退去費用の交渉経過

退去費用の交渉をしている方や根拠のない請求が来て困っている方の参考になればと思い、これまでの退去費用交渉の経過を綴ります。

本編
以前住んでいた賃貸の管理会社より退去費用請求書が届きました。

内装業者の見積書ママ
請求書

私はこの賃貸と契約して7年以上経ってており、原状回復費用請求に関しては耐用年数から言って請求が来ないものだと考えておりましたので、おかしいなと思いながらも賃貸トラブル助け隊(https://t-toraburu.com/)を確認しながら管理会社に質問することにしました。

メール①

要約すると、
①単価・㎡・減価償却率の明細付きを出してください。
②清掃費は契約書通りとありますが契約書に金額が書かれていないので領収書を出してください。

また、賃貸トラブル助け隊のサイトを読んで行くと、金額の記載がない特約は無効になるとの判決があることを知り、追加でメールを送付しました。

参考:賃貸トラブル助け隊


特約
メール②

するとこのような返信がきました。


不動産返信メール①

重要なところだけ抜き出すと
①借主負担割合の表は通常損耗のみ該当する。
②裁判内容を確認したけど今回は該当しない。

との答え。
①後述
②確認したがと言っているが多分確認してない。

ガイドラインQ.16抜粋

「ルームクリーニングに要する費用は貸借人が負担する」旨の特約は、一般的な原状回復義務について定めたものであり、通常損耗等についてまで賃借人に原状回復義務を認める特約を定めたものとは言えないと判断した

東京地方裁判所判決平成21年1月16日

上記の判決に則ると本特約は一般的な原状回復義務について定めたものであり、通常損耗等についてまで賃借人に原状回復義務を認める特約を定めたものとは言えないので通常損耗等の原状回復を求めた請求は無効となる。
ただし、退去時に通常清掃を行っていることが前提。私の場合は複数人で掃除をしているのでここはクリアしている。
説明がわかりづらいと思うのでわかりやすく説明されたサイトを下記に記載する。

また①の減価償却について調べて見ると行政書士のHPで下記のようなものを見つけた。

減価償却は過失があっても、故意であっても、契約違反があっても行えます。管理会社が過失があると減価償却出来ないというのはです。

不動産の長谷川行政書士様HP
契約書 借主費用負担割合

担当者は私に虚偽の説明を行ったのだろうか?
上記の内容をメールで送った内容が以下のものとなる。

メール③

12/25
返答待ち
1/4
未だ返信が来ず。
1/11
支払い期限を過ぎた次の日に早速メールが届いた。

不動産返信メール②

「グラフ(減価償却)は通常損耗のみ適用される」という記載がどこにあるのか聞いてるのに「通常損耗の場合のグラフになりますが」とはどういうことだろう。請求に根拠がなければ発言にも根拠がない。

不動産返信メール③

切り口を変えてきた。以前のメールまでは「通常損耗にしか減価償却は適応されません」だったのに今度は「フローリングの部分補修は減価償却が該当しません」とのこと。破損部はフローリングの上に貼られたクッションフロアだったはずなのだがいつの間にフローリングになったんだろうか。
全体を張り替えた場合の話をしているが、フローリング全体を張り替えた場合、経過年数を考慮されるはず。言ってることがよくわからない。

全体を貼り替えることによりフローリング全体の価値が復活するため、当該建物の耐用年数と経過年数を考慮した負担割合を算定する。

丸井不動産様HPより


本当に理解できてないのか、理解できてて嘘をついているのかは分からないが取り敢えず下記の内容でメールを送る。

国土交通省原状回復をめぐるトラブルとガイドラインQ.16より
https://www.mlit.go.jp/common/001005064.pdf
ガイドライン引用:
Q16 賃貸借契約にクリーニング特約が付いていたために、契約が終了して退去する際に一定の金額を敷金から差し引かれました。このような特約は有効ですか。
A.クリーニング特約については①賃借人が負担すべき内容・範囲が示されているか、②本来賃借人負担とならない通常損耗分についても負担させるという趣旨及び負担することに
なる通常損耗の具体的範囲が明記されているか或いは口頭で説明されているか、③費用として妥当か等の点から有効・無効が判断されます。
本件に関しては
・クリーニング代の金額が明記されていない
・負担する具体的な内容が説明されていない
・ただの言い値である金額に妥当性などなく非常に暴利的である。
ガイドラインに基づきこの特約は無効であると主張します。

