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【旅の記憶3】冷え取りと、Olive

靴下に、なぜ拘りを持ったのか。
当時行った、あるサロンでの話になる。

オーナーの安楽さんは、
私の気持ちを聞き出すのに長い時間を割いた。

当時私は、不妊治療の頻回な受診の為に、
日勤を少なくし、夜勤を多くして貰っていた。
深夜に家を出る生活、
いつもこんな時間にありがとう、と言ってくださる方々もいたが、圧倒的に人との会話は減った。
そんな日々が長くなるにつれ、出口が見えないことが、思いの外重く苦しくなっていった。

今思うと、
他愛無く人と話し合う時間、日差しを浴びる時間が大幅に減ったことが、私にはよくなかったのだと思う。

ご提案ですが…
トリートメントは、希望の時間より少し減らしてみても良いかもしれないです。
ご自身で、お家でも出来る手当てをやってみませんか?と安楽さんは言った。

まず、不安を鎮めるという、
文字通り手技だけで出来る、手当て。
そして、“冷え取り”について聞いたのだった。

彼女のサロンにある本を貸して貰い、
繰り返し読んだ。

第一印象は、清々しいくらい儲からないのではということ。
頭寒足熱の効能。
用意するのは、天然素材の靴下を何足か。
湯たんぽも推奨されている。
そのくらい。

中国では古来、病気を治す効果の高さは、
医学や薬よりも生活環境が上であるとされてきたという。
皇帝の健康管理をする医師は「食医」と呼ばれ、
治療を担当する医師団の中でトップに君臨し、衣食住のすべてを管理していた。
 
「食べ物に気をつけるという意識はみなあると思いますが、
実は身に付ける衣服も重要。
環境が病気を作ることもある。
だから環境を整えれば健康でいられるという考え方です。

カレンド沖縄の記事より



冷えとりの数冊からは前述の道場のような求道的な匂いもビシビシ感じた。
一方、昔のOliveを彷彿とさせる冊子には、心が浮き立った。
中学生時代から大好きなスタイリスト、岡尾美代子さんのスタイルを彷彿とさせる世界。
(岡尾さんのスタイリングは無かったが)
人と競い合うような、次々と消費するお洒落ではなく、
心がほっと明るくなる、普遍的な心地よさ。


靴下は、ネットで色んなところで売っていますよと安楽さんは言っていた。
でも私はまた彼女に会いたくて、
靴下を買いにサロンに行った。

病院から、時間ギリギリに到着すると、
安楽さんは建物の庭で、お花と葉っぱを摘んでいた。
スッと立ち上がり、
このお花、みおさんのイメージだなあと思って、と言った。

※現在は、お客さんの自宅で施術をされているそうです。





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