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桜舞春音の小説作品をちょい読みできる!!【宣伝】
こんにちわ!MIQYです✨
今回はMIQYの別名義である桜舞春音(さくらまはるね)の小説作品をちょい見せします!!
カクヨム 桜舞春音
1 ナイトレガシー
いじめによって不登校になってしまった中学生の彼はある日夜の街に出掛ける。そこで出会ったのは、旧いデコトラに乗る青年だった。青年は世界に疲れた人間が集まる夜の遊び場、ナイトレガシーの住人。そこで彼が触れたのは、夢を追いかけたい、そんな気持ちだった。
「簡単な明日ならいらない。恵まれた世なんて腐敗の原因さ」
夜の世界と“独り”の少年が紡ぐ、短くて長い夜の物語。
【本文】
夜は彼にとって、唯一の癒しだ。
愛知県名古屋市。五月初めの初夏の夜に、一人の少年が家を出た。
弦月藤舞。
中学二年生になる彼は不登校児だった。度重なるいじめを受けて、彼は人を信用しなくなっていた。かつて人を信じて疑わず、今残ったのは傷だけだ。
夜は綺麗だと思う。
満ちていく月と深い藍。藤舞の世界は夜だった。
彼の父親は仕事で泊まり。父子家庭で、父が居なければなんだってできる。傍はたから見ればよくない環境だろうが、彼にはそれが嬉しかった。
藤舞は自転車に跨またがり、夜を切る。涼しい風が気持ちいい。夜は嫌なことを全部吸い取ってくれる気がする。深い闇に溶かしてくれる気がする。それだけで十分。藤舞の漕ぐハマーの折り畳み自転車は軽快に走る。
千種公園ちくさこうえんを抜け、東部医療センター南の交差点まで来た。直進すれば春岡はるおか、左折すれば池下いけした方面、右折すれば今池・栄。
いつもなら直進だが、今日はいつもと違うことがしたかった。
繁華街に行ってみよう。きっと面白い。
藤舞に、悪魔が囁いた。
https://kakuyomu.jp/works/16817330654559107966
2 バディ
宇宙空間の外側には、”無の空間”が存在する。それは”彼女”に言わせれば半分正解で、半分間違い。女王クババという存在は、地球ではほとんど認知されていないが宇宙空間を創った張本人だ。しかし多くの命をみている中で疑問が浮かぶ。ひたすらにひたむきな女王が戦いながら正解を探す、ちょっと変わったサイエンス・ヒストリー・ファンタジー。
【本文】
宇宙。
万物を包み広がりつづけ、時を生み時に翻弄される青い蒼い生命体。
宇宙空間が不思議に満ちているその理由。それは人に許された空間ではないからだ。
人類は宇宙の起源について、無の空間のゆらぎからインフレーション、ビッグバンが起こり空間が生まれたと説明する。それは”彼女”にいわせれば、半分正解で半分間違い。
「クババ様、そろそろご支度を」
「ああ……もうそんな時間ね」
世話係のケルビム・ビスタのドア越しの声に、本を読んでいたクババは立ち上がりピンクのドレスに着替えだした。
ショッキングピンクしかない寝室の真ん中に置かれるオートクチュールのシーツがかかったベッド。その横にある猫足チェストでは、王の証であるレガリアが無為に主を眺めている。
女王クババといえば、無の空間から突如降臨しこの世界のすべてを創り今なお司る唯一無二の女王として名を馳せる存在だ。今となっては彼女が作り出した生命の持つ”性”で繁殖をするものの、それをせずともどこをどうごまかしたか無から有を生み出せるから、聖なる母とも呼ばれている。
しかしそんな聖なる母も全知全能の神ではない。未知の領域というのは存在した。
―私が手を加えなくても、無の空間から命や物質は誕生するの?それは継がれ、育つの?
