになります。スケジュールを見直すのか、プロジェクトの予算を見直すのかという判断は状況に応じて異なりますので、プロジェクトで求められていることやプロジェクトの性質を見極めてどのようなリカバリープランを作っていくかという判断も必要となります。このようにリカバリープランを作る時には、なるべく先を見越して早いタイミングで検討を開始するということと、どのようなリカバリープランを作るのかという適切な判断が求められます。
②影響範囲の特定
 リカバリープランを作った後に、もしくは作る過程で重要なことは、影響範囲を特定するということです。リカバリープランを発動することによってプロジェクトにどのような影響があるのかということを明らかにします。例えばスケジュールを遅らせることによって、プロジェクトのローンチのタイミングが後ろ倒しされます。そのことによって、どのような影響があるのかということを見極める必要があります。例えば、コストリダクションが期待されるようなプロジェクトであれば、プロジェクトの完了時期が後ろ倒しされればされるほど、コストリダクションの効果というのが後ろ倒しされますので、その分会社としてコスト増になります。またプロジェクトの人員を追加するような場合には、どの程度コストが増加するのかということを定量的に示すことが必要になります。このようにリカバリープランを発動した時にどのような影響があるのかということを定量的に示すことによって、どのようなリカバリープランを選択するのか、意思決定をしやすくなります。

③ステークホルダーへの説明
 三つ目の対策というのは、関係者に説明をするということです。一番重要な関係者というのは、プロジェクトのオーナーです。プロジェクトオーナーに対してはどういう問題が発生していて、あるいは発生する可能性があって、そのことでプロジェクトにどういう影響があるのか、そのためにどのようなリカバリープランを講じようとしているのかということを論理立てて説明する必要があります。そもそもプロジェクトの計画に問題があったのか、それとも予期しない出来事によって計画を逸脱せざる得ない状況になったのか、ということを事前にしっかりと分析をして説明をするということが極めて重要です。また、リカバリープランを作る時に先手を打ってリカバリープランを作るということが重要だという話をしました。これは、なるべく早いタイミングでプロジェクトのオーナーをはじめとした重要な関係者に対して、状況や対策の説明をするためです。タイミングが遅くなればなるほど、打てる対策は少なくなっていくので、 早いタイミングで対策を講じることがプロジェクト運営には求められます。またプロジェクトの関係者というのはプロジェクトオーナーだけではなくて、リカバリープランを発動することによって、影響を受ける部署やユーザーも含まれます。こうした関係者がしっかりと納得できるような説明ができるように補足資料も含めて十分に準備をしていくということが大切です。

 以上の三つがプロジェクトの炎上時、あるいは炎上しそうな時に打つべき三つの対策ということになります。まずリカバリープランを作るということが必要です。リカバリープランを作るときには先手を打つことが重要です。そしてリカバリープランを発動することによる影響の範囲というのも特定します。この影響範囲は出来る限り定量的に示すことで、どのようなリカバリープラン発動するのかという意思決定がしやすくなります。リカバリープランを作成し影響範囲を特定した後には、ステークホルダーに対して説明をします。この3つの対策により、プロジェクトの計画を見直すことができ、プロジェクトの炎上を回避できる可能性が高まります。
(第14回 2021/6/22)

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