人は変化する生き物
店長が「俺、今自宅の庭を増園するのにハマってんねん」と教えてくれた。
ほほう…8年前「俺は絶対に植物に興味を持たない」と
言い切っていた人だ。
それで私に白羽の矢が立ってパートのおばちゃんなのに店舗の園芸を一挙に引き受けて8年間過ごしたんだぞ。特別手当もいただかず時給でのみ、よく植えたもんだよ。
変化があったのは4〜5年くらい前、
植物ゼロ地帯を土作りから始めてお金をかけずに次々と挿し芽で植物を増やした。
そのうち、掘ったり土を運んだり力仕事が多いので、店長も手伝ってくれるようになった。
水遣りをしないと、
どんな植物でも死んでしまうので水遣りは店長の仕事になった。
毎日世話をしているとだんだん愛情が湧いてくるもので根腐れ仕掛けてる植物など「なんとかならん?」と
懇願してくるようになった。
愛は世話をすることによって生まれるのかもしれない。
園芸担当から降りたい…と4月の面談でお願いしていたのだが、後継者がいないのでもうすこし待って…と言うことだったのだが9月に乳がんになってセンチネルリンパを生検で取ったので「土を触らない」ということになってしまった。(ゴム手袋を重ねて怪我をしたりしないようにしたらできるけど…)
ま、私にしてみりゃ辞めたい仕事だったので渡りに舟状態だったのだが、店長が見よう見まねで休職中も花を植えてくれていた。
暖かくなって花の成長と開花はぐんぐんと進む。
「なぁ、花いっぱいで可愛ない?」と嬉しそうに言う店長。8年前「俺は絶対に植物に興味を持たない」と
言い放った人はもういない。
「造園さ、、出来上がったら写真見てくれる?」
と言う。植物を選んだりなにを植えるか考えたり設計図を書いたりするのがめちゃくちゃ楽しいらしい。
「退職後のいい趣味できましたね!」と言ったら
「俺もそう思うわ!こんなに楽しいと思ってなかった」と。
もともと、器用で愛情深いひとだからきっと植物にハマる…と思ってたけど想像以上にハマっている。
なんだか、余生も安心だ。
本音を言えばずっと一緒に働きたいけどあと3年で定年を迎える。
私の人生でも、あの人に逢ってなかったら……と思う人が何人かいる。
過去に働いていた時の先輩たちは、
緊張感ビンビンの空気になればなるほど上司に見つからないように、そっと面白いポーズをして和ませてくれた。
私はそれ以来、仕事はチームと考え、緊張感のある中でユーモアを忘れないようにしている。緊張感だけでは失敗してしまう率が上がってしまうからだ。
他にも多々影響を受けた人がいるけれど、
今の自分を形成しているものは過去に出逢って影響を受けた人たちの残像が私の中に蓄積されて残っているのかもしれない。
お陰でたくさんのことができるようになったし、
自分の幅を広げることができた。
人は知らずに影響を与え、
影響を受けて生きている。
だからコレからもたくさんの人に出逢って、
たくさんの影響を受けたい。
人間関係は煩わしいこともあるが、
人と出逢うことでしか開かない扉があると思う。
人は死ぬまで発展途上だ。
生きている間、自分の知らない自分に出逢えることにわくわくしている。