「クババ様、車の用意ができました」
「ありがとう、もう行くわ」
ケルビムの運転で、クババはアポ無しである場所へ向かう。
国一番の研究者、その研究所。
クババが問いの答えを求めて、研究を依頼した先だ。頼んだ時の話ではもうできているはずなので、それを見に行こうとしていた。(第一話)
https://kakuyomu.jp/works/16817330654795368991
3 幸せの定義
戦線を目前に、現れる命の危機。理不尽に生かされる少年たちが気づいた"黒幕"とは―(一話「太陽編」)
自閉スペクトラム症の弟を両親の遺産で養いながら暮らす彼は、中学一年の夏、新たな地で暮らし始めた。そこで触れた、初めての友情、優しさ、怒り、悲しみ。弟以外の何物にも無頓着な少年は、今まで見てこなかった社会の矛盾や怖さを身を持って理解する。同時に、彼らはお互いを高め合う様に成長していく。弟の成長、自分の目標、友情、勉強。全部諦めない、意外にも自分が欲張りであることを知った彼は、自ら行動し始める。彼らはその仄かな変化に気付くことが出来る。そして満足することが出来る。その積み重ねを彼は「幸せ」だと言った―(「前世編」)
どこか懐かしい本を読んだ。ただ裕福に、恵まれながら生活する自分にできる偽善ではない助けとは―(「来世編」)
ちっぽけに、でも確実に生きる彼らと現実世界が紡ぐ、いのちと幸せを探す旅の物語。
【本文】
篝火の様な弱さを魅せる
はぐれものではいられないわ
爆ぜて痛みを誘う刃
ほつれることを恐れないの
心誂え酔えて狼狽
恨みつらみも持ちはしないの
電波系でもオーヴァーチュア
私だけだと気づいたから―
一九九一年一月七日。
バスのスピーカーから突然警報が鳴れば、うるさくて仕方ないと思うのも仕方ない。
先進国、というより中国に似た新興国として北欧を占める国家、オペラ。緊急事態を報せるОアラートの内容は、隣国の原子力発電所の事故による放射線への警戒だった。
ざわつくバス車内、背の低さ外の見えない小学生が覗き込もうと必死である。あくまでバスは変わらず高いエンジン音を響かせて冷静に進んでいた。
高校への通学途中、そのバスでステラ・バキュロはОアラートを聴かないで済む方法を探していた。
放送によれば事故現場はこのバスが向かうオペラの首都・ピカレスク市からセレナ市と国境を挟んだ誰も寄り付かない廃墟だらけの田舎。原発なんてそこだけだ。ここには何ら影響ないだろうと判断していた。
高校へ着くと、まだあまり生徒はいなかったが、担任はここで待機しろとの指示を渡した。
地震も水害もほぼなく、あるものといえば慣れ親しんだ雪害くらいのオペラでアラートが鳴るなんてことなかったから中には初めての教師もいて、ステラは頼っていいのかなと思った。(太陽編)
母親の葬式に、彼は出なかった。
四月七日。春雨の中、一人の少年がマンションのベランダに出る。
愛知県名古屋市。名古屋環状線に面する都市再生機構都通団地の十一階に、彼は暮らしていた。
土岐原陽葵。一二歳、小学六年生としては落ち着いた彼の部屋着はくしゃくしゃのステテコとTシャツ。陽葵は鬱病と薬物依存の治療でここ数年、殆ほとんど帰らなかった母親の代わりをしていた。
朝起きれば掃除をし、朝食を食べ、弟を送り自分も学校に行き、帰宅後はランドセルを放って弟を連れ返し買い物をして風呂に入り夕飯を作り食べ、宿題をし片付けをして弟を寝かせたらお金のやりくりをしてふと顔を上げて時計を見ると一時。そんな生活だった。
はやくに離婚したという父の残していった金と毎月届く金は多くはないがまだ残っていて、母親の遺品を売り払えばしばらくは食っていける。だが、その暮らしも吹けば飛ぶように不安定だった。(前世編)
https://kakuyomu.jp/works/16817330654904054326
5 涼しい夏
―俺はノートに記された―
本なんて興味ない。そう思っていた竜也は春介に誘われてやってきた図書室で一冊のノートを見つけた。ノートには、印刷された文字の羅列。五ミリ方眼に記された小説は、気が付くともう思い出せない。竜也を追いかけ、竜也を縛りつける黒いノートは冷たくはりつめた感動で竜也を蝕んでいく……桜舞春音の怪奇体験をもとに描かれる、この夏いちばん平坦なホラー(黒いノート)
―深紅の火桶は、エリカになった―
免許を取得し、中古で真っ赤なセダンを買ったエリカは毎日のようにドライブに出かけては朝帰りを繰り返していた。真面目で運転も上手だったエリカはある日、暴走しながら家を飛び出して……エリカと両親の人生を狂わせる、一台の車にかけられた本当の呪いとは(エリカの棺)
