敢えて今アナログの手紙を。
万年筆やガラスペンで文字を書くのが好きなので、日記やスケジュール管理はスマホと紙を併用している。
実際に手で書くことで記憶にも残りやすいので私にとって紙の日記帳や手帳と筆記用具は欠かせない。
特にガラスペン。
万年筆も大好きなのだが、インクに浸けて使うガラスペンは何となく背筋が伸びる。
最近古い友人がガラスペンを買ったらしく、使う機会が欲しいとのことだったので文通を始めた。
彼女とはLINEでもやりとりをしているのだが、LINEでは手紙の内容には触れず、純粋に文通を楽しんでいる。
手紙を書くこと自体ももちろん楽しいのだが、アナログの手紙は封筒をのりづけした後に封蝋(シーリングワックス)を添えることが出来るのも嬉しい。
さほど手紙を出す機会が多くないのにシーリングスタンプやワックスのコレクションが多いので、文通を始めてからここぞとばかりに使っている。
普通に封筒で手紙を出す時は84円切手で良いのだが、シーリングスタンプを押すと定形外郵便になって120円切手が必要になる。
ただ封蝋が押してある手紙というのは特別感があるので、その分の差額だと思えば痛くない。
文通相手の友人と今度オリジナルインクを作りに行くことになったので、日程決めを敢えてLINEではなく手紙で行った。
LINEだとすぐにレスポンスがあるので効率的なのだが、手紙で日取りを決めるのもなかなか乙なものだ。
候補日を書いた手紙を出し、返信の手紙で予定が決まる。
郵便受けにいつ手紙が入るかわくわくしながら待つのは非常に楽しかった。
遠方に住む祖父母にもたまに手紙を出すのだが、届くといつも嬉しそうに電話をかけてくれる。
いわく、「最近は文通する相手もいないからお手紙を貰うとすごく特別なことのように感じる」とのこと。
秋のはじめに祖父母から栗を送って貰った時は美味しそうな栗に似た茶色のインクでお礼の手紙を書いた。
私はインク沼の住人でもあるので、季節に合ったインクを選ぶのも愉しみのひとつだ。
LINEや通話などのリアルタイムのやりとりは、推敲する機会が少ない。
しかしアナログの手紙は入りをどうするかから始まり、何を書くか、そしてどう締めるかなどをゆっくりと考えることが出来る。
手軽な連絡手段はすぐに反応が返ってくるので便利だ。
それは間違いなく疑いようのないことなのだが、手書きの文字には独特の温かみがあって良い。
文通までいかなくても、例えばバースデーカードやクリスマスカードなんてどうだろうか。
手軽な連絡手段に比べてとても印象的で特別な便りになるし、形として残る。
日頃の想いを伝える方法として、敢えて今アナログの手紙を推したい。