
仕事に役立つ「メタ認知」の高め方
■メタ認知とは
メタ認知とは自分の認知活動を客観的にとらえることです。つまり、自分の認知(感じる、考える、記憶する、判断するなど)を認知することともいえます。メタ認知は、アメリカの心理学者ジョン・H・フラベル氏が提唱した心理学用語です。元々は教育学や脳科学の分野で使われていましたが、近年ビジネス分野でもメタ認知が注目されています。
仕事において、自分自身を客観的に見るメタ認知は3つの観点から大切です。一つ目の観点は、仕事には必ず相手がいるということです。自分一人で完結できる仕事というものありません。組織の中で仕事をしていれば当然他人との関わりになります。また、作家や画家のように一人で進める仕事であっても読者や購入者がいて自分の作品が成り立ちます。ですから、どのような仕事であっても相手の視点に立つことが必要です。
また、仕事においてメンタルを平静に保つためにもメタ認知は役立ちます。仕事が上手くいかずに落ち込むようなときに客観的に自分を見る事はメンタルを平静に保つために有効です。客観的に見ることで、状況から学ぶこともできます。また、どんなに仕事で嫌なことがあっても自分の精神や肉体は実質的に危害を受けていないことにも気が付きます。仕事は人生の一部であって、すべてではないのです。そのようなこともメタ認知していれば忘れずに済みます。
更に、メタ認知によって広い視野で物事をとらえられるようになります。組織の中で働いているのであれば、自分の仕事を上司や社長の視点で見たらどうなのかと考える事もできます。また、自分の会社は業界の中でどのような位置づけなのかということも考えられるようになります。更に、長い時間軸でキャリアを見て、将来のために今何をしなくてはならないのか?といった視点で自分自身を見れるようになります。
このようにメタ認知は仕事をしていくうえで非常に役に立ちます。ここからは、個人的に仕事でメタ認知を高めるために有効だと思うポイントを5つご紹介します。
■メタ認知の高める5つのポイント
① 書く
自分の考えを紙に書き出すというのは、自分の考えを客観的に把握するために非常に有効です。落ち込んだときや、モヤモヤするときには、紙に書いてみると考えが整理されて、良いアイデア浮かぶこともあります。メタ認知を鍛えるために日記のように頻繁に書くことをお勧めします。
② 長期プランを考える
自分の今の仕事の意味を把握することは、仕事のモチベーションやメンタルを平静に保つために非常に有効です。そのためには、キャリアの長期プランを持っておくことが有効です。長期的なプランを持つことで、今の仕事や活動の意味を客観的にとらえることが可能になります。
③ 本を読む
本を読むというのは、他人の考えに触れるということです。他人の考えに触れることによって、自分の考えを客観的に把握して、整理しやすくなります。自分一人で考えているとどうしても、客観的なメタ認知が難しくなりがちですが、本を読み他の人の考えに触れることで、視野が広がりメタ認知がしやすくなります。
④ SNSの評価を利用する
SNSやブログなどの評価も客観的な視点を得られるため、メタ認知を鍛えるために活用できます。SNSやブログに一定程度コンテンツをアップしていくと、何らかの評価を得られるようになります。評価に一喜一憂するのは、あまりよくないと思うのですが、自分自身をメタ認知するための参考になる部分もあります。
⑤ 歴史から学ぶ
歴史は繰り返すと言われています。現在起こっている色々な事柄というのは過去にも似たような出来事として起こっています。ですから、歴史に学ぶことで、今の時代や自分の立ち位置というものを広い視点から客観的に見ることが可能になります。
以上のように、メタ認知は自分自身の認知(考え、感情、判断など)を客観的に認知することです。メタ認知は仕事をしていくうえでも非常に大切です。メタ認知を鍛えるためには、書くこと、長期プランを考える事、本を読むこと、SNSを活用すること、歴史から学ぶことなどが有効です。
(第63回 2022/6/7)