―この団地は、出るぞ―
恭輔が越してきた団地は、かなり古ぼけていた。出るぞ、と言われ斜に構える恭輔だったが、ここにでるのは幽霊でも宇宙人でも虫でもなく、もっと恐ろしく逃げられないものだった…。あなたもきっとゾッとする、ないようでありそうなホラー(古い団地)
―俺の生きる価値はきっと、死なないことだけなんだろう―
登山中、仲田智弥《なかたともや》は崖から転落した。深い霧が立ちこめる森の中で、智弥は山小屋にたどり着き、歳も性別も異なる仲間と出会う。「この世界には終わりがないの。永久に続くんだよ」彼らの言葉に、智弥は己の命の価値を疑問に感じはじめ……永遠の命の価値とは何かを探る、共に彷徨う物語(泡沫の隣)
桜舞春音が贈る、短編ホラーオムニバス。
https://kakuyomu.jp/works/16818093079578085175
プリ小説 桜舞春音
1 信心
【本文】
暑い。
お盆も終わるというのに、気分が悪くなるほどに暑い。
晃ひかるはもう殆ど汗を吸わないハンカチで首筋を拭いた。夕方に出たのは暑さ対策のつもりだったのだがあまり効果はなかったみたいだ。
高見小学校からすぐのところにあるスクランブル交差点を右に曲がると、緩やかな上り坂になる。前に自転車で来たら傾斜のわりに可成りきつかったのでなるべく自転車は使わないようにしていた。
このあたりはだいぶ特殊な地形をしている。登ったと思ったら下り、登ったと思ったら下りを繰り返す。かつて池の底だったことと人間の開発でこのような地形が生まれたと晃は勝手に解釈していた。
日泰寺まで登り、次は降りる……。
何度目かの道のり、特に変わりはない。
右側には地蔵が何体か置かれている。ひとりひとり違う顔をした地蔵たちが道を見守っている。木に隠れ、舗装から一段さがった高さにあるのも相まって別世界のようで、いつも足を踏み入れるのに躊躇っていた。そこに、今日は人影があった。
地蔵の前を通るたび、詫びと世間話を入れながら、ひとり楽しそうにゴミを拾っている。晃より年下にみえる少年は、可愛らしい声をしていた。(第一話)
2 不死身の暗箱
初めて人を殺めたとき、その感覚はひどく呆気ないように思えた。
武豊幸在は稀代の殺人鬼だった。
別段恨みもない相手をなんの目的もなしに殺す。いわば趣味としての殺しを続ける。金目のものを奪うのはついで。何の意味もなく義務のように無差別に罪を犯していた。
幸在が捕まったのはほんの不注意からだった。
珍しく東京に出掛け、八王子でフラフラしていたとき絡まれたヤンキーと揉めて殴ってしまった。そのヤンキーは近所でも有名な不良だったらしく、偶々見張っていた警察官によってもろとも捕まったのだ。
それから管轄の警察署に連れられ、いくつか質問されたあと休ませてもらえた。
警察官の話を聞いていて知ったことだが、この八王子が東京では郊外に分類されることに驚きを隠せなかった。幸在が生まれてこの方住み続けていた宇治田原の最寄り都市・京都市より都会だったからだ。
今回の喧嘩のことだけについて言えば、懲役に行くほどの罪ではない。相手が相手だから訴えられる可能性も低い。幸在は人殺しでありながら起こした事件の殆どが未確認で指名手配犯ではないから他の罪について問われる可能性はもっとなく、このまま逃れられる筈だった。
しかし、この数日前に幸在はホームレスを一人殺している。
東京の監視機能を舐めていた。公園の脇にあるコンビニの監視カメラは、幸在がホームレスを殺す瞬間を捉えていたんだ。
その殺害方法から、未解決だった六〇余りの事件の犯人は幸在だと判断された。彼女はそれらの事件への関与をあっさりと認める。
それから数日後、地元に帰ることなく山梨県南アルプス市にある日本最高機密刑務所へと移された彼女の大罪は死刑レベルである。
しかし既に殆どが片付けられていた事件ということもあり終身刑という形で一生をそこで過ごさせることと落ち着いたらしい。それには勿論、更生ではなく反省の期待が込められていた。(第一話)
エブリスタ 桜舞春音
1 文誼
夏に差し掛かり、雨と猛暑を繰り返す愛知県新城市のとある町。そこでシングルマザーとして子育てに奮闘する麗は、息子・悟の異変に気づきはじめる―(「転生のツキ」編)。
悟が夢から目覚めると、もう"悟"ではなかった。引山結夢の名を背負い、高校生となった彼は、明日とも再会して新しい生活を営み始める。不可思議な力で迷い込んだパラレルワールドで出会う七人の男女と、彼らは生きるために旅を始める―(「怪物の誼」編)。
