CardWirth シナリオ感想31_jim
jimさん
寝る前サクッとカードワースvol.6に入っている「冒険者の宿で」と、vol.7に入っている「城は海へと溶けゆく」の制作者。
「冒険者の宿で」は遊び尽くせないほどのボリュームのあるシナリオ。他のシナリオも遊んだら、より冒険者の宿で、を楽しめるのではないかとダウンロードして、そのシナリオの数の多さに驚いた。
物語の描写はまるで小説を読んでいるように感じられるため、jimさんは物書きの人だと勝手に思っている。
109、エルトラの竜
紹介されて遊んだ竜とのバトルシナリオ。初手の攻撃はキャンセルされるし、召喚獣は削られるので、バフだけかけて挑む。
倒すと、剣(エルトラ)か盾(竜鱗の盾)か付帯(竜の血)を貰える。何度でも貰えるので、済はつけない方がお得。
低レベルでも奇塊の「ろけらん」があれば、倒せるのは驚きだった。
262、アリィとふくらし魔女
春の語りが小説を読んでいるように感じられる。
読み聞かせている絵本への冒険者の突っ込みが好き。確かに消費アイテムは使わないと溜まる。
アリィは冒険者の宿に遊びに来る近所の子どもとして登場する。ぬいぐるみ(クロ)に話しかけたり、文字が読めたりするから4歳ぐらいかなと思っていたが、解説を見ると6歳だった。ミカより一つ下なだけなのに、より幼く感じるのは、愛情を一身に受けて苦労せず育ったからだろうか。
ミカがまだ7歳なのに花を売って稼いで、友達から文字を習って、絵本を買いたいから本屋さんになりたいなんて夢を持っているなんて、このシナリオを遊ばないと分からない。
エイメーの手記を読んで冒険者は共感するところもあり、亡くなってからエイメーの事を身近に感じたのではないだろうか。
アリィにかけた魔術が溶けないようにエイメーは力を使ったのかもしれないと思わせるラスト。二度と会わなくても健やかに成長する事を願う優しさ。
英傑・達人クラスの冒険者が呪の傷を受けて療養しているという設定だが、冒険者が待っていた手紙とは何だったのだろう。仲間達からの手紙を手にするまでは、ベテラン冒険者パーティーで一人だけ生き残ったという設定だと思っていた。親父や娘さん、バンディッシュやワーリカの冒険者への態度から、かなりのベテラン冒険者だという事を強調させている。
ベテラン冒険者パーティーが仲間一人の薬代を稼ぐのに苦労するだろうか?このシナリオで手に入るナナフサギの枝は便利。
このシナリオを元に「冒険者の宿で」が作られたのだろうか。
かえる様とか、花の冠とか、描写のあちこちで「冒険者の宿で」を感じて楽しめる。エイメーから買った屋敷で、バンディッシュは赤塔を登らせているのかな?とか。ラクローも時々宿で唄っているし、ミカも登場する。
ザーラとアリィを登場させなかったのがむしろ謎に思えてならない。
263、ヤシャ=シュトーレン
アリィとふくらしの魔女の頃から、この宿の親父娘さんと冒険者のやり取りや関係性が好き。
クロ達がアリィと会話できているのは、烏になったエイメーが存命だという事を示唆していたりするのだろうか。これだけ色々な人に愛されて育ったアリィは、さぞ素敵な女性になっているに違いない。
冒険者の夢に出て来るジーン・エル・リックはパーティーの仲間だったのか、それとも宿の仲間という設定なのか。冒険者が療養している理由の詳細は前作から語られないまま。
264、猿についての省察
猿が大事そうに持っているモノ。親父は針金の束、娘さんは金色の鍵、冒険者は細長い何か=自分?
魔法術叙説の記述だと、生存本能を制御するために、欲求を猿として切り離して認識している、と読める。攻撃性だったり、恋心だったり?猿が食べているのは自分の欲求の一つで、朝起きる事で感じた違和感は、失った欲求を認識できないという事?
