おかえり、兄様
玄関ドアの開く音がする。続いて廊下を歩く音。ああ、この響きは聞き覚えがある。私は待ちきれなくて思い切り扉を押した。
「兄様っ」
抱きつく私を、兄様は仕方がないというふうに頭を撫でた。
「レティ、嬉しいのはわかるけどいきなり扉を開けるのは感心しないな」
口では叱りながらも、兄様の手は優しい。兄様からは薔薇の香りがした。きっと庭園を散歩していたのだろう。
「ごめんなさい。次からは気をつけるわ。兄様が真っ先に私に会いに来てくれるって約束してくれるなら」
小指を差し出すと、するりと細い小指が絡められた。
「約束しよう。次からはレティと薔薇を見に行くことにするよ」
優しい兄様。
大好きな兄様。
もう一度兄様を抱きしめながら私はこっそりと笑った。
続きません。
裏設定書いてたのに消えたという。