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スキーができない私の願い


スキーが、できないのではなく
できないに等しい。
ほぼ同じだけど、悔し紛れに言ってみる。

地域によっては、スキーって
コミュニケーションツールの一つではないかしら
私は最近考える。
嗜み、に近いかも。
できない人が、私の周りにはほぼいないのだ。

子ども時代、関東から北国に引っ越して来た。
当たり前にあったスキー授業。
慣れている子から順にABCDでクラス分けされるのは、
今も同じのようだ。
私は万年C、一二度だけBクラスだった。
それでもまあまあ楽しかった。

娘がスキーに興味を持った頃、
私は目眩を伴う病気になった。
思い切って久しぶりに、ゆっくり滑ってみたが
転倒や怪我の恐怖で、楽しむどころではなく、
娘は危なっかしくも先に滑り降りてしまった。
私はこんなに下手だったか、ガーン。

気づくと、頭上のリフトから娘と友達何人かが手を振って、山頂に向かっていた。
子どもだけだとダメ、危ないから!
呼んでももう遅い、頭を抱えた。
幸いに娘はケガなく滑って来て、
ようやく私と合流した。
周りの人達が娘を避けて滑っていた模様。
ゾッとした。

娘の父親は、スキーとは縁がない土地で育った。
さあ、だれが娘に教えるのか。
本人はやる気満々の満。
教えられなくても、最低限付き添いは要る。
人にぶつかって怪我させる可能性もある。
ひとまず、娘には帽子ではなく
しっかりしたヘルメットを買った。

次から連れて行ってくれたのは
娘の友人のお父さん、お母さん達だった。

あるお父さんは
たえこ、こんなに滑れるようになったよ、と
私に動画を送ってくれた。
自分も滑りながら後ろを向いて(!!)
動画を撮るなんて。
ある専門職で、運動が人並み以上にできる人なのだが、私は感激した。
私は下手すぎて、娘の滑る姿を自分の目に捉えることが出来なかったのだ。

ぎこちなくハの字で、でも歓声を上げながら滑る娘達が嬉しく、ありがたかった。
ストックを使わないスタイルで滑りを覚えて、
その理由は聞きそびれてしまった。

地域の子達数人で、数日間の集中レッスンに申し込むと、
娘のハの字は、ぎこちないニの字になった。

それからは、私がゲレンデまで連れて行き
娘は友達と、それなりに安全に滑れるようになった。
一緒に滑れなくてごめん、と思いながら、
放牧スタイルが確立。


今年も、娘が楽しみにしていたスキー授業がある。
娘は今年もAクラスだと思う、と胸を張っていたが
Sクラスに選ばれた!と鼻高々で帰宅した。
すごい、私の娘ではないみたい!!
私まで鼻高々になった。

娘は、決してスポーツ万能ではない。
習っているスポーツの試合では
レギュラーに入れないことの方が多い。
走るのが嫌い、運動会も嫌い。

ただ、周りの親達に何度も助けられて
田舎に住んでいたこともあり、
山、海や川で、友達と遊ぶ楽しさを覚えた。

最近では、新しくできた友達のお父さんに
娘のスポーツを助けていただいている。
トレーニング嫌いの娘が
“毎日行きたい”と熱中している。

やはり友達と一緒というのがポイントかと思いきや
友達父子が練習できない日もお邪魔して
朝7時から黙々と練習をしている。
なんと!!

何か一つでも、
大好きで、没頭できるものを身につけて欲しかった。
それはずっと気持ちを支えてくれる宝物だと思う。
私は不甲斐ない親だけど、
一つならず二つ、願いは叶った。






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miomioみお
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