治安悪いまま バグらせてこ

アイドルグループ『ZOC』からメンバーの1人、兎凪さやかが脱退した。
だからなんだ、そもそもZOCって何、という人も数多くいることでしょう。
それでも私にとっては大事件で、クリスマスが過ぎても新年を迎えても兎凪さやかの脱退によるショックを未だに引きずっている。

通称さやぴ。
シンガーソングライターである大森靖子を中心に結成されたアイドルグループZOCのメンバーであり、グループ内でのカラーは白色。
『自撮り詐欺』を武器にストイックに可愛いを追求し続ける努力家で、普段のSNSからもファンのことが本当に好きなのだと思いが伝わってくる。
そんなさやぴがなぜ突然脱退することになったのか。

本当に突然のことだった。
さやぴの生誕イベントの当日に日付が変わった深夜、突如イベント中止が発表され、その後のライブもさやぴの出演見合わせがアナウンスされた。
その時は体調を崩したのか、精神的なものなのかと心配していたが、理由は全く違うものだった。

ZOCの公式Twitterで発表された内容がこちら。
つい先日20歳になったばかりのさやぴが、19歳当時に飲酒および喫煙をしていたといった内容の記事が報道された。
そして本人はその事実を認め、脱退。
文字にするとこんなにも呆気ないものか。

脱退という選択は決して間違ってはいないのだろう。
むしろ正しい答えなのだろう。
でも、私はZOCに、さやぴに、『正しさ』を求めたことなんて1度もない。
理不尽な正解に押し潰された時に救ってくれていたのがZOCだったのに。

分かっているつもりだ。
何かしらの処罰を受けなければいけないこと。
たかが喫煙、たかが飲酒、なんて思ってしまうのはファンの贔屓目であって世間的に見ればたかがで済まされてはいけないこと。
本人や事務所が決めたことにファンが口を出すのはその決断をした本人に失礼であること。
その決断を受け入れ応援するのがファンとして最善の行動であること。
1番苦しんでいるのは本人やメンバーであること。
ZOCは次に進もうとしていること。

分かっているつもりではいるけれど、分からない。
新曲が発表されても、ジャケットにさやぴがいないことがどうしても気になってしまう。
脱退しなくても良かったじゃないかって思ってしまう。
活動休止して、たくさん反省したらまた戻ってきてもらうことはできなかったの？
脱退以外の選択肢はなかったの？
さやぴがどれだけZOCが好きで、ファンのみんなのことが好きで、たくさんの努力をしてきたことはみんな知っているのに。
ZOCのために学校を休学までして頑張ってきた。
たった1度の間違いでさやぴからZOCを取らないでよ。ZOCからさやぴを取らないでよ。私達からさやぴを取らないでよ。
これもただのエゴだろうけれど、エゴで十分だ。

ZOCのコンセプトは『孤独を孤立させない』でしょ。
靖子ちゃんはアンチ多い奴がセンターだって言っていたし
かなのだって少年院入って更生してアイドルしているし
少年院以上のゴシップネタ持ってこいって歌ってたし
ピエールは大森靖子とZOCは守らない理由がないって言ってた。

文句のような言葉が次々と出てきてしまうのはどうしても悔しいから。
悲しい、寂しい、よりも悔しい。

20歳まで飲酒も喫煙もせずに綺麗に生きてきた人間がどれだけいるの？
そんな綺麗な人間にもZOCは刺さるの？
飲酒や喫煙を大きく問題視する人はそもそもZOC聴いているの？
そんなこと言い始めればキリがない。

こんなにも悪足掻きしてしまうくらいに、さやぴが脱退することが悔しい。

自分の顔が嫌いでしょうがなくて、どうして自分だけこんなにも容姿も内面もダメなんだと泣きながら生きてきた人間にとって、さやぴは希望なんだよ。
『可愛くなりたい』と泣いたさやぴが、たくさんの人に愛されるアイドルでいてくれることが救いだよ。
自分が可愛くないことに泣いてきた人間にしか分からない世界があることを社会の大多数の人は知らないのだろうけれど、さやぴは間違いなくその世界の呪いから努力で這い上がった。
こちら側の人間にしか分からない。
だからこそ私はさやぴが好きだ。

本当は僕もまだ歌えない
未熟な愛だって思うよ
でも成長過程みせるのが
アイドルだって聞いた
誰にも言えない人生を 抱きしめさせてよ
汚れても
泥まみれで進んだのを
不純なんて思わない
やり直さない 消さなくていい
そのままで素敵な君なんだ

これはZOCの楽曲『A INNOCENCE』より抜粋した歌詞。

いつかさやぴにまた会える機会があればいいな、という私のエゴがどうか叶いますように。