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夜勤明けのサンタクロース

クリスマスの夜。
もう1時間以上前から、
外では除雪車の音がしている。

深夜、または夕方から
暖かい家を出て、
真っ暗な中で人知れず仕事をこなし、
翌朝に家に帰って身体を休める人達がいる。
またはそのまま昼に働く人も。

かつて私もそうだった。
冬は、外の倉庫に出たときに吸い込む冷たい空気や、
雪の中、薄明るくなる空が好きだった。
20代は、夜勤明けの便で何度も旅に出て、
飛行機で寝るのもいいものだと思った。
30代には深夜、車で何軒もの家を回っていた時も、
仕事が清々しく、誇らしく思えた。

でも段々と、
空しさ寂しさは打ち消せなくなった。
人を支える仕事が、どうしてこんなに報われないのか
いったん離れてまた戻り、
その時もやはり、
報われないという気持ちの方が強くなった。
シングルマザーになってからは、さらに。

もう夜勤はしていないが、
わたしは相変わらず低賃金のエッセンシャルワーカーだ。
今思う。
怒るなら
人や、暮らしを支える仕事を疎かにするシステムに怒りたい。
腐らずに、ずっと声を上げていきたい。
時に皮肉は言っても、罵詈雑言は嫌だ。
自分のやって来たことを守りたい。


名もないたくさんの人達がいるから、
皆が生きて行ける。
こうして暖かい寝所にだっていられる。
感謝だけで終わらない、
葛藤、悔しさをそのままにはしない。

メリークリスマス。
ありがとうございます。

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