ニードルを使ったピアスの開け方講座。
※セルフピアッシングは自己責任のもと危険を承知で行いましょう。
10箇所以上。現在計17箇所。
おそらく人よりセルフピアッシングをしているであろう私が、ボディピアスのピアッシングをするにあたって開ける前に知りたかった情報をメモしておこうと思う。
自分でピアスを開けようという同志のためにピアッシングに必要なものと手順、アフターケアを書いておく。
なおイヤーロブ(耳たぶ)であればピアッサーでも良いと思うのだが、軟骨や特殊部位はニードルを使うことを強くおすすめする。
【必要なもの】
・(必須)消毒液
使う道具やピアスを消毒するためのもの。
エタノールでも市販の消毒液でも良い。
私は揮発性の高い無水エタノールを愛用している。
完全に乾ききってから使用しないと傷口に消毒液を塗り込むことになるので、消毒は事前に済ませておくこと。
ティッシュやコットンに含ませて拭き取るのでも良いし、小皿に入れて浸しておくのでも良い。
・(必須)ニードル
太い注射針のようなピアッシングツール。
ピアッサーと違い、刃物なので綺麗にホールが開く。ゆえに、トラブルも起きづらく安定もしやすい。
16G(ゲージ、と読む)、14G等と表記があるが、数字が小さくなればなるほど軸の太さが太くなる。
耳たぶなら16Gで良いかも知れないが、軟骨やボディピアスを開けるなら14Gを推奨する。
その方が安定が早いからだと言われており、個人的にはそれに同意する。
ただ同ゲージ接続はなかなか難しいので、慣れないうちは多少出血するかも知れないが14Gに16Gのピアスを通すのも1つの手だ。
慣れれば同ゲージ接続でも問題なく出来るようになるし、後述するインサーションテーパーを使えばもっと楽に出来る。
・(必須)ファーストピアス
ピアッサーと違い、ニードルにはピアスがついていない。
つまり素材さえ間違えなければ最初から好きなピアスをつけることが出来る。
サージカルステンレスやチタン、強化ガラスなどが金属アレルギーの心配が少なく、おすすめだ。
ファーストピアス選びで注意しなければならないのは、ニードルよりも太い(ゲージ数の小さい)ピアスを用意しないということ。
うっかり間違えると入らなくて泣きを見る。
・(必須)軟膏
ニードルの滑りを良くするために、ピアッシングをする前にニードルに軟膏を塗る。
多少出血を抑えてくれる効果もあり、何より摩擦が少なくなるので痛みも少なくなる。
使用する軟膏はワセリンでも抗生物質入りの軟膏でも良い。
よく使われているのはテラマイシンやドルマイシン、白色ワセリン、オロナイン軟膏などだろうか。
実は痔の薬として有名なボラギノールも粘膜に使える・麻酔成分配合などの理由で愛用者が一定数いるようだ。
何の軟膏にせよ、口内や粘膜に使用する際は問題ないかきちんと確認しよう。
なお軟膏のチューブにぷすっとニードルを差し込めばニードルの空洞部分にも軟膏が入ってくれるので、出血がより少なくなる。
・(必須)鏡
これが無くてどうする。
理想としては三面鏡を使うと角度までしっかり見えるので良いのだが、ない場合は首を捻ってしっかり横や斜めからも確認しよう。
・(ほぼ必須)マーキングペン
専用のものもあるが、アイライナーや油性ペンでも良い。
どこにピアッシングしたいかのマーキング、アンテナヘリックスなど角度が重要になる場合はその角度の線も引いてあげると失敗が少ない。
・(ほぼ必須)消しゴムやコルクなど針を受けるもの
ニードルには当然だがストッパーなどはついていないので、勢いよく貫通すると他の部分を傷つけかねない。
そのために必要なのが消しゴムやコルクなどのニードルを受け止めるためのものだ。
私個人はワインを飲まないし消しゴムの方が大きさの調整のしやすさ、平たさなどが好みなので消しゴムを使っている。
・(あると便利)クランパー
フォーセプス、フォーセプツなどとも呼ばれる。
ピアッシングする箇所を挟む道具で、適当な位置で固定できるように作られている。
軟骨などのでこぼこした場所には向かないかも知れないが、耳たぶやハンドウェブ、皮膚の表面をすくうようにピアッシングするサーフェスピアッシングにはあると便利。
無い時は洗濯バサミでも何とか代用できることもある。
・(あると便利)インサーションテーパー
本来はピアスの拡張や挿入に使う器具。
細い先端から規定のゲージの太さまで広がっている道具。
私はこれをピアスの付け替えだけでなく、ニードルとピアスとの接続にも使っている。
ニードルという物は中が空洞になっていて、+2G分くらいまでの細さのものなら中に入るようになっている。
ピアスを装着したインサーションテーパーの細い先端をニードルに差し込むと、同ゲージ接続の際の苦労なしにスススっとピアスを接続することができる。
・(あると便利)ボールグラッパー
ボールキャッチャー、ボールホルダー等とも呼ばれている。
エンド(ピアスの飾り部分やボール部分)をガシッと掴んでくれるので、
「つるつる滑ってつけづらい」
「持っているうちに角度が変わって入らない」
といったことが回避出来る。
