やりたいことをやるために、やること
今日は、整体ボディワーカーの山上亮さんからのいただいたメッセージを皆さんにシェアします。
山上さんは、もともと教育に興味をもって大学で学ばれていましたが、在学中にサークル活動でインドに行かれて、意識が変わり、そこから野口整体やシュタイナー思想に出会い、身体から働きかける技法を利用して、心身の健やかな変容をもたらすボディワークを探求されることになりました。
そして、整体ボディワーカーとして、身体を通して人間が本来持っている智慧を呼び覚まし、子育てや健康に暮らすための本質を分かりやすく提案しています。人が元気に幸せに暮らしていくために必要なことを考えていくことが、「家庭キョウイク」です。ボディワーカーという視点から見えてくるヒントもたくさんありそうです。
(未来志向型 家庭キョウイク 世話人 M.M)
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「親も子もやりたいことをやるために、やること」
私の行なっている整体では、熱が出たり、下痢をしたりといったからだの変動があったときに、その変動を「必要があって行なわれている」と考えます。
ですからそれらの変動をむやみに止めたり抑えたりということはせずに、むしろそこで行なわれているプロセスをしっかり全うする、やりきるということを考えます。
自然療法などに興味を持たれている方には非常に馴染みやすい発想かと思いますが、それはいわば「からだの営みを信頼する」というスタンスです。
例えば住んでいる建物が古くなってきたときに耐震工事などを行ないます。工事の最中は業者が出入りし、足場を組み、資材を運び入れ、ときに壁を壊して補強材を入れたりして、たいへん賑やかな状態になります。そのときには騒音も出ますし、廃棄物も大量に出ます。
いつもの出入口が使えず非常に不便な毎日かも知れません。ですがそのプロセスを経てその建物は丈夫になり、大きな地震が来たとしてもそれに持ちこたえられるだけの強さを持つことになるのです。
それはいわば建物が「風邪を引いた」ようなものなのです。私たちが「風邪を引いた」というのは、からだが必要に駆られて熱を出したり、老廃物を排泄したりしている、その状態を指しているのです。
それはからだに必要な改修工事であるのです。
子どもという生き物は、大人からすると何だか意味の分からないことをいろいろやって、ときにこちらが思わず腹を立ててしまうようなこともやりますが、そのような子どもの身振りというのも実はそのようなもので、からだの中から何らかの「表に出したい」という要求が高まってきて、それがさまざまな身振りになっているのです。
それは基本的に必要があって現われていると考えると、その身振りは止めるよりもむしろ、しっかりやり切らせてあげる必要があります。
からだのさまざまな変動も子どもの身振りも、出す必要があって出てきているのだとすると、それらの営みはしっかり全うすることが何より大切なことです。
ですが、熱を出すときに熱を出し、排泄するべき時に排泄する。あるいは言いたいことを言ったり、泣きたいときにしっかり泣くということは、簡単なようでいてなかなか難しいことです。
私たちは意外ときちんと排泄できていないのです。
熱を出せなかったり、不要物を排泄できてなかったり、泣けなかったり、怒れなかったり、言いたいことを言えていなかったり、やりたいことをやれていなかったり……。
言いたいことを言うとかやりたいことをやるということも、ある種のこころの排泄行為ですから、それらもきちんと全うするということが大事です。
自分の内側から湧いてきた要求をきちんと表に現わすことは、それが健康ということであり、そして幸せであるということなのです。
きちんと排泄できないことから生じるさまざまな不調や疾患というものは、私たちが考える以上に多いのです。
大人も子どももぜひ「やりたい」をやりましょう。
どうせいろいろ悩まなければならないのなら、どうやったら「やりたい」が実現できるのか、そういうことで悩みましょう。
子どもの「やりたい」はどうやったら実現できるか、私の「やりたい」はどうやったら実現できるのか。そうやってお互いに、からだの中から出てきたものをしっかり表に現わしていくことができたら、
それはきっとすごい健やかで幸せなことです。
山上 亮(やまかみ りょう) 整体ボディワーカー
野口整体とシュタイナー教育の観点から、人が元気に暮らしていける「身体技法」と「生活様式」を研究。からだの感覚を磨き、からだの声に耳を傾けることで、からだの智慧を現代の生活に活かす方法を提唱している。整体指導、子育て講座、ほか幅広く活躍中。2児の父 。著書 「子どものこころにふれる 整体的子育て」「整体的子育て〈2〉わが子にできる手当て編」共にクレヨンハウス
https://www.facebook.com/yamakamiryo/
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