プロジェクト型の仕事 vs 普通の組織の仕事
■プロジェクト型の働き方が求めれる時代
現在はVUCA時代と呼ばれています。VUCAとは、Volatility (変動性)、Uncertainty (不確実性)、Complexity (複雑性)、Ambiguity (曖昧性)の頭文字を使った略語です。先が読めない時代ということです。このような時代では、従来型の組織の仕事ではなくて、プロジェクト型の仕事が増えていくことが予想されます。先が読めない中で、時限的な取り組みにならざる得ないケースが増えると想定されるからです。ですから、プロジェクト型の働き方を知っておくことは決して損になりません。今回は、「プロジェクト型の仕事」と「普通の組織の仕事」を比較することで、「プロジェクト型の仕事」とはどういうものかをご理解いただける内容になっています。
■プロジェクトとは何か?
「プロジェクト型の仕事」と「普通の組織の仕事」を比較する前に、プロジェクトは何かということについて、触れておきたいと思います。プロジェクトというのは、PMBOK Guideによると、「独自のプロダクト、サービス、所産(しょさん)を創造するために実施する、有期性のある業務」だとしています。もっと簡単にいうと、「決定している納期に合わせて、依頼されているサービスや製品を提供する業務」ということです。つまり、期限がある取り組みということですね。このことを踏まえて、「プロジェクト型の仕事」と「普通の組織の仕事」の比較をしていきたいともいます。
■「プロジェクト型の仕事」と「普通の組織の仕事」の違い
3つの観点から違いを見ていきたいと思います。3つの観点とは、「①費やす時間」、「②新しい知識や視点」、「③部門や組織との関わり方」です。
①費やす時間
上記で、プロジェクトは「期限がある取り組み」であるというお話をしました。そうなのです。「プロジェクト型の仕事」においては、期限というものが明確に決まっています。最終的なゴールから逆算して様々なタスクの期限が決められているのです。だから、期限までに必要な仕事を遂行していくことが強く求められます。他方、「普通の組織の仕事」というのは、あまりシビアに期限を求めれることはありません。全く期限が無い仕事というのはあまりありませんが、期限まで余裕がある場合や期限を過ぎても何とかなってしまうような仕事が多いのです。しかし、「プロジェクト型の仕事」においては、期限を超えるとコストが余計かかってしまうことなどから、大問題になることが良くあります。このように、仕事に「費やせる時間」が大きく異なるのです。
②新しい知識や視点
次の観点は、新しい知識や視点です。「普通の組織の仕事」というのは、一度仕事を覚えてしまえば、毎回新しい知識や視点を求められるケースというのは多くありません。なぜならば、仕事のやり方や仕事の領域が凡そ決まっているからです。しかし、プロジェクトというのは、新規事業や新しいシステムの導入など、新しい知識や視点が入ってきます。ですから、「プロジェクト型の仕事」においては、新しい知識や視点を迅速にキャッチアップすることが求められます。「プロジェクト型の仕事」で成果を上げるためには、新しい知識や視点を素早く学ぶことや新しい状況に適応することが求められます。
③部門や組織との関わり方
三つ目の観点は、部門や組織との関わり方です。「普通の組織の仕事」では、一つの組織や部門の中でのみ仕事をします。他の組織や他の部門と連携する機会というのはあまりありせん。しかし、プロジェクトというのは、複数の部門や組織に跨って実施されることが多いです。ですから、「プロジェクト型の仕事」は部門横断的な取り組みと呼ばれることがあります。異なる部門や組織の人とのコミュニケーションや意見を取りまとめるスキルが求めれます。プロジェクトで躓く多くの原因はこの部門横断的であることに起因しています。「プロジェクト型の仕事」においては、部門横断で仕事を進めることがキーになるということを抑えていただければと思います。
以上の3つが「プロジェクト型の仕事」と「普通の組織の仕事」の違いです。これから益々プロジェクト型の仕事が増えていくと思いますので、この3つ観点を踏まえながら「プロジェクト型の仕事」に慣れていくことは決して損にはならないと思います。
(第53回 2022/3/29)