メール④

1/19
メールを送付して一週間経ったが回答が来ないのでさらにメールを送る。

メール⑤

1/25
次のメールの間にも色々やり取りがあったが正直どうでもいい内容なので割愛する。次に不動産から送られてきたメールが下記のものとなる。

不動産メール④
見積書

フローリング(木材)だと主張するなら根拠を出せと言ってるのに未だに出さない。法的根拠を求めているのに「調べました」「思います」じゃ根拠になっていない。こんな請求が「正当な請求」だと本気で思ってるのだろうか。

メール⑥

メール⑥を送ると次のメールが返ってきた。

不動産メール⑤

説明責任を放棄したけど請求は続けるらしく顧問弁護士に丸投げするらしい。


1/29
賃貸トラブルたすけ隊のアドバイスをもとに資料を添付し、下記のメールを不動産に送付した。


メール⑦
虚偽の説明1


虚偽の説明2


破損部に関する専門家の回答

破損部は何度見てもフローリング(木材)ではなく、クッションフロア(塩ビ)であり、複数の人間に確認してもクッションフロアとの判断だったので、専門家に相談したところクッションフロアとの回答を頂いた。
不動産は通常使用ではこうはならないと言っているが、耐久年数を超える場合、通常使用でも普通に壊れる。現にカーペットの上でゲーミングチェアを使用しただけで壊れている。
不動産はいつ張り替えられた物なのかを頑なに言わないが、私の入居後に一度も張り替えてはいないので少なくとも7年以上は張り替えられていないことは間違いない。

2/7
顧問弁護士からの連絡が一向に来ない。
駐車場の敷金を取り戻すまでやろうと考えていたが仕事が忙しくなりそうなので向こうが何も言ってこないならこちらも何も言わないままでいいのかなと思う。

5/7
noteの更新をすっかり忘れていたが3か月前から何も音沙汰がない。
これ以降は先方から何か言ってこない限り更新は行わないものとする。

2024/10/14
簡易裁判所から訴状が届き、生まれて初めて被告になりました。
訴状については著作権があるようなので直接は載せられませんが、こちらが主張していないことを主張したと平気で書いており、遅延損害金を要求している。
内容としては「被告は最高裁の判決を根拠に床補修費用の支払い拒否を主張してる」というものであるが、そんな事実はない。
私が判決を根拠に支払いを拒否しているのは特約の清掃費である。
当たり前ではあるがその最高裁の判決を根拠に床補修費用の支払いは拒否できない。この不動産(代理弁護士)がやっていることは人の発言を捻じ曲げ自分たちに不利な情報(清掃費の拒否理由及び床補修費の未払い理由)を隠す極めて悪質な行為である。
この不動産の弁護士ならさもありなんという内容ではあるが、あまりにもひどすぎる。訴状を無視するとでも思っているのだろうか。

もはや馬鹿馬鹿しく感じるがそのまま何もしなければ裁判で負けてしまうようなので早速答弁書を作成し、原告の主張の否定、自身の言い分及びそれを裏付ける資料を裁判所に提出した。
少額訴訟なので10分程度で終わるらしく、それに合わせた簡単な資料としたが、裁判官にきちんと状況が伝わるかのみ心配である。

おおざっぱな答弁書の内容としては
清掃費特約については"清掃費は乙が実費で支払う"としか記載がなく金額範囲内容の記載がない点、賃借人が負担する通常損耗の具体的範囲が明記されていない点を指摘した。清掃費特約に関しては流石に判例があるので負けないと思います。(流石に負けないと思いたい。)
床補修費用に関しては、自身がフローリング(木材)ではなくクッションフロア(塩ビ)じゃないかと疑問に思い、専門業者に確認した所クッションフロアだったこと、管理会社にフローリングだと主張するなら型番等を出せと言ったが出さなかったこと。以上の2点を以て破損箇所はクッションフロアであると判断し、クッションフロアをフローリングと偽った請求は拒否しますと記載した。
もしこの裁判に負けるのであればそれが意味することは「特約に"清掃費は賃借人が負担する"と記載すれば勝手に通常損耗分の負担に同意したことになり、クッションフロアは何の証明もなしにフローリングと偽れる」こととなる。
裁判は来月にあるがどうなるのであろうか。続く。




最後に一言。
退去費用に関して不動産会社と揉めている人へのアドバイスとしては
一人で抱え込まずに専門家に相談することをお勧めします。
私自身も当初はネットで情報を調べて不動産会社とやり取りをしていましたが、上記のように話が全く通じず、顧問弁護士に相談すると言われ、法に関して素人である私の認識が間違っているのではないかととても不安でした。そうした不安は専門家に相談し自分の主張の正しさを認識することにより解消されました。

以上、長くなりましたがご精読ありがとうございました。
このnoteが誰かの役に立てれば幸いです。


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