親父のセリフ「ツケは溜めるわ、喧嘩はするわ、酒飲んで暴れるわ、万引き、窃盗、スリ、強盗、放火、殺人、死体遺棄…。」が宿の冒険者なら治安が悪いと思ったが、冒険者が制御している欲求も上記の中にあり、猿の左手に持たせて客観視しているという描写なのだろうか。
265、私には関係ないこと
なんとも後味の悪い読み物。一人で城を築こうとする夢は冒険者が成功したいと思いつつも、中々思い通りにいかないという現状の表現か。
冒険者には関係ないことだが、もしかすると自我のない娘が救われる唯一のチャンスだったのかもしれない。
266、スイミー
仕事先で女の子から貰った魚をコップで持ち帰り、スイミーと名前をつけて可愛がる冒険者の話。
魚の付帯は難しいだろうな。魚を飼うとしたら、宿の親父や娘さんに世話を任せる感じになるのだろうか。
jimさんのブログの解題は、私には難解だけれど、私が漠然と作家のようだと感じた部分が作者本人が気に入っている部分なのかもしれない。
267、蜘蛛退治の依頼
毒蜘蛛が発生した炭鉱の調査・退治の依頼。人よりも大きい蜘蛛(小さくても頭ぐらい)は相当な嫌悪感に違いない。
突撃度が謎で、「調べる」を使った回数でもなく、毒を回復した回数でもないようだ。何度も毒で死んでも、輝く頭骨に魔法解除をしてもしなくても、突撃度に変化はなかった。一人で突撃しても、一度死んでも同様。となると、セーブの回数とかレベルかな?とか思って何度も模索した自分の物好きさにも呆れるけれど、違ったので何で判断しているかは分からない。
手帳と日記と輝く頭骨の3つを所持していると依頼解決する。
268、呪い
多くの村人が虐殺されて呪われた地から、悪霊を祓って土地を取り戻そうとした冒険者の奮闘、だとは分からない状態で始まる。前任の修道士ナエルは首を吊り、冒険者も信仰心が折れそうになって終わる。
解題より、著者のアルトンが友人(冒険者)から聞いた話という設定。アルトンは友人から悪霊を祓い、土地を取り戻した話を聞いて、友人が悪魔に負ける話に書き換えている。自分の信仰云々という事もあるのかもしれないが、単純にその話をしてくれた信仰心の強い友人の事を好ましく思っていなかったのだろう。
269、神話の世界
冒険者が休暇に息抜きをするシナリオ。
導入の雨漏りの話はダウンする前に休暇を取る方が良いと思うのだが、真面目な冒険者という事を描きたかったのだろうか。
信仰を捨てた著者がシスター・ルミリアを愚かしい程に純粋で守るべき存在として位置付けているのが面白い。
ホリィの話がここでも出て来くるのは、アルトンがリューンで交易の仕事を手伝っていたという事なのだろうか。
270、地の果て
冒険者の仇討ちの話…とは、何度か遊んでも思えなかった。途中で挟まれた宿での話が、会話だけでは分かりにくいからだろうか。いや、私の理解力が低いからかもしれない。
ここで登場する楽師がラクローだったのかと少し感動。人から話を聞いて曲を作るラクローと、人から話を聞いて話を書くアルトンは似ている気がするので、ラクローの生い立ちも気になる。村を焼いた兵士が一つ目だったりしないかな。
271、キュルケ・アルトン短編集1
