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電線


窓の外で燕がさえずる
今年の子達と親鳥だろうか

 

そろそろ南へ旅立つ季節だねと
眺める私に向かって
何かを言ってる様にも思えたけど
さえずりが異国の言葉の様で
燕の言葉が解らない

「ねぇ解らないの?」
「ごめんね、よく解んない」

そんな思いの断片が届く気がした

お互いに存在を認めて居るのは
確かなのに

伝えたい
伝わらない
知りたい
知って欲しい

そんなもどかしさだけ残る

そして
8月の末のこの日を最後に
燕の姿が空から消えた


朝顔と空を見上げる9月
燕の止まらない電線に
空白を感じる

もしかしたらあの日
燕達は私に
旅立を告げていたのかも知れない

そう思う事で
一抹の寂しさを満たしている

そうであって欲しいと思うこの身に
僅かながら浅ましさを覚える

燕は旅立ち
去年の種から咲いた朝顔が
私と共にある

そこ此処に
自分ではないものの息吹が在ることが
ひとつの安らぎであると覚える

この街で
同じひと夏を過ごしたと言う親近感が
殊更にそう思わせる




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mion
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