THE MANZAI 2023 マスターズ感想
THE MANZAIというと、スポンサーは日清というイメージがあって、博多華大が「優勝してもどん兵衛10年分」というネタをやっていたが、それはもう10年近く前の話である。
今は日清ではなく、アサヒビールがメインスポンサーのようだ。M-1のような賞レースではない。もうすでに漫才師としてベテランの実力あるコンビしか出場していない。あと、M-1のワイルドカード枠のような出場を掛けたプレマスターズというものがある。今年はさすらいラビーという若手のコンビが勝ち上がっていた。
各組の簡単な感想を記そうと思う。
ネタ感想一覧
アンタッチャブル
もし娘が将来彼氏を連れてきたら?というネタだが、柴田さんの過去のトラウマを蒸し返しまくっていて、素直に芸人さんって大変だなと思った。ネタとして笑いにする事で、柴田さんのトラウマが軽くなるなら、それでいいけれど、あの出来事は普通にあり得ないくらいの酷い案件だから、こちらは素直に笑い切れなかった。
サンドウィッチマン
サンドウィッチマンの真骨頂であるコント漫才。相変わらず富澤さんがズレた事を言い続けて、伊達さんがその都度テンポ良くツッコミまくるスタイル。今回は飛行機のCAとお客さんだったが、安定して面白かった。
タカアンドトシ
コロナ明けて、久々に実家に帰ったらというネタだった。テンポが良いしゃべくりでタカトシのトレードマークである「欧米か!」が久々に聞けて楽しかった。
NON STYLE
公園で野球が中止になって、雷親父がいなくなるってネタ。井上さんのおかきを食べる「バリボリバリボリ」という音は確かに癖になる。何度もやる事で中毒性を持たせようとするリズムネタみたいだった。
さすらいラビー
マッチングアプリで知り合った男女の話。そういえば、M1の予選でもマッチングアプリネタは結構あった。旬ネタなんだろう。男の方が畳みかけるように話して、女を追い詰めていくのだが、ボケの方が身長が高くて、ツッコミの方が低い凸凹コンビなので、余計、狂気的な迫力が満ちていた、視覚的に怖かった……。狂気っぽいネタが好きな人向け。
銀シャリ
熊を退治したという話。熊注意の看板に熊が寄り掛かっていて、「LINEスタンプか!」っていうのが面白かった。銀シャリもめちゃくちゃベテランだとは思うが、若い子にもウケるように常に流行りとかを研究しているんだろうなと感じた。確かにTHE MANZAIの観客席は若い女の子が圧倒的に多い。
おぎやはぎ
活舌の悪さを何とかする為にと言いながら、2人とも何か変な声と喋り方になっていた。言葉は聞きやすくなっていたが、圧倒的に喋り方と声が変だったので私は生理的にアレだなー。ネットニュースでも叩かれていたが、漫才は人の好みだから、面白いと思う人がいれば別にいいとは思う。
千鳥
大吾さんが、「ジョニー・デップはひげ生えてる時は生えているけど、生えてない時は生えていない」という当たり前の事を広げたり、戻したりしていく。大吾ワールドは独特過ぎて、やっぱり「癖が強すぎる」
海原やすよ ともこ
正統派上方漫才。私は初めてネタを見た。コロナ渦あるあるネタや流行りの「知らんけど」を取り上げていた。「知らんけど」の関西視点の話が興味深い。女性同士の漫才師では、大御所なだけあって、テンポの良いしゃべくりで、さすが貫禄あるなと感じた。
フットボールアワー
畳みかけるように「~を入れんでもええ」という小ネタを繰り返していた。テンポが良くて楽しめた。岩尾さん、早く結婚出来るといいのにね。
錦鯉
ボケの長谷川さんが、彼女のお父さんに挨拶に行く練習のネタ。このネタも漫才で非常に多い。作りやすいのだろうか? 渡辺さんが長谷川さんのハゲ頭を何度も何度も叩くのだが、その度にペチペチ音がして痛そう。たけしさんが「あいつら上手いか下手分かんない」って言っていたが同意見だ。でも、不思議と笑ってしまう。
ウエストランド
井口さんが腹立ちたくて(何だそりゃ)全方向に噛みついていく。自分がグチグチ言っているのに、そういう奴がダメなんだと自分のシチュエーションにも噛みつく。途中から、ツッコミの河本さんがお題のようにワードを言うと、それに対して文句を言い続けていく。これは人を傷付ける漫才ではなく、井口さんの滑稽なキレ芸だと思う。何故か面白い。
