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蝉の羽化 翡翠色の羽

誰かに誘導されたり、商用音楽にのせられたりした感動にもやもやするよりも、静けさの中で偶然出会った蝉の、羽化が私の心を動かす。
翡翠色の羽が美しいと思った。
完全体に羽化できそうな個体。

蝉も「お前なんなんだ!?」みたいに私を見ていた。

蝉に聞こえる位に小さく手拍子して、
「がんばれ。元気でね。」
とか街路樹の根元にしゃがんでいる変な人は私。
応援していたら、蝉がもう一度羽化に集中したので、そっと立ち去った。

だってその上には、夜中に騒ぐ椋鳥が大量に夜営中だったから。この樹も近々伐採されるのか?テープで幹に印が着いていた。切ってどうなる?枝打ちならまだしも。
伐採してもまた別の街路樹か寺社に集まるだろう。この春に近所のなし畑が消えたから。

この蝉がこの樹で羽化した、最後の蝉になるかもしれない。羽の色が綺麗でずっとみていたい。そんな夏の夜でした。

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mion
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