知らないと損する!教育訓練給付金
こんにちは。ミライ・イノベーションnote編集部です。
前回は、奨学金制度についてお話しました。
奨学金制度は、学ぶ意欲のある学生を支援する制度でしたね。
実は、社会人になってからも経済面から学びをバックアップする仕組みがあることをご存知でしょうか?それが、教育訓練給付金制度です。
今回は、この教育訓練給付金制度について解説します。
1.教育訓練給付金制度とは
教育訓練給付金制度とは、国が支援する人材開発・支援の一つです。働く人の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的としています。
雇用保険に入っていれば、正社員だけでなく、パート・アルバイトでも利用できる制度で、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されます。
2.教育訓練の種類
教育訓練給付金は、利用できる講座が指定されています。また、そのレベル等に応じて3種類に分けられており、給付金額も異なります。
(1)専門実践教育訓練
専門実践教育訓練は、特に労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象となります。
受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6か月ごとに支給されるほか、資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。
さらに、失業状態にある方が初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する場合、受講開始時に45歳未満であるなどの一定の要件を満たせば、別途、教育訓練支援給付金が支給されます。
資格対象の講座は、次のようなものが挙げられます。
以下のとおり、国家資格や専門職大学院といった、特に専門的な知識を有するものが対象です。
◆専門実践教育訓練における対象講座の例
(2)特定一般教育訓練
特定一般教育訓練は、特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象となります。
該当の教育訓練を修了すれば、受講費用の40%(上限20万円)が給付されます。
資格対象の講座は、次のようなものが挙げられます。
◆特定教育訓練における対象講座の例
(3)一般教育訓練
一般教育訓練は、その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象となります。
該当の教育訓練を修了すれば、受講費用の20%(上限10万円)が給付されます。
資格対象の講座は、次のようなものが挙げられます。
◆一般教育訓練における対象講座の例
講座の種類は、「厚生労働大臣指定教育訓練講座」で検索すると、確認できます。分野は多岐にわたっており、あらゆる資格や講座が対象となっているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
このとき、受講開始前にハローワークで、自分が教育訓練給付金対象になっているかどうかを確認しておくと安心です。「教育訓練給付金支給要件照会票」を使えば、郵送で問合せすることが可能ですよ。
3.給付条件
これら3つの教育訓練給付金ですが、誰でも給付金を受け取ることができるわけではありません。
一定の受給要件を満たす方が、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した場合に、その費用の一部が教育訓練給付金として支給されます。
◆教育訓練給付金の受給要件
下図のとおり、受給できるか否かは、「雇用保険の加入期間/離職期間/過去に教育訓練給付金を受給したか」が大きなポイントとなってきます。
ご自身が受給要件を満たすかは、下のフローチャートで確認してみるとよいでしょう。
このように、教育訓練給付金制度を利用するには、雇用保険の加入が大前提です。そのため、公務員や自営業等の個人事業主の方は雇用保険の適用対象ではありません。したがって、公務員や自営業等の個人事業主の方は教育訓練給付金制度を利用できないので注意しましょう。
4.支給申請と留意点
教育訓練給付金の支給申請は、居住地域を管轄するハローワークで行うことができます。
なお、当たり前ですが、支給申請は正しく行いましょう。偽りや不正により給付金を受け取った場合、不正受給した金額の返還とともに、返還額の2倍の額の納付を命ぜられることになります。さらに、詐欺罪として処せられることもありますので要注意です。
5.さいごに
教育訓練給付金制度は、キャリアアップや資格取得のために負担した費用の一部が支給される制度です。
万が一仕事を辞めていても1年以内であれば利用でき、ハローワークに申請すれば、出産・育児・病気等の理由なら離職後最大20年まで延長可能です。
今や多様なキャリア形成を考える時代。いつ始めても遅くはありません。
興味・関心のある分野・講座から学びを深めてもよいでしょう。
また、教育訓練給付金の手続きに関して、勤務先が関わることはありません。そのため、基本的には会社には知られません。したがって、働きながら今後のキャリアアップやステップアップの準備として、新しい学びにチャレンジしてもよいですね。