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コンサルタントとは何か?〜世間に溢れるなんちゃってコンサルタントへの考察〜

こんにちは、pokotaです。世の中、◯◯コンサルが多いですよね。もはやコンサルといえば詐欺師の代名詞のような見られ方もします。ゆえに、BCGやMcK、Big4に属するような企業=ブランドとタイトルが、一定の判断基準を与えるものとして大事になります。
しかし、短いですがかつて業界にいて短期間でのプロモーションを繰り返した私としては、周囲を見回すとともに自戒も込めて、そんなブランドやタイトルで判断していいの?とも思うところもあります。大手ファームは大量採用もしましたしね(かつてはBig4のマネージャー以上ならまぁまぁ信頼おけると言われていましたが、その基準も今ではシニマネくらいは必要かもしれません。パートナーは純粋な営業マンもいると思います)。

この記事では、コンサルとは何かについて考察してみました。企業名や◯◯コンサルという肩書きに惑わされたくない方は一読してみてください。


1. はじめに:なぜ“コンサルタントの本質”が問われているのか

経営やIT導入、マーケティング、あるいは個人のファイナンスなど、多岐にわたる分野で「外部の知恵」への需要が高まっています。自社にはない専門知識や斬新な解決策を求めて “コンサルタント” に依頼する企業も多いでしょう。しかし一方で、

  • “コンサルタント”と名乗りながら、単に自社商品やSaaSサービスを売り込むだけ

  • 実行支援をしますと謳っていても、言われた通りにするだけ。結果には責任を負わない“逃げ腰”

  • 提案に本質的な問題解決の視点がなく“自己流フレームワーク”を押し付けるだけ

  • “コンサルティングソリューション”と言いながら、受託開発やデータ分析を行うが、ベンダーなどと区別がつかない割に単価が明らかに高い

といった、「なんちゃってコンサルタント」が少なくないのも事実です。

ちなみに、一般的に誤解されがちなのが、「実行支援をしない=なんちゃって」 という見方。実行支援まで伴走しなくても、クライアントが持ち得ない卓越した打開策や知見 を提示できるなら、それだけで大きな価値をもたらす場合もあります。

逆に、伴走型の実行支援サービスを提供していても、自社を含めた特定商品・サービスに誘導しているだけだったり、予見できたような問題も“アジャイル“の名のもとに誤魔化して工期を伸ばしているだけだったりするならば、それは“コンサルタント”というより、営業や数合わせのための人材派遣業に近いかもしれません。

本記事の目的は、コンサルタントが商品やサービスを売る人々より偉いなどということを言いたいのではありません。
名のあるコンサルティング企業のコンサルタントでも、なんちゃってコンサルはいますし、逆に、「営業」や「セールス」という肩書きであっても、実質的にコンサルタント業を行っている人々もいます。プロの職人なども、業務の内容によってはコンサルタントと言って良いかもしれません。

本記事では、世の中にあふれている“◯◯コンサルタント“について、正しい軸をもちながら、真のコンサルタントを選択することが大事ですよね、ということが主旨です。

みなさんに、「それ、なんちゃってコンサルタントじゃん」という意識がつくことで、安易にコンサルタントを名乗るのは恥ずかしくなりますし、企業の肩書としてもより業務の実態を表した正しい表記になればいいなと思っています。

それでは、コンサルタントの本質を探ってみましょう。


2. 「コンサルタント」の定義:提案・実行支援それぞれの役割

一般にコンサルタントとは、特定の専門分野で高度な知見を有し、クライアントの課題に対して解決策を提案する職業 とされます。英語の “Consult” は「相談する」であり、知恵を借りること自体がサービス です。

  • アドバイザリー型:課題を分析し、打開策を提案し、クライアントが自ら実行する。

  • エグゼキューション(伴走)型:提案した施策を自ら率先して実行支援し、最終的な成果までコミットする。

どちらのスタイルでも、“的外れなアドバイス”や“クライアント本位でない提案” では意味がありません。どこまでが業務範囲かは契約にもよりますが、“アドバイスの質” と “クライアントへの価値提供” が前提となります。

それも含めて、“コンサルタント”と呼ばれるには次の4つの基準が必要ではないでしょうか。


3. コンサルタント vs なんちゃってコンサル:4つの基準

(1) 専門性 — 単なる知識ではなく「問題解決力」があるか

  • 真のコンサルタント

    • 深い知識や経験に基づいて、クライアントの現場環境・課題に合わせたオリジナルの打開策 を提示。

    • たとえ自分が直接実行しなくとも、“具体的なプラン”(必要な人材・リソース・リスク対策)を描ける。

    • 例)AIコンサルの場合、最新の技術用語だけでなく、事業に合ったモデル選定やデータ整備計画、運用ルール、セキュリティ対策などを的確に提案。

  • なんちゃってコンサル

    • バズワードや横文字が多いが、突っ込んだ質問(導入コスト・技術的制約・リスクなど)に答えられない。

    • 実は過去事例や重要ワードを暗記しているに過ぎず、クライアント固有の課題に寄り添った打開策を提案できないクライアントの課題を自社ソリューションに無理やり引きつけようとする。

