仕事の引継ぎの5つのポイント
■仕事の引継ぎとは?
仕事をしていると、担当している仕事を別の人に引き継ぐ場面があると思います。他の部署に異動になるとか、会社が変わるというようなときは多かれ少なかれ、引継ぎが発生します。また、期間の長いプロジェクトにかかわっていて、担当が変わるようなケースでも引継ぎが発生します。
このような引継ぎを適切に行うのは意外と大切です。引継ぎを適切に行わないと、仕事やプロジェクトに支障をきたすことになります。このような状況では、仕事の引継ぎを受ける方もたまったものではありません。また、引継ぎをして別の仕事に移る人も自分はもう仕事やプロジェクトを離れるので関係ないというわけではありません。その人の信頼に影響することだからです。つまり、引継ぎをしっかりとしない人は、無責任な人、いい加減な人というレッテルを張られてしまうのです。どこで関係者に再会するかわからないですし、何より自分自身の精神衛生上も良くありません。ですから、引継ぎを適切に行うことは、きわめて重要だと言えます。今回は、仕事の引継ぎのためのポイントということで、5つのポイントをご紹介したいと思います。
■5つのポイント
①引継ぎ後の姿を描く
まずは、引継ぎ後の状態を描くことが必要です。引き継いだ後にどのような状態になっているのが望ましいのかを明確にすることです。例えば、新たに仕事を引き継ぐ人が引継ぐ仕事を理解して、引継ぎ後に問題なく仕事を遂行できる状態になっているということは、どのような仕事においても求められることだと思います。このような状態になっていれば、安心して、次の仕事へ移ることが可能になりますし、現在の仕事の関係者の信頼も損なうことがありません。このように、仕事やプロジェクトを離れるタイミングでどのような状態であることが望ましいのかを描くことが大切です。
②スケジュールを作る
次のポイントは、目指すべき状態に達するために、いつまでに何をしなくてはならないのかということを明確にすることが求められます。つまり、引継ぎのためのスケジュールを作るということです。スケジュールを作るためには、下記のように引継ぎ完了日から逆算していくことが必要です。
引継ぎ完了 ⇒ 新任者との並走期間(2週間前) ⇒ 情報共有(3週間前) ⇒ 関係者との顔合わせ(5週間前) ⇒ 引継ぎ資料の準備(7週間前)
また、いくつか仕事の内容のカテゴリーが分かれるときには、カテゴリーごとに何をやらなくてはいけないのか、いつまでに引継ぎを終わらせるのか、並走期間はどの程度設けるのかを決める必要があります。そうすることで、計画的に無理なく引継ぎを終えることが可能になります。
③タスクを洗い出す
3つ目のポイントは、引継ぎのためのタスクを洗い出しておくことです。まず、引継ぎで必要になるタスクとのは、関係者を明確にすることと、必要に応じて関係者とのコミュニケーションがスムーズにとれるようにすることがあげられます。更に、仕事を遂行できるようにどのようなタスクがあるのかを明確に洗い出していくことも求められます。そして、今後どのようなタスクが発生するのかを明確にすることも重要です。スケジュール作成の際に洗い出した概要レベルのタスクを仕事の詳細レベルの他タスクに落とし込んでいくと考えても良いと思います。
④ドキュメント化する
そして、可能な範囲でドキュメント化をすることも重要です。マニュアルやドキュメントに落とし込むことで、引継ぎが非常にスムーズに進みやすくなります。キーとなるような情報については、ドキュメント化することをお勧めします。また、既存の資料がどこにあるのかについても把握できるようにしていくことが必要です。フォルダーを分かりやすく構造化することや、資料一覧を作成し、資料の格納先を明示することなどが求められます。このように、必要なドキュメントが用意されてどこにあるのかが分かれば、議論がしやすくなります。
⑤のりしろ期間を設ける
最後のポイントはのりしろ期間を設けるということです。のりしろ期間というのは、前任者がいる状態で、新任者が主導的に仕事を進められる状態のことです。仕事を引き受けてみて、はじめて気が付くことがあります。その時に、前任者がいないと情報を調べたり、必要な窓口を探したりするのに非常に時間がかかります。しかし、前任者と並走期間があると、不明点を前任者に確認ができるので、取り組みが非常にスムーズになります。
以上の5つつが引継ぎをスムーズに進めるために必要なポイントとなります。引継ぎはおろそかになりがちですが、信頼を落とさないためにも、自分が気持ちよく次の仕事を開始するために非常に重要ですので、ぜひ参考してみてください。
(第33回 2021/11/10)