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夏のエネルギーに巻き込まれにいく

前回「日本に帰ると思う」とか書いておいて、結局いろいろあってベルリンに居残っている。

人に会ったり仕事したりしているけれど、なにがって人と繋がって人を繋げてという現象が楽しすぎてこれから何が起こってゆくかを目撃したくて残っている。

尊敬する大人の一人に、戦後すぐ「アメリカさん」と恋愛結婚して今もテキサスに住んでいる大叔母がいるのだけど、彼女の口癖は『人は異なもの』『余は満足』『everything is meant to be』だった。80を超えてぼろぼろのベンツを乗りこなす彼女が発するそれらの言葉は、あまりに説得力があった。

人は異なもの、は「縁は異なもの味なもの」を彼女風にアレンジしたのだと思うが、本当に人間と人間同士の繋がりほど、不思議でわからない面白さがあるものはないな、と思う。特に、日本でルーティンにはまった生活をしていると体感できないダイナミックさが、ここベルリンにはある。街にも人にも、余白や遊びや隙間がたくさんある

わたしは彼女に憧れていて、最近はっきりと確信したのだけど、『親戚の変わったおばさん』ポジションを、狙っている。10歳くらい下のいとこたちや、生まれて間もない甥っ子や姪っ子たちから見て、私は親戚の中で唯一"何も背負っていない"大人で、海外に住んでいて経済的に不安定なのに楽しそうにしているイロモノだ。

このままいけるとこまでいって、どんなことが起こるのか、どんな景色が見えるのか、試してみたい。いつか親戚のおチビたちが、なにかに行き詰まった時に「こんな人がいるな」と思い出してくれたらいいな、と密かに思っている。

数年前に信じていたことが今ではしっくりこないことなんて無数にある。自分にとって新しい価値観を知ることで、例えば、将来に対して怖がる要素が減ったり、今ハッピーであることを感じられたりするなら、それはとても健康なことだと思うので、体当たりで新しいなにかに向かっていきたいし、それをおチビたちに開示しておきたいのだ。


最近、6,7年前に没頭していたストリートダンスに再挑戦している。身体は動かないし、相変わらずキマらないけれど、ある意味下手なことも武器になると思うようになった。

円になって踊りあう会(サイファーというのかな)で、ポンッと出てくるめちゃくちゃ下手で一生懸命でハッピーな人。ああいう人の、格好良さというのは、表面の装飾では対抗できない揺るぎなさがあると思う。

うまく言えないけれど、そういう人に、わたしはなりたい。


冬が終わって春が来て、夏に入ってきた頃から、直感に従って動いたことでぽこぽこと次の展開が立ち現れる現象が、なんども起こっている。数ヶ月前に掴めなかったチャンスが、また巡ってきたりも、している。

サーフィンをしたことはないけれど、サーフィンみたいだな、人生。と思う。夏だからかもしれないし、なんだか宇宙の調子がいいだけかもしれないけれど、そう感じる。少し怖くもある。でもきっと、また波が来る。

波が来て、乗ろうとする、落ちる。また波が来る。乗る。落ちる。波を探す。待つ。来る。乗る。遠くに行ける。落ちる。そこからまた、繰り返し。

ちょっとピリピリするけれど、人間万事塞翁が馬である。


「夏のベルリンはいいよ」なんども聞いた台詞だけど、今は自分の言葉として、腹に落ちる。

夏のベルリンは、本当に、いい。

創作活動の糧にします!