パンクブーブー
前のウエストランドに続いて、腹立って文句を言っていくネタ。ウエストランドは熱量が井口さん9 河本さん1のところ、パンクブーブーは綺麗に五分五分な気がした。もちろん、こっちが正統派なんだろう。
ギャロップ
歌手に比べて、漫才師が不遇というネタ。流れるような正統派しゃべくり漫才だった。一定のテンポを徹底的に保ち、嚙む事も全くなく、熟練の技を感じた。THE SECONDの初代王者というのを知って納得。
マジカルラブリー
車に轢かれそうな子と助けたいというネタ。不思議な野田ワールド。同じボケを繰り返していき、ツッコミがキレるという典型的なコント漫才だとは思う。私はあんまりハマらなかった。
テンダラー
ハワイ旅行に行く飛行機内のネタ。行き先に遠回りしてから行くとか、サンドウィッチマンとネタが被ってしまった感があるが、テンポも良くストーリーも面白かった。サンドイッチマンの富澤さんのボケがセリフズレ(シートベルトをシューベルトとか)だとすると、こちらのボケは、セリフは全然おかしくないが、何でこんな事が起きるんだ!(エコノミーがたった1人とか)というシチュエーションズレだと思う。
かまいたち
山内さんが観ていない映画の「ビンテージTシャツ」を買ってネットで叩かれたというネタ。濱家さんの正論に山内さんが逆切れしながら屁理屈で返していくというスタイル。私は山内さんが逆キレ散らかしていく「UFJ・USJ」ネタが苦手だが、これは比較的マイルドに作られていて面白かった。
中川家
テレビのグルメ特集をネタにしていた。中川家のネタはあまり見た事なかったが、動きがとても激しかった。しゃべくり漫才かと思ったらコント漫才だった。小ネタの挟み方やワードセンスが良かった。
ナイツ
今年事件や話題を起こした人の事を、ボケの塙さんが自分で起こした事と思い込むというネタ。ナイツが得意な時事ネタを上手く落とし込む方法を思いついたなと感心した。
霜降り明星
お互いの不満をバーッと捲し立てて、その間、片方はジーッと黙っている。最後は喧嘩になるんだが、珍しいスタイルだなと思った。せいやさんの黒歴史を掘り返されていて気の毒だったが、それがお笑いなんだろう。
笑い飯
理科の先生あるある。理科の先生が理科の授業に使う備品を使って、変な事をしていくというネタ。ツッコミとボケを交代しながらやっていくというダブルボケスタイル。両方ツッコミもボケも出来るのは凄いと感じた。
博多華丸・大吉
おじさん芸人が増えてきて、おじさんネタが被るので、先取りしておじいさんになろうというネタ。とは言いつつ、おじいさんのように穏やかにはなれないので、結局はおじさんあるあるネタになっている。最後は今年流行りの「ひき肉です」をボケの華丸さんにやってみてというのだが、おじさんの屁理屈ばかりこねて、結局やらず。華丸さんのおじさんキャラはいつも頑固にブレない。それが面白い。
爆笑問題
太田さんがネタ始まる前に観客前列に飛び込むのがお約束なのか、MCのナイナイとたけしさんが「前の方の人注意して下さい」と警告しているのがめちゃくちゃウケた。ネタの方は、安定の時事ネタで上手いと思った。今ではほとんどネタやる暇なんてないのに。同じ時事ネタ漫才のナイツとネタが被り文句言っているのが、いかにもドリーム企画だなと思った。凄く面白かった。
最後に
M-1グランプリ予選を沢山観たせいか、ベテラン漫才師の上手さが際立って分かった。
規定の時間内で、緊張をせずに同じテンポ、声の大きさを保ちながら、カンペを見ずに滑舌良く、尚且つ噛まずに喋り続けるという漫才なら当たり前の事だが、それは決して誰にでも出来る「当たり前」ではない。
沢山練習して、舞台を踏んで初めて成し得る職人技なんだと改めて思った。
THE MANZAIなかなか面白かった。年末にしか観られないのが残念。年始にもお笑いネタをやる事が多いので、来年の年始は観てみようと思う (いつもスルーだった)
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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