著者がキュルケ・アルトンで、制作者のjimさんは訳者、と位置づけしているのが、jimさんの考えである「シナリオは誰かが日本語に翻訳したもの」という立場を表現したものなのか。
キュルケ・アルトンはエルモントの裕福な商家に生まれ、家の手伝いをしていたが、18歳から聖職者を志すも5年で信仰を捨て、エルモントを離れる。交易商人の叔父の元で武器の管理をするようになり、傭兵・占い師・殺し屋・薬売り・踊り子・詐欺師・魔女・鋳掛屋と付き合うようになり、聞いた話を綴るようになる。
こういう背景がある著者が創作して書いた作品として遊ぶと、また違った視点で遊べて二度楽しめる。
272、ナイトスイミング
273、失踪者調査の依頼(黒い花の香)
ゴブリンが徘徊するようになった(二ヶ月前)森で失踪(一ヶ月前)した、村の若者を捜索する依頼から始まる。
主な登場人物は兄アレクス、妹のレナ、アレクスの親友のディケとモイラ神父。本物のナエルの十字架を持っていたり、病的に空想的だったりするモイラの事が気になっていたのに、救えないとは…。
村人達から「痛みの魔女」の話を聞くと、ディケの母親が語った昔話と、入手した反逆の十字架との差分に首を傾げる作りになっている。
1日目ー村で話を聞く。
2日目ー廃教会の探索。
3日目ー崖崩れで宿屋に避難。
4日目ー暴風雨の中失踪したレナの探索。
休憩
5日目ー村で更に詳しく話を聞く。
6日目ー村で話を聞く。
7日目ー廃教会と森の捜索。
必要な情報を全て集めていると、本来の目的である魔女退治ができる。
魔女の企みが成功してレナを乗っ取った場合、彼女は復讐で何をするつもりだったのろうか。
275、匙男
リューン出身のエルモントの司書リエスが帰省の際に、友人の冒険者に会って聞いた匙男の話。
絵本「かみさまのクルミの木」はアリィとふくらしの魔女で冒険者がアリィに読んであげていた絵本だとすると、冒険者は同一人物で、アリィとふくらしの魔女より前の時間軸という事になる。大食いという特性も同じなので、可能性は高い。
アルトンはこの女冒険者を好ましく思いながら話を聞いていたのではないかと、ふと思った。
276、門番
ロダン爺は宿の主人なのに冒険者から、親父ではなくて爺さんと呼ばれている。見張りの話は、寝る前サクッとカードワースvol.3に収録されている「聖夜の守護者」を連想させた。
277、巨人
アナトーの使徒の話の詳細が思い出せない自分の記憶力の乏しさが恨めしい。赤塔のサブクエのアナトーの使徒を通過して、内容を覚えているうちに巨人を遊んだ方が面白そうだ。
278、誕生日の祝い
ホリィの話は複数のシナリオに跨って登場させているのは、同じ舞台という意図だけなのかな。
ラストのおやじ豆を蹴って遊んでいたのは、コーダ達に違いない。
279、雪
巨人と同じ地域の話と思われるため、巨人の後に遊んだ方が良さそう。そもそも履いている靴下が盗まれるなんて発想が出て来るのが不思議。この治安の悪さは血の復讐の舞台であるグラベルと関係があったりするのだろうか。
280、キュルケ・アルトン短編集2
281、水のほこら
井戸が枯れた原因と思われる水源地の祠で調査をするシナリオ。
ゴブ洞を思わせる。西に行くと宝箱が置いてあるだけで、寝ているはずのゴブリンが表示されないのはバグなのか?
