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【特別対談#1】北九州の”ものづくり”を守るために、攻める。上場企業の若手社長が挑戦し続ける理由

「ミライSTORY」は、九州(特に北九州市)で活躍する大人にインタビューし、読者のみなさまに”生き方”や”働き方”の新たな視点や一人ひとりの「人生のヒント」となる言葉をお届けする特別対談企画です。

企画運営は、九州最大規模の学生キャリアイベント「九州未来フェスティバル2021」実行委員が行っています。そして、今回は、見た目はハッピーギャル・中身は必殺仕事人(?)な副代表のきむりさがお届けします!

「進路選択、就職活動、コロナ禍での不安など、今「なんとなく」モヤモヤしている・・・」そんなあなたに届けたい1本です。

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インタビュー前にすこし緊張する代表のまなみん(左)と副代表のきむりさ(右)。この日は、北九州と東京から、ZOOMをつなぎました!

売り上げが130億!?誰もが欠かせない”アレ”をつくる会社の社長さん

さて、記念すべき第1回のゲストは・・・・岡野バルブ製造株式会社(以下:岡野バルブ)・代表取締役社長の岡野武治(たけはる)さん。

岡野バルブは、北九州市 門司区に本社を置き、もうすぐ100年を迎える会社です。日本ではじめて国産の「バルブ」の製造を行い、現在でも世界基準として、日本や海外でも使われています。

いま、ほとんどの読者みなさんは、こう思ったでしょう。

「バルブってなに!!!?」

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読者のみなさんと全くおなじことを疑問に思い、インタビュー早々さっそく悩む2人にも、優しく教えてくださる岡野さん(下)。

きむりさ:岡野さん、本日はよろしくお願いします!最初に、「岡野バルブ」さんの「バルブ」って何でしょうか・・・・!

岡野さん:発電所にある”ボイラー”という機械の一部です。岡野バルブは、その中で、高温高圧バルブの製造とメンテナンスを主に行っています。

会社が設立した約100年前は、「バルブ」は全て欧米から輸入していました。ただ当時、船での郵送しかなかったので、壊れた時に新しい部品を取り寄せるまでに1ヶ月以上かかっていたんです。

そこで、自分の曽祖父(ひいおじいさん)が、日本ではじめて高温・高圧バルブを製造しはじめました。また、「欧米を越えよう」と、新しい素材を使うことで、バルブの耐久度を高めることにも成功しました。

きむりさ:なるほど。「バルブ」は、私たちの生活に欠かせないインフラ(=日々の生活を支える基盤)である、電気をつくるのに必要な部品なんですね。

また、岡野バルブさんの会社のことも知れてよかったです。北九州に、世界に誇る企業さんがあったんですね・・・!知らなかった・・・!

▼実際に岡野バルブさんで作られているバルブ

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これがバルブ・・・!!!はじめてお目にかかりました!!!!(感動)

きむりさ:実際に、岡野さんは、今の会社のどんなところに魅力を感じますか?

岡野さん:「常に挑戦し続ける姿勢」が魅力かなと思っています。「ものづくり」や「バルブ」など今までの形にとらわれず、どんどん新しい価値をつくって、発信しています。

きむりさ:ありがとうございます!100年近く続く会社の挑戦、すごく気になります。ここから、岡野さん自身の人生や軸についてお伺いし、岡野さんが挑戦し続ける理由を知れたら嬉しいな、と思います。

原動力は、自分の「好き」にある。幼少期から揺るがない”あるひとつ”の意思。 

きむりさ:岡野さん自身に、今の会社を継ぐきっかけはありましたか?

岡野さん:大きなきっかけは、なかったように感じます。自分は父も叔父も、岡野バルブの社長で、4代目です。そのため、小さい頃から会社を継ぐ気満々でした。

幼稚園の頃から「岡野バルブの会社に入る!」と言ってたみたいなので.....!(笑)

きむりさ:幼稚園から....!!?すごすぎませんか!!?(笑)

岡野さん:親から社長になるように頼まれたわけではなく、自然と、自分からそういう風に思ってましたね。

きむりさ:なるほど。大きなきっかけや周りの影響というよりは、自分の意思で、家業を継ぐことを決意してたのですね。そんな岡野さんの「自分で選んだ、家を継ぐという道」を貫ける原動力は、どこから来ているのでしょうか?

岡野さん:小さい頃から、戦国武将や三国志など歴史の本や漫画が好きだったので、「自分の家を守って、大きくする」ということに、一種の憧れがありました。また、その憧れが、自分の選択を信じる原動力にもなっていたのかなと思います。

きむりさ:なるほど。自分の「好き」なものの延長線上に、自分の道を選ぶためのヒントが隠されているかも、しれないですね。

キーワードは、環境の変化。北九州から、東京や世界50カ国へ

きむりさ:岡野さんは小さい頃から、揺るがない意思を持っていたように感じたのですが、実際に、高校卒業後はどんな進路選択をされたのですか?

岡野さん:大学進学の時は、「東京には絶対行きたい!」と思ってたので、迷うことなく、東京の大学に入学しました。

きむりさ:そうだったんですね....!ぜひ、大学時代のエピソードをお聞きしたいです。

岡野さん:衝撃だったのは、大学1年生の春学期に、1単位しか取れなかったことです(笑)日本の大学は、授業に出なくても勝手に単位が取れると思っていたので。そのあとは、もちろん、地獄を見ました(笑)

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岡野さんにも意外な一面が・・・!(笑)大学時代のエピソードひとつひとつが強烈でワクワクしました!

きむりさ:岡野さんにも、そんな衝撃的なエピソードが・・・!(笑)逆に、大学時代にやっておいて良かったことはありますか?

