秋葉原


* * * * * * *


当時、会社の先輩から
バンドでキーボードを探しているんだけど
ちょっと、やってみない?

と誘われました。



先輩は
アニソンのコピーバンドで
「けいおん!」などやっているようでした。

私は
音楽経験は小学生の頃ピアノと
中学、高校の途中まで吹奏楽部だったので
楽譜は読めたりするけど
バンドのグループで何か作り上げるというところがなんとなく想像出来ず
「やってみて難しかったら、やめますね」
みたいな回答をした気がします。



初回の練習スタジオは秋葉原でした。
キーボードは持っていなかったので
家のピアノで練習して
スタジオの鍵盤をレンタルしました。



初めて
音合わせした感想。



「??????」


「??????^ ^」


「??????(T-T)」



私は
スタジオに入って
せーので演奏したら
CD音源のようなサウンドが聴こえてくるのだろうとか
最初思っていました。

ですが
違いました。

今では、
そんなことはない笑
とわかるのですが。



音が重なりあった塊みたいなものが
うわっ!と
脳内に入ってきたような感覚

自分が何を弾いているか聴こえないし
周りも何か弾いているけど
よくわからない…

1曲目終わったところで
呆然として

「今のは
なんだった…
あ、もしかして
自分キーボードの音出てない…?」

鍵盤をポンと押してみると

「ビャー!」と 
オルガンがけたたましく鳴りました。

「いやいやいや
音出てるわ…」




* * * * * * * * * * *



その後の記憶はあまりなく

練習後は、先輩とメンバーさんと
居酒屋へ行きました。

すると先輩が

「やっぱりキーボードあると良いね!
音の厚みが出るよね!
もちろん加入だよね?
私あの曲やりたいんだよね〜」


…?!

先輩の耳には
何が聴こえていたの…?

私の耳には音の塊しか
聴こえなかったんですが…


しかし
見ると
周りのメンバーもニコニコしている

あれ、
今日のでよかったんだ…と

自分に言い聞かせた気がします。


ですが
スタジオでの音合わせの難しさは
それが最期ではなく
始まりでした




終電近くまで飲んで、
これからあれやりたいとかこれやりたい
みたいな話題で盛り上がって

秋葉原の路上のど真ん中で
先輩、メンバーさんと
輪になって話して

なんだか楽しくて
青春みたいだなぁ…と
一人 感じていました

20代後半にやってきた青春



その2ヶ月後に私は
キーボードを買いました


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