282、サイレン
283、森を這うもの
ワーム退治の依頼。時間経過がある。森でワームと出会ってもすぐに倒さず、少し時間をかけて他の冒険者の話を聞いて回る方が楽しめる。
時間をかけすぎると冒険者達に犠牲者が出るが、色々なイベントが見られる。特にシャムリーを助けた後の会話で一つ目の話が聞けるのは嬉しい。
楽には倒せないレベルで突撃しても、潜伏できない地形に誘いこんだり、ミクリ酒を使えばなんとかなる。
関係性の設定は宿に泊まった時に描写されている事に気づいた。犠牲者が出ているかどうかでラストのセリフも変わるのは細かい。
説得は「一緒に来い」にするととカラカスを連込める。
284、だんごむし
285、芋強盗
ホリィも登場しているから、リューンでの話。
八百屋に訪れた芋強盗は血塗れで瀕死の冒険者…。脅す凶器は安全バサミで、強盗中に食べた林檎の代金は支払う立派な芋強盗。何度読んでも笑ってしまう。
この話は、なぜ芋なのか、なぜ芋を手に入れるために客ではなく強盗ではなくてはならないのか、を考えたら負けな気がする。
286、来訪者
聖遺物の話が出て来ると、どうしてもMNSさんのエルム司祭の護衛が頭に浮かんでしまう。舞台はロストック村ではないかと思ったが、bye bye badmanで村人全員移住しているから違うか。
287、黄金の城
冒険者が、友達のアルトンに、同じ宿の冒険者クラークについて忘れないようにと代筆して書いて貰った話。
289、犬
293、哀歌
主人公と調査・開錠役を決めてから開始。
医療品を届ける依頼中にトランの領主が殺されたという話を聞く。領主のアルバーティ卿はすごい冒険者で、主人公は彼から魔術や冒険術を習っていた。娘トルジェリンの友達でもある。リューンで名うても名うてと呼ばれ、騎士になり爵位まで授かったとあるので、レベル10だと思われたのだが、レベルは7。娘を連れて騎士隊に参加して訪れたヘリングで盗賊に襲われて、生き残ったのは領主のみ。
選択肢の「村を去って、騎士団に知らせる」を選択すると終了してしまう。
自分達で保護するとトルジェを連込める。
数々の修羅場を乗り越え、相応の実力を身に付けて英傑となった冒険者の末路を悲劇的に描いたこのシナリオが、「呪い」のようにアルトンが勝手に最期を書き換えた話だと思っている。
アーベルもトルジェも生きていたという事も考えられるが、他の日常系の話とあまりに異なるため、恐らくは領主もトルジェも傭兵崩れの盗賊に襲われて亡くなった、が真実で、領主が生きていたら…と想像して書いたに違いない。
クロスオーバーされている、LV1@氏の「駆け出しクエスト」でのアーベルとトルジェの、主人公との関係性の描き方は私が想像したいたものとは異なっていたが、とても楽しめた。細かい設定まで反映してシナリオを作っているので、感嘆する。
295、血の復讐
灰色の町と呼ばれるグラベルは治安隊とマフィアと麻薬組織が三つ巴の中、ナシュ家に雇われている元冒険者グエンは信頼できる冒険者を呼び寄せる。
冒頭から不穏が漂う、サスペンスに満ちたシナリオ。
確かに冒険者には復讐心があったのだろう。冒険者が王国騎士団から引き受けた依頼は依存性の強い危険なナイトレインの調査の依頼でだったのではないか。グエンからの依頼は渡りに船だったはずだ。冒険者にとっても信頼できる関係者なのだから…。冒険者もニカもベルも皆が復讐を遂げる終わり方なのに、救われない。
そういえば、サイレンに日記をつけていた冒険者が居たが、関係あるのだろうか。
296、白亜の城
地下迷宮が赤塔のようだが、途中で戻る手段が分からないため、攻略方法が不明。銀の匙は匙男のシナリオと関連があるのだろうか。
白亜の城マスターまでの道のりは遠い。
ラクローとアスラが幼馴染で27歳とは驚きだった。地の果てで、村を焼いた話を聞いて、村を焼いたという曲を作ったのは、いくつぐらいの話なのだろうか。
一番好きなシナリオは、冒険者の宿で。散りばめられた世界観も盛り沢山のコンテンツも好き。どうしてサクッと終わらないのに、寝る前サクッとシリーズに選ばれたのか謎。
印象が強いのはアリィとふくらしの魔女、芋強盗、来訪者、哀歌。何より、シナリオの制作者が訳者という立場をとり、著者をアルトンにしているのが新鮮だった。
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