フィギュアスケートを語りたくなった
ぼくが生まれた頃、日本にはまだJリーグがありませんでした。
Jリーグ発足後は熱狂的なサッカーブームがあり、少年たちはこぞってカズを目指した。
幼少期のぼくら、なんとなく、おじさんは野球が好きで、若者はサッカーが好きだなって思ってました。
さらにその後、名著スラムダンクが大ヒットを飛ばし、子供たちが一斉にバスケ部に入るなんて現象もありました。
うちの兄はこのスラムダンク人気のドストライク世代で、ミニバスに入部してから今に至るまでずっとバスケットボールに携わって生きているのだから、何が人生を変えるか分からないものです。
人それぞれに思い入れのあるスポーツとか、コンテンツがあるものです。
ぼくにとってはそれがフィギュアスケートだなーと思ってます。
野球おじさんが「最近は若い監督ばかりでなんちゃら」と批判したり、「やっぱり日本の野球は歴代なんとかかんとか」と誇らしげに語ったりする気持ちが今ならよく分かる。
ぼくも立派なスケオタ老害になりつつある。
それは完全に、時間と思い入れのせいだ。
きっと野球おじさんたちも、サッカーおじさんたちも、同じように強い思い入れを長期間抱いてきたのだろうな、などと勝手に共感している。
フィギュアスケートを見始めて二十年が経過しようとしているのだ。長い。ぼくは今三十六歳だ。人生の長さに対してスケオタとしての時間がかなりの割合になってきた。
これだけ長い付き合いになると、アイデンティティに影響してくる。
今や世界のトップに君臨する宇野昌磨先週がノービスの時から見てきたのだ。「宇野選手!」という呼び方が馴染まない。しょーまはしょーまだ、と思ってしまう。
羽生結弦がシニア参戦の年、試合時間が伸びて体力が追いつかなくてゼエゼエいってたのをリアタイで見ていたのだ。あの時のか細いゆづくんがもう引退してプロになって結婚までしたのだ。
長い。
長い時が経った。
ありがたいことに、フィギュアスケートにハマるきっかけとなった安藤美姫・髙橋大輔両名ともまだスケートを続けてくれている。
これも時の経過のなせるわざであり、二人とぼくが出会った頃、三十代後半はプロでも珍しい存在だった。
様々なトレーニング知識、環境、ジェンダー的な思想が変化したおかげで、まだまだ大好きな選手たちのスケートを現場で楽しめる。
妊娠出産を経て子育てしながらプロスポーツ選手を続ける女性が増えた。みきちゃんが自分の子を指導しながらショーに出演しているのが、もうすでに当たり前の光景であることが喜ばしい。
ロールモデルの一人となっただろう、荒川静香さんの存在も大きい。現在の日本フィギュアスケート界のほぼ全面の地盤を固めたのは彼女だ。もちろん数多の先駆者がいるけれど、今の形を盤石のものとしたのは金メダリスト荒川静香の存在がなければ有り得ない。
しかも、まだ本人もショーに出てる。そろそろ年だろうと毎年思うのに、驚愕のストイックさで効率的なトレーニングをし、肉体的に困難になった技を潔く封印し、年季によって磨かれたスケーティング技術と圧倒的ポージングで「他の誰よりも綺麗!」と言わしめる。なんだあれ。いつまで伸びるんだ。
大ちゃんはなぜか先シーズンまで競技選手現役だった。なんでだ。すごすぎる。ファンタスティックだ髙橋大輔!
とまあ、こんな調子で推しスケーターに対して後方彼氏面しまくっている。
今後もマナーを守って楽しくスケオタを満喫したい。
フィギュアスケートはいいぞ。
ちなみに現役競技選手の推しはフランスのアダム・シャオ・イムファイア選手です。
今年は日本国内の試合に出なさそうなので残念です。中国かカナダに行くしかないのか……。
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