    • 「わからない」と言えず、曖昧に誤魔化す。

ポイント

“実務レベルの問題解決力” があるかどうか。実行支援の有無 は別として、実効性のある提案や深く広い知識に基づいたアドバイス をできるかがカギ。


(2) 付加価値の提供 — 「価値創出」にフォーカス

  • 真のコンサルタント

    • クライアントが見えていなかった視点や革新的なアプローチを示し、それによって利益拡大・コスト削減・業務効率化など、明確な効果 を得られるよう導く。

    • たとえ「提案のみ」でも、その提案が企業を飛躍させるアイデアがあれば充分な付加価値

    • 伴走型であれば、実行フェーズで発生する問題を迅速にカバーし、成果にコミットする。

  • なんちゃってコンサル

    • 多少の付加価値はあったとしても本来は不要なソリューションとともに、自社都合のツールを導入 しようとしたり、テンプレ資料を当てはめるだけで深い成果がない。

    • 専門性があると言いながら、表面的なアイデア しか出せない。競合他社でもできるような施策を、独自の価値のように紹介する。

    • クライアントが得られるメリット(ROI)が薄く、報酬に見合わない。

ポイント

“クライアントにとっての成果やメリット” が本当に生まれるか。実行支援の有無は手段であり、ゴールは付加価値の創造 である。


(3) 独立性 — 特定商品や利害に縛られず、クライアントの利益を最優先できるか

  • 真のコンサルタント

    • 自社サービスや提携企業があっても、クライアントにベストでなければ他社ソリューションも紹介 できる。

    • メリットだけでなくデメリットやリスクもしっかり説明し、客観的な根拠 で提案する。

    • 報酬体系を透明に し、余計なマージンが生じる場合などを率直に開示する。

  • なんちゃってコンサル

    • 保険販売など、実質的には自社商品を売るため に「コンサルタント」の肩書きを利用。

    • 利益相反を隠し、クライアントに最適ではない商品やサービスを不当に勧める。

    • 特定ベンダーの営業担当と大差ない立場だが、コンサル料を上乗せして二重取りするケースも。

ポイント

どんな契約形態でも、クライアントのためになる提案なのか、単に商品の売り込みなのか を見極める。


(4) 業務内容 — クライアントの立場に徹底して寄り添いながら、専門的で客観的な支援

  • 真のコンサルタント

    • 第三者的視点でクライアントが思いつかない効果的なアイデアを出し、企業の成長を後押し できれば立派なコンサルタント。

    • 「実行支援・伴走型」でも、現場目線での業務遂行を行う。同時に、専門性や客観性も失わず、費用対効果を意識しながら、効果的な改善提案と実行を繰り返す。

    • 重要なのは、クライアントが成果を出すために必要な情報・知恵・体制 を提供する姿勢。

  • なんちゃってコンサル

    • ハンズオン型を自称しながら、実行フェーズで追加料金ばかり請求 し、費用がかさむ。最悪の場合は、価値を感じられない。

    • 提案だけで報告書を納品しても、内容がコピペ・抽象的 で企業課題をまったく解決しない。いいことを言っているようで、実際は自社都合の導入を押し進める。

    • 結果としてクライアントに具体的な利益や変化が生まれない

ポイント

「提案だけか、実行支援まで行うか」よりも、業務範囲内でどれだけオリジナルな価値を提供しているか が鍵。


4. 分野別の具体例:真のコンサルとなんちゃってコンサル

(A) 経営戦略・ビジネスコンサル

  • 真のコンサルタント

    • 企業の財務・市場を緻密に分析し、「既存事業とは全く異なる新市場のチャンス」を提案。その切り口が画期的で、効果的なビジネスモデルを提示 できれば、実行は企業側が担当しても大きな価値を創造する。

  • なんちゃってコンサル

    • 「一緒に経営改革をやります」と言いながら、結局は汎用資料のテンプレ戦略やテンプレ知識 に留まる。CxOの御用聞きに徹して、言われた資料を綺麗に作るが大きな成果にコミットせず報酬を取り続ける。

(B) IT・デジタルコンサル

  • 真のコンサルタント

    • 大規模企業向けに最適なクラウドアーキテクチャをアドバイスし、セキュリティ要件・法規制・データガバナンス の視点で精緻な設計を示す。実装は別チームが行ってたとしても、その設計アドバイス自体が不可欠な付加価値となる。

  • なんちゃってコンサル

    • AI導入支援という名のもと、特定ベンダーのAIソリューションを強引に導入 させてライセンス料を得るだけ。クライアントの業務要件に合わないのにソリューションを売る。セールスならわからなくはない。

(C) マーケティング/営業コンサル

  • 真のコンサルタント

    • KPI設計や競合分析を適切に行いクライアントがやっていた施策よりも明らかに効果的なマーケティング戦略 を提示。クライアントが自社で運用を進めたとしても、コンサルが提案したコンセプトが売上急伸のカギとなっている。

