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ご機嫌で帰った 〜豆まき〜

2月2日の節分です。
子供達の幼稚園や小学校では、鬼のお面を作ったり、豆まきをしたり、給食が節分らしくなったりしたようです。子供さんのスポーツ指導に携わっておりますので、その辺りの情報が子供さんから届きます。

今年が少し違うのは、豆まき→鬼退治→鬼滅の刃と言う連想に至る、と言う風潮が加わっておりました。

「豆まきしたの?」

「うん、幼稚園で鬼退治したの!」

途端に、鬼滅の刃の登場人物の真似っ子が始まりました。それぞれに推しキャラクターが居るようです。

「じゃぁ今日だけみんなは、鬼滅隊みたいだね」

低学年以下は、一気に盛り上がりました。鬼滅の刃について知っている事は、全部言葉にしたくなったようです。

その盛り上がりが落ち着いて、暫く経った時です。1人の男の子に、そっと声をかけられました。

「ねぇねぇ、もう豆買った?」

「まだだよ」

「じゃぁ帰りに、あそこのスーパーで買ってね。売ってるから」

「あ、あそこね!もう買ったの?」

一番近くのスーパーの事です。

「もう買ってあるよ!」

にこにこと、満面の笑顔で男の子が話します。

「豆まきしたの?」

「何言ってるの?今夜だよ!今夜まくんだよ!そこ大事でしょ!」

学校の豆まきは1年生がするらしく、少し上の学年である彼は、ご自宅にて家族でまくそうで。

確か節分の豆まきは、夜にするのが、私の子供の頃の習しでした。この男の子のお宅も、同じ様です。

「そうだね。夜にだったね。」

「そうだよ!」

とにかく楽しげに力説して居られました。

「ねぇ…」

彼の目が何かを訴えています。

「絶対帰りに豆買ってね!絶対豆まいてね!」

「うん、絶対買って帰るよ!」

「絶対豆まいてね!絶対楽しいから!」

もう…とにかく愛しくなって。

「絶対に豆まくね!」

「うん、そうしてね!!」

…暫し沈黙

「絶対だよ!絶対やってね!」

「うん、絶対ね!」

と言う訳で、豆まきの約束をしました。ほんの1分程度の会話でしたが、愛しくて、切なくて、とても嬉しかったのです。

彼の楽しい事を、私にも教えてくれました。
お互いに別の場所で、違う時間を過ごす中でも、同じ事をしようねと、一生懸命お話してくれました。

瞳が輝くとか、輝く笑顔とかはこの男の子の様な表情を言うのだと、心から思いました。とにかく真っ直ぐに、それぞれに豆まきしよう!というお誘いの気持ちが溢れています。

きっと彼も、色々な思いを持っていたのだと思います。
疫病退散とか、健康祈願もあるでしょう。
日本の風習を受継いで、御家族に愛されて、御家族を愛している彼が、とてもきらきらして見えました。そしてその姿が、とても美しいと。

仕事帰りに約束通り、豆を買いに行きました。が、時間が遅かったので、もうひな祭り仕様に売り場が変わっておりました。最近のお商売は、季節感も余韻も余白も無いわ…と思いつつ、4軒目にしてようやく買い求める事ができ、一安心です。

帰宅して、小声で(鬼は外、福は内)とそっと豆をまきました。歳の数の豆を食べるのはちょっと厳しいので、少し頂きました。続きはぼちぼち頂きます。彼との約束も何とか果たせたので。…良かった。

そして今、豆まきに誘ってくれた彼に、感謝しています。きっと彼は、幸せな夜を過ごした事でしょう。

今日も今日とて、凹む案件もありました。
ですが、一人の男の子の言葉に救われ、ご機嫌で帰った夜です。

神様、U君、ありがとうございます。
結構ご機嫌な節分の夜です。



よろしくお願いいたします。