岡野さん:発展途上国をメインに、世界50カ国くらいをバックパッカーとして旅した経験です。こう見えて、高校時代までは、周りの空気を読むタイプだったのですが、旅を通して、積極的になりましたね。

きむりさ:「環境の変化」が、岡野さんの中で、”何か”を変えたきっかけになったのかなと思いました。大学卒業後は、どんな道を選ばれたのですか?

岡野さん:大学を卒業して、2年ちょっとは、イギリスの大学院に進学し、「戦争学」などを勉強していました。

きむりさ:大学進学の後、すぐに働かずに、「海外の大学院にいく」という選択も、とても興味深いですし、意外に今のお仕事とは違うような学問を勉強されていて、びっくりです。

岡野さんは、東京や海外など、外に出ていくことに全く迷いがない印象だったのですが、岡野さんは外に出ていくことに抵抗はなかったんですか....?

岡野さん:自分は「外に出たい!」という気持ちばっかりだったので、全く抵抗はなかったですね。もっと見聞を広めたい、挑戦してみたいという気持ちが強くあって。

他の選択肢を知らずに、一つの場所で「これがいい」「ここがいい」と断言するのではなく、若いうちにどんどん外に出て、いろいろなものを見て、聞いて、吸収したいなと思っていました。

「失敗」をどう捉えるか。上場企業の若手社長になるまで。

きむりさ:帰国してからの、就職先はどこを選びましたか?

岡野さん:すぐにうちの会社に入りましたね。でも、「息子だから」といって急に課長・部長になるというわけではありません。「下積みからやりたい」と思い、工場の現場など、ほとんどの部署をめぐって働きました。

きむりさ:「後継ぎ」となると、どうしても、会社の中で優遇されるように見えちゃうのですが、家業をされている方の印象がすごく変わりました・・・!

岡野さん:そうですね。会社の経営者や幹部になるのは、あくまで「手段」なので、目的にするのは、ちがうかなと。「実現したい」ことがあったから、自分は家を継ぎ、社長になったんです。

きむりさ:なるほど...!岡野さんが社長になってから、大変だったことはありますか。

岡野さん:バルブは火力発電と原子力発電に使われる部品なので、東日本大震災で、原発が稼働しなくなった時は大変でした。

「今後、原発が動かないかもしれない」
「このままじゃ、会社も潰れてしまうかもしれない」

と、ある意味では「変わらなきゃいけない」と状況が必然的に生まれました。世間一般からみたら、岡野バルブはピンチに見えたかもしれないけど、自分としては、いま、組織を変える良いきっかけだなと感じましたね。

きむりさ:すごくポジティブ・・・・!岡野さんは、こうした予期せぬ出来事を、どう捉えているのですか?

岡野さん:「失敗」と思うような一時のマイナスな出来事も、全て最終的な成功へのプロセスだと思っています。基本、楽天家なのもあるし、何かがあっても、「良い経験だ」と捉えるようにしています。

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岡野さんの話を聞いて、とにかくメモが止まらないインタビュアーのふたり。


「守るために、攻める」岡野さんのいまと、これから。

きむりさ:最後に、岡野さんの「いま」や「これから」についてお伺いして、インタビューを終わろうと思います。今、どのような部分に生きがいや働きがいを感じますか。

岡野さん:今、自分たちがやっていこうとしている事業に、共感してくれる仲間が集まり、事業を成功させることには、すごく生きがいや働きがいを感じています。

また、今まで約100年間、岡野バルブで培ってきたものを「守り切る」ことに対するやりがいも感じています。でも、ただ守るだけじゃ、時代の変化に着いていけず衰退していくので、「守りたいものを守るために、攻めなければいけない」という点で、「攻める」ことも大切にしています。

きむりさ:ありがとうございます!守るために、攻める。岡野さんが挑戦しつづける理由が見えてきた気がします。次に、岡野さんや会社の「これから」をお聞きしたいです。

岡野さん:自分自身は、北九州や発電業界、ものづくり業界に恩返しをしていきたいと思っています。

そのためにも、岡野バルブの本社がある、北九州を活性化させること。そして、日本の地盤産業である”ものづくり”を輝かせることが、これからの岡野バルブのビジョンです。

うちのように、社歴100年で、インフラのど真ん中にいる伝統的な企業が、自ら変わっていくことで、地域全体や地域企業、ものづくりを牽引できたらいいなと思っています。

きむりさ:力強すぎるお言葉をありがとうございます....!最後に、九州未来フェスティバル2021の参加対象である「なんとなく」モヤモヤしているU24のみなさんへ一言、おねがいします!

岡野さん:正直、モヤモヤできる時点で、ちょっと幸せなのかなって思います。「働かなきゃ、ご飯も食べていけない」という環境だったら、まず悩めないと思うんですよね。

実は、選択肢って無限にあるんだけど、選択できるのって、結局1つなんですよね。全部を試して比較できないので、自分が選んだ職業や会社は正解かどうか、なんて誰もわかんないんです。

何をやってても、どんな仕事でも、突き詰めていけば面白い。だからこそ、まずは、ぜひ目の前のことを突き詰めていってほしいです。

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ー岡野さん、お忙しい中、ご協力いただきありがとうございました!

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2021年8月28日に開催される「九州未来フェスティバル2021」では、このように九州で活躍されている多種多様なゲストさんとフラットに交流でき、多くの新しい「生き方」や「あり方」に触れることができます。

(他にも、同世代との交流の場や、じぶんの価値観との出会える場なども準備中です!お楽しみ!)

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https://visionsloungefukuoka.com/1kyushumiraifes

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