夏の絆と不可思議が紡ぐ、静かな冒険の物語。
2 向こうのあたし、こっちの僕
四月一日、エイプリルフール。
嘘をついても良い日。でも、嘘なんてその日じゃなくてもつくやんけ。どんなに落ち込んでいても、どんなに自分が、世界が、”親”が嫌になっても、鏡の前なら笑っていられる。自信がもてる。希望がもてる。それは、鏡の向こうのキラキラした自分に合わせるためかもしれない。だって現実世界の「僕」の毎日は、嫌なことの連続なんだから―
心を追われた妄想と、現実との戦いで得る自分だけの幸せとは。
アルファポリス 桜舞春音
1 逃避録
【本文】
五月に入ってからというもの、ずっと雨が降り続いている。別にそれが嫌というわけではない。彼にとっては、そんなこと一切関係ないことだからだ。
「どうしてそんな事もきちんとできないのですか!!」
バシンっと鈍く響く音とともに神宮類の泣く声が一段と大きくなる。
それを、他の子どもたちは黙って見ている。ここで微動でもしようものなら"正義"……新瑞橋未咲は容赦なく“教える“から。
愛知県名古屋市。
一般的には民度が高いとされる千種区の子どもたちだが、ここ高度保育施設には名古屋じゅうから訳ありの子どもたちが集められている。多くは、親兄弟を喪った子どもたちである。その中でも発達障害であるとか、知的障害であるとか、身勝手に面倒と見做された存在は里親に出されることもなくここに入れられる。表向きには成人までを上限年齢として学習から生活、職までを手あてする保護施設だが、実態は、なんの愛も受けられない檻だった。
未咲は類を部屋に戻した。
全くどうしてこう言ったことが理解できないのか。給与は良いし、保育士資格だけで公務員としての肩書を手に入れられたものの、それに騙されてここに就いたのは間違えた気がする。
未咲が同期の大江爽伸と二人で努めているのは、五歳から一〇歳クラスの男の子。健常児ならイヤイヤ期を抜け出した頃であるが、この施設の子供はたいていが自閉症かADHDかを持っている。だから大変さは計り知れなかった。
「みさ先生怖かった……」
類は未咲が消えてから、薄ら寒い遮光カーテンの部屋で同室の岩充話していた。無機質な鉄製の二段ベッド、簡素な仕切りのトイレと洗面所がある一〇畳程度の子供部屋。これがあと三二部屋ある八階建ての建物が高度保育施設。通称BADROOM。
BADROOMというのは卒業し世に出た者たちが外に出てから言うこととなるここの渾名。人権なんて微塵もないこの施設を指すため、主に一般人の間でヒソヒソ語られている言葉だった。(第一話)
2 三〇二革命〜トモとの挑戦 その先の笑顔へ〜
【本文】
手を挙げたその時、彼は一点を見つめていた。
四月。名古屋の公立中学校で三年に進級した舞鶴結城は学級委員長に立候補した。
「はい、舞鶴くん。他、立候補いいですか?」
担任の本郷はなみずきがホワイトボードに名前を書く。
どこにでもある中学の、どこにでもいる生徒たち。三つある校舎の内の真ん中の一階。今年から黒板がホワイトボードに代わった教室を、高くなりはじめた春の太陽が暖め、壁の反射が明るさを増す。
六五平方メートルにも満たないコンクリートの箱に列をなす黒たちは結城の委員長就任を拍手で認めた。
「じゃあー女子委員長」
はなみずきはそのよく通る声を張りながら振り返る。
「あ、松原さん」
結城からちょうど三席後ろの松原桃寧が手を挙げたらしい。
「じゃあ前期委員長はこのお二人に任せるよという方は拍手を」
はなみずきは終始声が大きい。
教室に拍手が起こる。
結城はこの拍手をあまり信用していない。 大体の人間は、 拍手するんだから。 拍手しないとじゃお前がやれよとなるのは然り、立候補していない以上拒否だってできないし、投票で争ったやつ以外はいつもみんな拍手をくれるんだ。(第一話)
まとめ
いかがでしたでしょうか?ほぼMIQYしか得しやん内容ですが、夏にぴったりなホラー短編集や唯一無二(やと思う)のファンタジーなど、この時期におうちでゆったり読める作品を取り揃えております。また一話が短いこともウチの作品の特徴ですが、これはスキマ時間で読めるような配慮となっています。
ぜひぜひお立ち寄りくださいまし(*^^*)
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それではまた次の記事で〜✋
……カクヨムのURLだけ貼れんのなんなん。