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DAO(新しい組織の形)

■DAOとは
 DAO とは「Decentralized Autonomous Organization」の略称です。日本語に訳すると「自律分散型組織」で、「ダオ」と発音されます。DAOはブロックチェーンを活用した非中央集権的な新しい組織です。DAOの3要素として、①強いビジョン、②ビジョンに共感して集まったコミュニティー、③コミュニティーが発行する独自トークンがあげられます。3つをまとめると、「ビジョンに魅力を感じた人達が集まりコミュニティーを作り、報酬を独自トークンでフラットに分け合う」そんな組織がDAOだといえます。
 
■DAOと株式会社の違い
 DAOを理解するために、既存の組織との比較をしてみたいと思います。比較の観点は、下記の表のように、「構造」、「意思決定」、「所有権」、「情報伝達」、「知的財産」の5つです。「構造」に関しては、株式会社は、株主、社長、役員、部長、課長、担当等の階層型となっています。一方、DAOでは、フラットな構造になっています。
 「意思決定」の観点では、株式会社では中央集権的な意思決定がなされます。つまり、社長、役員、部長、課長、担当といった上意下達で意思決定がなされていきます。一方、DAOでは、社長のような最終的な意思決定権者がおらず、意思決定が民主化されています。
 組織の「所有権」に関しては、株式会社では、法律で51%以上の株式を所有している人が会社を支配しており、重要な意思決定はその人の承認無くしては執り行えません。DAOにおいては、所有者がおらず参加したければ参加するという形態になっています。
 「情報伝達」の観点では、株式会社では社内の情報は基本的に非公開です。DAOでは、情報が公開され、透明性が高くなっております。
  「知的財産」に関しては、株式会社は知的財産権を保有し、知的財産をクローズに管理します。他方、DAOでは、オープンソース型となっています。
 

引用:(2021).【新時代の株式会社?】DAO(自律分散型組織)とは?https://tabiryman.com/decentralized-autonomous-organization/

■DAOのメリット・デメリット
 次に、DAOのメリット・デメリットを考えていきたいと思います。DAOのメリットは、国籍、性別、年齢を問わずに、世界中から人を募ることができます。また、株式会社のように法的な手続きを経なくても、組織を立ち上げて迅速にプロジェクトを開始することが可能です。そして、株式会社では、多くの利益を執行者や株主が得ていきますが、DAOでは、参加者がインセンティブを公平に享受することが可能です。
 
 他方、DAOにはデメリットもあります。まず一つ目は、簡単にプロジェクトや組織を立ち上げることができるので詐欺のようなプロジェクトもあるということです。また、スティーブ・ジョブスがiPhoneを作り上げたように、強烈なリーダーシップでトップダウン的に組織を率いていくことが必要なプロジェクトには向いていません。
 
 このようにDAOには向いているプロジェクト、向いていないプロジェクトが存在ます。将来、DAOのようなブロックチェーンを利用した自立分散型組織が広がっても、株式会社的な組織でやらなくてはいけないプロジェクトも存在し続けることになり、住みわけがなされていくのかもしれません。
 
■DAOのタイプ
 最後にDAOにはどのようなタイプがあるのかということについてご紹介します。大枠で3つのタイプに大別されるようです。その三つとは、コミュニティー系、ファイナンス系、サービス系です。

①コミュニティー系
<Social DAO>
同じ趣味嗜好を持つ人が集まり、ソーシャル、コミュニティ要素が強いDAO
<Media DAO>
ユーザーを巻き込んでメディア制作を行うDAO
②ファイナンス系
<Grants DAO>
新しいプロジェクトを立ち上げるために資金調達を行うDAO
<Collector DAO>
複数人でNFTを購入するなど、共同でプロジェクトに投資するためのDAO
<Protocol DAO>
二次流通の取引を可能にするERC-20トークンを作るDAO
③サービス系
<Service DAO>
同じ領域の専門家たちでサービスを提供するDAO
<Education DAO>
Web3のインセンティブ構造を活用して教育を提供するDAO
<Products DAO>
特定のプロダクトを開発するためのDAO
<Special Purpose DAO>
特定のアクションや寄付などを実行するためのDAO

引用:(2021). The Future of Work is Not Corporate — It’s DAOs and Crypto Networks. https://future.com/the-future-of-work-daos-crypto-networks/

 以上のように、DAOは従来の組織とは異なった特徴を持っている、ブロックチェーンを活用した自律分散型の組織です。DAOにもメリット・デメリットがあり、適したプロジェクトとそうではないプロジェクトが存在します。今後、DAOが浸透することによって、既存の株式会社的な組織が担う領域とDAO担う領域というのが明確になっていくのかもしれません。
 
(第64回 2022/6/14)
 
(2021). The Future of Work is Not Corporate — It’s DAOs and Crypto Networks. https://future.com/the-future-of-work-daos-crypto-networks/
(2021).【新時代の株式会社?】DAO(自律分散型組織)とは?https://tabiryman.com/decentralized-autonomous-organization/
(2022). 【海外事例14選】分散型自律組織「DAO」とは?web3の鍵となるその定義や歴史、開発ツールも徹底解説. https://seleck.cc/dao


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