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フリーランスになったわたしは、気づいたら出世レースを降りていた

少し前、父の定年退職祝いのために帰省しました。父は高校卒業と同時に働きはじめたから、18歳から60歳まで、40年以上会社員をやっていたことになります。(ちなみに父には10年くらい温めてきた夢があって、だから再雇用で65歳まで働くという道を選びませんでした。)

父は実績こそ出せど、上に媚びることが全然できない人で、出世や役職にも興味がないようでした。「周りは同期の誰が一番に役職に就いただの、昇進しただのと気にしていたけど、自分はへぇ〜って見ていた」って。高卒だったので同期は歳上が多かったと言われて、そうか、一緒に入った人たちは大卒の人が多かったのか(業界を考えれば当たり前かも)と初めて気づきました。

それから父は、「みおりんは会社で出世したいと思ってた?」と訊いた。

わたしは見栄っ張りで負けず嫌いで、あと前提として仕事が好き。でもよく考えると、自分が会社で出世したいかどうかということについては、それ自体ちゃんと検討したことがありませんでした。検討する前に会社員を辞めてしまった、というのが大きいけれど。

退職したのはおととし、新卒2年目のとき。フリーランスになってもうすぐ2年が経ちます。

3年以内に3割が退職するといわれる世代だし(実際はもっと割合は大きい気がする…)、最初の会社で上り詰めていこうとはそもそも思っていなかった。とはいえ、結果を出したい、なにかに勝ちたいと毎日思っていたし、その結果に見合ったポジションをどんどんゲットしていきたいとは考えていたと思います。同期が4人しかいない小規模な会社だったので、社内でレースをするという意識はまったくなかったけれど。

だけど結果的に、わたしは早々に土俵を降りた。役職どころか職業名もよくわからない仕事を始めてしまった。

社内の出世レースはそもそもなかったけれど、大手企業に就職した大学時代の友だちや先輩のなかには、就職先や配属先、役職名で上下を判断する人たちがいるのを薄々感じていました。わたしの就職先は大手でもメガでもないマニアックな企業だったので、「なんでそこにしたの?」と訊かれることも多かった。そういう人たちは、わたしのビジネスパーソンとしての地位を、少なくとも上には見ていなかったと思います。

わたしは浪人と留学のせいでみんなより1〜2年遅れていたから外野みたいにヘラヘラしていたけど、きっと何年か後にはそれも誤差になって、「○○ちゃんが海外勤務で活躍してるらしい」とか「外銀に行った××くんがいちばん稼いでるらしい」みたいな噂話を熱心に聞くようになっていたかもしれない。

「なんでそこに就職したの?」と訊いていた友人たちは、わたしがフリーランスになると、「その決意ができるのがすごい」と口々に言った。わたしが本を出したりテレビに出たりすると、「すごい仕事をしてるね」「よくやってるね」と言う人が増えた。

そうしてわたしはいつの間にかみんなと一緒にいた土俵を降りて、比較というものがあまり成り立たないところに行ってしまった。

一人で仕事をしているわたしには、社内での昇進も昇給もありません。だけど、世の中に対するプレゼンスを上げることはある種の昇進かもしれないし、売上を増やすことはひとつの昇給かもしれない。「出世」を読んで字の如く「世に出る」ことだと捉えるなら、わたしは出世したい。わたしがというか、「ごきげんに勉強する」というコンセプトや考え方を広めたいと強く思います。

わたしは「みおりん」が有名になることはどうでもよくて、勉強は楽しめるということ自体を、もっともっと多くの人に知ってもらいたいなと思っています。

出世レースも出世コースもなくなってしまったけど、誰かと比べたりしなくても、大切なコンセプトを世に出していけるようにこれからも戦っていきたいです。

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みおりん¦勉強法デザイナー
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