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私達は大気を共有している

3日程前にみた夢に、久しぶりに父が現れた。

「東京の空気を故郷に持ち込むな」

そう言った。

「会いたいのはやまやま、行きたいのもやまやま。だけんが、行かねって言う選択もあるだよ。俺は行かね。」

夢の中に現れた彼岸の父は言った。そこで目が覚めて慌てて仕事に行ったのだけど。
どこか心に引っかかる夢で。

今年も年末年始休暇がある。いつもなら、帰省してお墓参りして生家で過ごすけれど、今年はどうしよう?とか考えていたからみた夢かも知れない。

でも時期的に、夢で父が言った言葉が、あまりにも的を射ているので、あの世からの忠告の様にも思え、心が揺れる。

空気を持ち込むなと言われても…と、移動手段を考えてみた。車の移動、電車やバスの移動、いずれにしても首都圏を通らないことには帰省出来ない。そのエリアの空気中を移動して、その空気に触れないではいられない。

車なら車内に大気を、体一つだとしても私の肺に入る空気や鞄に入る空気を連れて、地方に移動してゆくことになるよなぁと考えてしまう。

金木犀の香りが薄れて、秋風の香りが濃くなった。去年までは金木犀の香りも秋風も、単に楽しめた。今年は違う。

お隣の夕飯の焼き魚の香りも、餃子の香りも。
日に当たる洗濯物の洗剤の香りも。排気ガスも煙草の匂いも、大気を漂う。

ああ私達は、大気を共有している。

そんな実感に変わった。

インフルエンザワクチン接種、注射が大嫌いなので、ずっとしてない。でも、生まれてから1度だけ、10年前にかかったかな。
風邪はよくひくけれど、なぜかからずにいられたのかな。

サナトリウム文学と呼ばれる分野がある。その舞台に登場する場所に近く、療養所に比較的馴染みのある所にかつて暮らしていたけれど、結核にならなかったのはなぜ?

今年、かかりつけの医師に「帯状疱疹のワクチン接種しましょう」と勧められた。抗体検査したら、抗体持ってますので、打たないで大丈夫ですと言われた。

そんなワクチンがあることすら知らなかったけれど。
それ以上に、風疹、水疱瘡、おたふく風邪も含めて、確かかかっていないはずなのに、いつの間に抗体獲得したのだろう?

実に不思議。

緊急事態宣言が解除されて以降、色々変わったけれど。
感染経路不明の患者さんが、増えている今日この頃。周囲の人達の過ごし方が、予防しながら移動する、に変わってきている。

手洗い・うがい・マスクに加えて、行動様式に気を付けるくらいの予防が精一杯。あとは睡眠と食事、ストレス解消とか、基本的なことを実施することしかない。
と言うことを踏まえて、お出かけしたりしていると言う話を聞く。

確かにそうなんだけど。

風邪もインフルエンザもCOVIDも、呼吸していたら罹患の可能性はあると思っている。
だけど、罹患するしないの境目って何?と言う疑問。感染経路でなくて、どんな体調とか体質の人が罹患しないのかなって。罹患しない体は、どんな体なのかなと言う方。
基礎体力の問題なのかな。

後期高齢者の母が待つ生家に、今年の年始休暇は帰省しないのがいいかなと、今は思っている。会わずとも長生きしてほしいから。
正直、会うと心がしんどいのも事実だけど、この世に居てくれるだけでありがたい存在である。

夢の中の父の言葉は、私の思い込みや不安から来たものなのか、それとも父からの忠告なのか、わからないけれど。

私達は大気を共有している

人も、あらゆる生命体も、空気を共有している。

それは事実だ。

ひとつの夢から、そんなことを改めて思った。

よろしくお願いいたします。