  • なんちゃってコンサル

    • SNS運用代行を請け負いながら、実は「フォロワーの数を買う」「粗悪な広告手法」など不誠実な方法 で見かけの数字だけ稼ぐ。結果的に顧客のブランド価値を落とす。

(D) 金融/保険・ファイナンシャルコンサル

  • 真のコンサルタント

    • 保険や金融商品に頼らない資産形成プランや節税策を構築し、クライアントが知らなかった新たな投資先やリスクヘッジ手段を提案する。契約はクライアント自身が別途行うが、アドバイス自体が独自性と価値 を持つ。

  • なんちゃってコンサル

    • 「全方位サポート」を謳う保険代理店が、コミッションの高い商品 だけ勧めて営業行為をしている。顧客課題を十分に把握せず、クライアントが不利になるような契約条件でも押し進める。

(E) その他(組織人事、建設・エンジニアリング、医療など)

  • 真のコンサルタント

    • 組織人事:報酬制度設計のエキスパートが“自社独自の評価基準”を効果的に提案し、社員のモチベーション・パフォーマンスが大幅に向上するきっかけとなる。

    • 医療:医療法規や診療報酬制度を熟知し、病院の収益改善や患者満足向上につながる運用プランを提示。実践は病院が行うが、コンサルの知恵がないと到達できなかった。

  • なんちゃってコンサル

    • 建設:工事監理をする建設コンサル会社が、実質的に請負業者とのつながりがあり、安全基準やコスト見積もりに大きな影響を及ぼす。最終的にクライアント側(発注者)が得をするのではなく損をする。

最後に、これはどの職業にでも言えますが、「責任転嫁」「人のせい」にするのは職業人としてダメですね。特にそういった人々の特徴は、当事者(たち)がいないところで、上司や周囲に悪口を積極的に言う特徴があります。


5. 「真のコンサルタント」と「なんちゃってコンサル」の比較

比較表

6. コンサルタント職の◯△×分類  (参考)

本記事が定義する4つの基準を軸に、「コンサルタント職」あるいは「コンサルタントと呼ばれがちな職種」を、 ◯(コンサルタントと呼べることが多い)/△(案件次第)/×(構造的にコンサルタントではないケースが多い) で大まかに分類します。あくまで一般論であり、個人の力量や企業文化によって大きく変わる点に留意してください。

この表を作成してみて思ったのですが、高度な専門知識とオーダーメイドな問題解決が必要な職業は、仕事自体としては(従事している人の質はおいておいて)コンサルティングと呼べるように思いますね。分かりやすいのは士業と呼ばれる医師・弁護士・会計士などですね。


7. まとめと結論:信頼できるコンサルタントを見極めるために

7.1 ブランドよりも「具体的な実力」をチェック

  • 大手ファーム所属であっても、“なんちゃってコンサル”は存在する。

  • 一方で、肩書きが「営業」や「エンジニア」でも、実質コンサルタントと呼べる働きをする人がいる。

  • ブランドではなく、「どんな打開策を提案してくれるのか」「どのくらい深く課題を理解しているのか」 という実力に注目しよう。

7.2 実行支援の有無は本質ではない

  • 「提案のみ」でも、クライアント自身が実行に移せば大きな成果が出る案なら、十分にコンサル価値がある。

  • 「伴走型」でも、自社製品やサービスを押し付けたり、問題発生時に責任を取らないのであれば偽物と変わらない。

  • 重要なのは、どれだけクライアントに独自の付加価値をもたらすか だ。

7.3 4つの基準で「コンサルか否か」を判断する

  • 専門性:バズワードだけでなく、リスクや代替案も含めた実務レベルの問題解決力があるか

  • 付加価値:クライアントのROIや成果に繋がる独創的なアイデア・ノウハウを提示しているか

  • 独立性:特定商品・ベンダーに偏らず、利益相反や手数料をオープンにした上で最適解を考えてくれるか

  • 業務内容:提案型/伴走型を問わず、クライアント本位で課題を解決する体制か

7.4 「どこで働いているか」より「どんな姿勢と成果か」

  • BCGやMcKinsey、Big4だからと言って絶対ではない。逆に、個人のプロフェッショナルでも、4つの基準を満たすなら一流コンサルタント。

  • 組織・肩書きにとらわれず、具体的提案・実績・対話の中身を精査することが最も重要。

7.5 最終的には「長期的な信頼関係」が鍵

  • クライアントの課題解決に寄与してはじめて、「コンサルタントに依頼してよかった」となる。

  • 成果が出ない、もしくは出ても一過性で終わるようなら、高い報酬を払う意味は薄い。

  • 「この人のアドバイスは常に的確で、腑に落ちる」「必要なときに頼りになる」—— そういう存在こそが、真に価値のあるコンサルタントといえます。


最後に

いかがだったでしょうか。2024年の経営コンサルタント業の倒産が過去最多というニュースもあったので(このニュース自体は、154件とかなので「多いのか?」「単なるネタ?」と言う感じではありますが)、それをきっかけに「そういえばコンサルタントとは何だろう」と思ったことがこの記事を記載するきっかけでした。
私も今もたまにコンサルタントをやっているので、正しいコンサルタント像が広がることを願っております。コンサルタントを使おうと考えられている方も、コンサルタントになりたい方も、なにかの参考になれば幸いです。





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