見出し画像

【勉強会レポート 4】医療材料・衛生材料について考える

  • 開催日時:2023年3月16日 19:10〜20:00

  • 会場:ZOOM(オンライン配信)

  • テーマ:医療材料・衛生材料について考える

  • パネリスト:院長・当院看護師 青木・はくちょう訪問看護 佐々木看護師 


【前提として】

医療はあくまで治療に対して保険請求ができる仕組みで、予防の処置では請求ができません。

在宅医療では管理料の中に療養にかかる材料費が含まれています。

【当院の状況】

血糖物品、吸引チューブ、経管栄養物品等々…
必要なものは過不足なくお渡ししていますが、患者さんの希望による物品は、基本的に自己負担で購入いただいています。

例えば、患者さんの希望で必要以上に希望される場合やメーカーの希望がある場合などはAmazon等で購入をお願いすることがあります。

【問題は褥瘡の管理】

治るまでに要する期間も長く、衛生材料も結構な量が必要です。

当院では1日1回交換 × 日数分 + αでお渡ししています。

褥瘡の保護に使用するフィルムはカットしてお渡していましたが、数え間違いや余った時の対応を考えて、連日使用する方にはロールでお渡しし、治癒した時に回収しています。

しかし、患者さんのご家族が看護師の手間を減らそうと全部カットしてくれて、それがまた必要量を大幅に超えていて絶句…なんてこともありました。

フィルムは他の衛生材料と比較すると高価です。

当院でお渡しするフィルムは、他のものと比較すると使いにくいですが、必要量 + αでお渡しできるよう安価なものを探し続けています。

非固着性ガーゼはメロリンを使用していますが、最近は少し安価のカーゼ(メロリンより若干吸収力が低い)を見つけたので、滲出液が少ない方にはそちらを使用しています。

褥瘡の物品に関しては、4月からWOCナースが入職するので教わりながら決めていければと考えています。



ディスカッション


事前アンケート結果より、現状の問題点をピックアップしてディスカッションを展開します。

1.物品が提供されない

  • 必要なものが出してもらえない

  • 衛生材料(ガーゼ・テープなど)が提供されない

  • 状態の変化により処置内容が変更となり、医療材料が不足したことがある

青木:処置物品のお渡し不足はうちも時々あって、連絡をいただいてご自宅にお届けすることもあります。
必要なものが出してもらえなかったり状態の変化により処置内容が変更になって材料が不足したことがある。

佐々木:置いてくれていないところも結構ありますよ。

青木:そういう時はどうするんですか?

佐々木:うちは法人が大きいので、物品などは比較的利用できるのでそこからの持ち出しでやっています。

院長:でもそうやって削られていくシステムは良くないと思いますし、一方で湯水の如く使われてしまっても困りますね。

2.衛生材料は自己負担

  • 高齢の患者さんはドラッグストアでの買い物やネット注文ができない

  • 購入のサポートまでするのは難しく、訪問看護の持ち出しになってしまうことがある

青木:若い家族がいる方などはネットを利用できるので比較的融通がききますが、独居の方とか患者さん負担で必要な物を準備できない方もいますよね。クリニックでも全て提供することは当然できませんし、買い物のお手伝いは流石に無理です。

佐々木:我々もそこは難しいので、やはりヘルパーさんなどに必要なものを買ってきてもらうようにお願いしています。

院長:我々は診療中にヘルパーさんに直接お願いできる機会がないので…と言うかむしろ、お互いの業務が被らないように介入時間を調整していますよね?だからこそもっと連携を強化したいと思っています。

3.必要なものが提供されない

  • フィルムがあれば、と思うことがあっても置かれなかった

  • 悪化のリスクが非常に高い場合でも、予防のための使用は患者負担になってしまう

  • 必要な物品の選択における意見の相違

青木:フィルム、これについてはお互いの経験と畑が違うので相違が出てきますよね、私と院長もよくやっています。
褥瘡も医師は「貼れていれば良い」と言う感じで、私(看護師)は「いやいや、排泄物で汚れるからフィルムの方が良いでしょ」と。
そうしたら「フィルム貼っても汚れるでしょ」と言われ、確かに…と思ったり。滲出液が多くても「その下はオムツだからフィルムいらないでしょ」とか。確かに私は結構フィルム使いたがりなところがあって。

佐々木:難しい問題ですよね。

院長:地域で一つの方針を出した方が、無駄がなくなりますよね。
でもそこには競争が生まれないから、もっといいものが出てきた時に変えるのが難しいような。

参考に調剤薬局の状況


点滴ポンプのルートなど、購入価格が償還価格を上回るものは処方が出れば出るだけ薬局が損をするということになります。

何でこういうことになってしまうのかが不思議です。

バルンも同じで、バルンセットの購入価格より点数が低いし、手技料がありません。だから安い物品を集めてセットを組んだりしています。
うちはそれが面倒なのでバルンキットを採用していますが、出れば出るだけ持ち出しです。

バルンは管理料もないので在総の中でやってねということです。

総括

この問題ははっきりと線引きができない部分で、非常にグレーな部分です。

正確にはグレーではないけど、医療機関がグレーにしているとことがある…という感じです、入院中も同じですが。

本来、褥瘡の治療や吸引などの物品は医療機関が提供することになっていますが、私の調べたところによれば自費で購入をお願いしているクリニックがほとんどでした。

つまり、その医療機関の判断になります。

大学病院などは入院中でも売店に処置の物品を買いに行かされますが、当院では処置に必要なものは基本クリニックでお渡しをします。

ただ、過剰にはお渡しできませんし、必要のないものや予備は自費になるので診察の時に説明をするようにしています。

やはり多職種と意見交換をしながら、患者さんと関わるスタッフにとって無理のない最適な方法を検討していける関係づくりが必要だと思います。

事前に話し合ったり、指示書や報告書、MCSなどでどんどん提案してもらった方がいいし、それに対して「他のものでも良いのでは?」などの意見交換ができれば良いと思います。

衛生材料などについても、我々がもっと地域からエビデンスを出していく努力をすれば保険収載される可能性もあるので、メーカーとも連携して情報を発信していきたいです。

いいなと思ったら応援しよう!