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スッキリ違いがわかる!健康保険と国民健康保険

こんにちは。
ミライ・イノベーションnote編集部です。

前回は、日本の社会保障制度、とりわけ社会保険の概要についてお話しました。

今回は、社会保険の1つである公的医療保険(健康保険)についてお話しします。

1.公的医療保険とは

日本では、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入する、国民皆保険制度が設けられています。
国民皆保険制度は、個人にかかる医療費を軽減することを目的とし保険料を負担し合う仕組みです。これにより、医療機関等で健康保険証を提示すれば、最低限の自己負担額で医療サービスを受けることができるのです。
さらに、手術や入院等で高額な医療費がかかったときも、最低限の自己負担で医療を受けることができます。

▼高額な医療費がかかる際に自己負担額を軽減できる「高額療養費制度」についてはこちら

そして、公的医療保険にはいくつか種類があります。次章から、公的医療保険の種類について見ていきましょう。

2.公的医療保険の種類

公的医療保険は、立場や職域により加入する保険が異なり、健康保険国民健康保険後期高齢者医療制度の3つに大きく分かれています。

(1)健康保険

健康保険は、会社員、公務員、私立学校の教職員とその扶養家族が加入できる公的医療保険制度です。健康保険という呼び方の他にも、被用者保険と呼ばれることもあります。

健康保険には扶養という仕組みがあります。自身の稼ぎで生計を立てられない家族は加入者の扶養に入ることで、追加保険料を支払うことなく加入者と同じサービスを受けることが可能です。
なお、扶養から外れる家族は、勤務先の健康保険に加入したり、個別に国民健康保険に加入するなどの必要があります。

なお、加入する健康保険は勤め先により異なり、その運営者(=保険者)は、企業や団体等となります。
一般的に保険料は、標準報酬月額をもとに計算され、その半分を会社が負担(=労使折半)してくれ、支払いは給与から天引きされます。

(2)国民健康保険

国民健康保険は、75歳未満で健康保険に加入していない人が加入する保険です。例えば、自営業などの個人事業主やフリーランスだけでなく、年金で生活している人や、パート・アルバイトなどの非正規雇用者などと、その家族が加入します。

また、国民健康保険には扶養の仕組みがありません
そのため、収入のない配偶者や子どもであっても、家族それぞれが国民健康保険に加入する必要があり、保険料も支払う必要があります。

国民健康保険の運営者(=保険者)は、住んでいる自治体または特定の組合となります。

健康保険の保険料は給与から天引きされますが、国民健康保険の保険料は、普通徴収特別徴収の2通りの納付方法で支払います。

◆Point!普通徴収と特別徴収
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普通徴収:納付書や口座振替などで納める方法
特別徴収:国民健康保険料を世帯主の公的年金から差し引くことにより、納める方法

(3)後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度は、75歳以上の人(または、一定の障がいがあると認定され、加入を希望する場合は65歳以上の人)が加入対象です。

75歳以上のすべての人は、原則として後期高齢者医療制度の被保険者となります。したがって、75歳の誕生日を迎えると、これまで加入していた国民健康保険や会社の健康保険などから自動的に後期高齢者医療制度に移行します。

また、後期高齢者医療制度にも扶養の仕組みはありません
よって、加入対象者は個人ごとにそれぞれ加入し、保険料を支払う必要があります。
そのため、今までは家族の扶養に入っていて保険料の支払いがなかった人でも、後期高齢者医療制度の被保険者となれば、保険料を支払う必要があります
このとき、保険料は加入者の所得などをもとに計算され、原則として公的年金から保険料を納付(=特別徴収)します。

◆窓口での自己負担割合

前述のとおり、公的医療保険料の金額は、年齢や所得に基づいて算出されるため、個々人によって様々です。
一方、医療費の自己負担割合は、原則として下表のように定められており、年齢で負担割合が変わる仕組みがとられています。

3.公的医療保険の給付

公的医療保険では、保険料を納めるかわりに、給付を受けることができます。
給付には2種類あり、モノ・サービスとして受け取ることができる現物給付と、カネ(一時金)として受け取ることができる現金給付があります。

(1)現物給付

健康保険証を提示すれば最低限の自己負担で医療サービスを受けられる療養の給付や、高額療養費制度も現物給付に該当します。

(2)現金給付

子どもが生まれたときに支給される出産育児一時金や、被保険者やその家族がなくなった際にその家族に支給される埋葬料が現金給付に該当します。

また、被保険者が出産や病気・けがのため働けず、その間に給与の支払いを受けることができなかった場合には、出産手当金傷病手当金が支給されます。ただし、この手当金は健康保険のみの制度で、国民健康保険には無い点に注意しておきましょう。

4.健康保険と国民健康保険の違いまとめ

最後に、健康保険と国民健康保険の違いをおさらいしておきましょう。

健康保険と国民健康保険では、医療費の自己負担の割合や、高額療養費制度、出産育児一時金の有無などに違いはありません。
一方で、国民健康保険には出産手当金や傷病手当金がの給付がありません

また、健康保険では会社が保険料を半分負担してくれますが、国民健康保険は全額自己負担で保険料を支払わなければならない点も違いのひとつです。

5.さいごに

いかがでしたか?
今回は、公的医療保険について詳しくお話しました。
普段あまり意識せずに利用している健康保険証。この保険証があれば、日本全国どの医療機関でも同じ自己負担割合で治療や投薬などの医療サービスを受けることができます。

また、会社員や公務員の人が病気やけがのため働けず、収入が滞ったときには健康保険からの給付を受け取ることができます。
さらに、扶養制度により、扶養家族は保険料の支払いなしで被保険者と同じ医療サービスを受けることができます。これが日本の公的医療保険が優れている、と言われる理由ですね。

一方で、個人事業主やフリーランスなど、国民健康保険に加入している人には、出産手当金や傷病手当金の支給がありません。さらに、扶養の仕組みがないため、一人ひとりが加入し、保険料を支払う必要があります。

したがって、個人事業主やフリーランスの人は、社会保険からの給付が手薄であるため、日頃から貯蓄をしたり、NISAやiDeCoなどを活用したりと、もしもの時のために備えておくようにしましょう。


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