(育休)第3話:社会活動に必要なもの、戦略の立て方
男性育休の法改正までのヒストリーを語るマガジン。前回、第2話では、2018年当時、私たちの前に横たわっていた「壁」について書きました。
第3話の今回は、その壁をどうやって壊すかの戦略や戦術。miracoが用いた手法について紹介します。
(1)戦略ミーティング!?
2017年に発足したmiraco。最初の1年は、「待機児童」という目の前の問題に向けて、がむしゃらに、そして一心不乱に走っていました。
当時、都市部での待機児童問題はきわめて深刻で、不安や理不尽、憤り、無念など、様々な感情が渦巻く中で開いたイベントはメディアからも注目を浴びました。
注目はされる。しかし、待機児童は解決されない…
そして、前回も書いたように、その背景に大きな「壁」も横たわっている…
そこで、2年目として迎えた2018年、コアメンバー全員が集まって、戦略について4時間みっちりと話し合う戦略ミーティングを、なんと毎月開いたのです。
(2)社会の仕組みを変える方法:コミュニティ・オーガナイジング
権力者でも著名人でもない一般市民である私たちが、世の中に影響を及ぼすにはどうすればいいのか…そのやり方を教えてくれたのは、「コミュニティ・オーガナイジング」(以下”CO”と記す)でした。
簡単にいうと、COとは、普通の市民が立ち上がり、それぞれが持っている力を結集して、コミュニティの力で社会の仕組みを変えていく手法。miracoではこのCOを戦略MTGに取り込むことにしました。
1)ストーリーテリング(パブリック・ナラティブ)
最初はCOJの方にコーチをお願いし、自身のストーリーを語って共感を呼ぶストーリーテリング(パブリック・ナラティブ)の訓練から始めました。(メンバーが綴ったマガジン「なぜmiracoで活動するのか」で8人分のストーリーをお読みいただけます)
2)関係構築
その次は関係構築です。お金や雇用でつながっているわけではないボランティア活動では、メンバーがつながり合うための共通の目的が必要です。合宿を開いて、「私たちは何のために活動するのか?」、「待機児童問題が解消されたらそれでOK?」、「いや、もっと根本の大きな目的があるんじゃね?」など、一言一句みなおしながら、メンバー全員がコミットできるmiracoポリシー(目的)を練り上げました。
3)チーム構築
ボランティア活動を続けていく上で、もう1つ大切なこと。それは、お互いに関心を持ち合い、成長し学び合える関係で、それがすべてといっても過言ではありません。ある戦略MTGの回では、メンバー全員が「得意なこと」や「成長したいこと」を発表し、その上で「やりたいこと」を話し合いました。
会社や売上のために「やるべきこと」について話し合う仕事の会議とは全く異なる、やりたいこと起点のアプローチは、私にとってとても刺激的でした。
4)戦略立案
5)アクション
COには、その次のステップとして、戦略立案→アクションがありますが、男性育休の「壁」を壊すために立てた戦略と、具体的なアクションについては次回、第4話にて詳述したいと思います。
(3)ボランティア活動を続けていく上で大事なもの
その活動によって何かを実現させることは大事ですが、社会課題というものは、そんなに簡単にスッキリと解決することはなく、ジワジワとジリジリとしか変わっていかないものがほとんど。そんな中、ボランティア活動を続けていく上で大事なのは、志を同じくする仲間と成長し学び合えることだというのが、私が7年間のmiracoでの活動から得た実感です。
当初、COを知らなかった私でしたが、戦略MTGで使ううちに「もっと学びたい」と思うようになり、個人的にCOJのワークショップにも参加し、学びを深めました。結果的に、本業の仕事の事業提案や戦略立案にもCOの手法は活かされています。
その他にも、メンバーがそれぞれmiracoに持ち込んだITツールや、ファシリテーション力、動画の撮影・編集スキルなど、不惑を過ぎてからもまだまだ成長できることに気付きました。miracoの活動を始めてから7年が経ちますが、共に学び合った仲間たちに、改めて感謝、感謝の日々です。
次回:男性の家庭進出プロジェクト発足
今回は、男性育休の「壁」をどうやって壊すかを考えるためにmiracoが用いた手法と、ボランティア活動を続けていくために大事だと思うことを紹介しました。
共に目指せる目的を定め、その目的に向かって志を同じくする仲間たちと、やりたいこと起点のアプローチで学び合い、成長し合える。「何を為すか」と同じくらい、「誰と為すか」、「どうやって為すか」も大事だな、という想いを書き綴ってみました。
さて次回、第4話では、育休法改正に向けて取った「戦略」と「アクション」について具体的にお話しいたします。ぜひお楽しみに。
#男の産休 #男の育休 #ボランティア #社会活動 #プロボノ
#コミュニティ・オーガナイジング
(文責:りょうたっち)