私はこれを使い始めてからピアスの付け替え時間がグッと短縮した。
・(あると便利)ゴム手袋
ピアスをつける上で出て来る「ピアスが滑る問題」。これを解決するのがゴム手袋だ。
ニードルが滑るのを予防する効果もある。使い捨ての安い大量に入ったもので良いので買っておくとピアッシング、付け替えの時に非常に楽になる。
【手順】
・道具や施術箇所の消毒
まずはピアッシング箇所含め、全部消毒。手もしっかり洗う。
ニードルは滅菌されている場合が多いので下手に消毒するよりも使う直前に取り出すようにした方が良い。
ピアスは片方のエンドだけシャフト(軸)とがっちり締めておいて、もう片方のエンドは外しておくと良い。
・マーキング
鏡で開けたい位置を確認し、マーキングペンでマーキングする。アンテナヘリックスやインダストリアルのように角度が重要になる場合は点だけではなく耳輪に線を引いて角度を間違えないようにしよう。
マーキング後にニードルに軟膏をつけたら、準備完了。
・一気に貫通
ある場合はクランパーで固定、無ければ開けたい部分と垂直になるようにニードルを構える。
針先が出て来る場所に消しゴムかコルクをあてがい、一気に刺す。
ためらったり引き戻したりすると出血したり傷口が汚くなったり、皮膚がキュッと固くなって余計に刺しづらくなるので一思いににいく。
ニードルの先端が出たら一安心…ではない。
一番痛いのはおそらくニードルの斜め部分から真円部分にかけての箇所だ。
最後の一押しなので我慢して頑張ろう。
真円部分まで通ると、ニードルがすんなり通るようになる。ここで一旦ニードルの先端にキャップをつけて休憩してもOK。
・ファーストピアスへの接続
さて、最後の難関、ピアスとニードルの接続だ。
インサーションテーパーがあれば鼻歌混じりでもできるのだが、無い場合の説明をしよう。
14Gに16Gのピアスを通す場合。
これはニードルの空洞部分にピアスを差し込んでそのまま押し込むだけなので簡単だ。
14Gと14Gの接続の場合。
こちらが難しい。先に述べたテーパーがあれば楽なのだが、無ければ手先の器用さが要求される。
まずニードルを皮膚の近くまで押し進め、ニードルのお尻部分にピアスをピッタリとくっつける。
そのままニードルとピアスを押し合うようにして離れないようにしながら、ピアスを押し出す。
文字で書くと簡単そうに見えるが、途中でニードルが先に抜けてしまうと中々の血を見る上に下手をすると接続が出来なかった、なんてことになるので慎重に慎重に接続は行おう。
最後にシャフト(軸)がホールから出てきたらエンド(ボールやジュエリーなど、軸の先についている部分)をつける作業に入る。
慣れていないとこれが本当に大変なのだ。
私は初めてボディピアスを着けた時に1時間以上かかった気がする。
シャフトとエンドのネジがきっかり合うようにして、歪まないように回す。
上手くはまっていれば抵抗なくスルスルとまわるはずだ。
引っ掛かりがある場合はネジがズレている可能性が高いので素直にやり直そう。
この時にボールグラッパーがあると爪が長かったりピアスを開けた場所がボールのつけにくい場所でも比較的楽につけることが出来る。
【開けた後】
・触らない!クルクル動かしたりもしない!
毎日シャワーでしばらく流して、綿棒などでふやけた浸出液と水分をそっと拭き取るだけで十分!!
開けたばかりのピアスホールは傷口と同じ。
生々しい傷口をゴシゴシこすったり、泡を数分間のせたりする人が居るか?いやいない(反語)。
・消毒液は基本的に使わない!
消毒液も基本的にいらない。最近の外科医学では消毒よりも洗浄に重きをおいているそうだ。
というのも消毒はバイ菌だけでなく、皮膚の常在菌や出来たばかりの柔らかい皮膚細胞まで破壊してしまうらしい。
更に、消毒してしばらくすると戦うための菌や細胞が弱った状態でバイ菌が再繁殖するので消毒自体あまり意味がないのだとか…。
膿みそうな時は温かい生理食塩水に浸すホットソークが良いと言われているが、調合するのが面倒なので私はウンドウォッシュという生理食塩水スプレーを使うことが多い。
これは生傷が出来た時の洗浄にも使えるので、あると便利だ。
・軟膏は最小限に!
抗生物質の入った軟膏も使いすぎは良くない。抗生物質は使い過ぎると抗生物質に抗体を持った菌を作り出してしまう可能性があるので、もし抗生物質を使う場合はごく短期間に留めよう。
・おかしいと思ったらお医者さんへGO!
触っていない、毎日のシャワーで清潔にしているのにグジュグジュとピアスホールの調子が悪い時は、金属アレルギーの可能性がある。
自己判断でだらだらと軟膏を塗り続けるよりも皮膚科などのお医者さんを頼ろう!
この時、ピアスホールを塞ぎたくない旨を伝えるとガラスピアスやシリコンチューブ、テフロンコードなどの提案をしてくれる場合がある。
不調の原因が金属アレルギーだった場合やジュエリーが重すぎた場合はこれでかなり回復するので試してみるのも一つの手。
さて、ざっとこんなところだろうか。
清潔・安全を心掛けて楽しいピアッシングライフを!