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青春 YAH YAH YAH
突発的だが、今回は女子高時代の話をしようと思う。何故、突然これを書こうと思ったかは最後に記す。
女子高時代というと目眩がするほど遥か昔だ。古の記憶というのは年を追うごとに曖昧になっていく。その中で恋までたどり着けなかった甘酸っぱい青春の思い出がたった1つだけあった。
うちは女子高だったが、同じ市内にある駅を挟んで向こう側にある高校は共学校だった。当時、県内には男子校の近くには大抵女子高があり、体育祭や文化祭など多々交流があるとの噂を聞いたが、女子高に対して共学ではなかなかそれも叶わず。しかも、相手の共学校は偏差値のレベルも2段階くらい上だったので相手にされるはずもない。
ぶっちゃけた話をすると、私の世代は今と大きく違い、子供の数も非常に多くて受験戦争が非常に厳しかった。競争率が激しい中、ランクを落とした安全牌の高校しか受験が許されなかった。私も本当は行きたい共学高があったが、保身的な担任の先生から無理やりこの女子高を勧められたので、仕方なく受けて受かったので通う事にした。
うちの女子高は私みたいな無理やり希望校を変えられて自虐的になっている生徒、もしくは本当に勉強が嫌いなヤンキーまがいしかいなかった。
「好きでこんな学校に来た訳じゃない。どうせ、私達は勉強が出来ないダメな奴らなんだ」
学校全体がそんな荒んだムードで、真面目な生徒も不良な生徒も、誰もかれも愛校心なんて持っていなかった。
授業をまともに受けない、掃除もろくにしなくて教室の後ろにゴミが積んである学級崩壊状態のクラスもあったし、八つ当たり的に陰湿なイジメを受けている新人女先生もいた。
そんな状態だったので、学校の行事関係もみんな冷めていてやる気がゼロに近かった。いかにしてサボって楽するかばかり考えている生徒がほとんどだったので、他校との交流をしようという生徒側の自主的で前向きな動きなんてある訳がない。
私はそんな荒れ放題の底辺女子高で、図書委員の副委員長になった。今と同じく小心者でポンコツな私が何故そんな役職に就いたのか。多分、図書室に良く通っていたので、司書の先生と仲良くなり頼まれたんだと思う(うろ覚え)
図書委員は他の委員とは違い、他校との交流があった。
確か毎月のように他校との「読書会」があった。そして、年に1回、更に規模が大きい「読書交流会」があった。
その「読書交流会」の運営委員は、県北地区の公立高校の図書委員長、副委員長達だった。企画を考えたり、時にはディスカッションもしたりした。有名進学校の人達も混じっていたので、底辺女子高である私はその場にいるのも気まずくて恥ずかしかった。
進学校の勇者達は、さすが頭の回転が早くてスイスイ企画の案を出していく。余裕綽々とユーモアを交えながら堂々と話す様子に、隣にいるうちの委員長と「はぁーすごいね……」という感じに顔を合わせてアイコンタクトを送りながら、その様子をボーッと見ていた。
そんな運営委員の中に、前記した同じ市内で駅を挟んだ共学校の図書委員長と副委員長がいた。
一応、同じ市内の高校のよしみで真っ先に「あーどーもどーも」というノリで、挨拶を交わした。そこに隣町の高校の委員長達も混じって、一緒のグループで仲良く作業をしていた。
その共学校の委員長は運営委員長に就任していた。その選出方法が立候補だったか、他薦か、毎年の持ち回り制かは全く記憶がないが。
運営委員長は、とにかく真面目そうな男子だった。言うならば「四角四面」真面目というイメージが強い図書委員が沢山集まる「読書交流会」の運営委員長という肩書きにはピッタリな人だった。
「読書交流会」の準備が進み、いざ当日。
予定されていた企画が全て終わった。最後の運営委員長からの挨拶で突如、異変が起こった。
運営委員長と同じ共学校の副委員長が2人で、いきなり席を外して、戻ってきたと思ったら……。
制服からラフなオーバーオールに着替えて、いきなりラジカセを掛けて「みんなのうた」を歌い踊り出した。
彼らの完全なサプライズで、他の運営委員は誰も聞かされてなかった(確か)
騒然とする場内。
なんといっても、それまでは真面目な「読書交流会」であり、サザンでお祭り騒ぎになる要素なんてゼロだった。
あまりに突然だったが、歌が進んで生徒達からは掛け声も飛んだりしてそれなりに盛り上がった。
これぞ、The青春。
このサプライズを、あの「四角四面」な運営委員長が考えたんだと思ったら、ギャップで面白すぎてちょい惚れした(元々、少し気にはなっていた)
しかし、後で聞いた話だとお堅い司書の先生達はかなり怒っていたとのことで。それもまあ青春か。
この「読書交流会」の後、そのちょい惚れした運営委員長と電車で一緒に帰る事になった。何と偶然だが地元も一緒だった。電車の中で何を話したかは全く覚えていない。
最寄り駅で2人で電車を降りて、駅の西口と東口に別れる寸前に彼が何か言いかけた気がしたが、まだ人生で誰とも付き合った事のない超ウブだった私は急に恥ずかしくなりみなまで聞かずに「お疲れ様でしたー!」と去ってしまった。もしかしたら、お茶にでも誘おうとしていたのかもしれない。いや、四角四面な人だったからそれはないか。
後日談だが、うちの委員長と共学校の副委員長がその「読書交流会」の後から付き合ったとか。なんでやねん!!! もし、私と委員長が付き合えばミラクルだったのか。
これが女子高時代で唯一の恋未満の淡い思い出。今思えば、一生の不覚の始まり。
※タイトルの「YAH YAH YAH」は、今日会社でチャゲアスの「YAH YAH YAH」が掛かっていて、それがこの記事の「読書交流会」でのサプライズ曲だと勘違いしていた。「YAH YAH YAH」の発売年は、すでに女子校を卒業していたというオチ。違う曲を聞いて、懐かしいなと思い出す青春の記憶なんて、悲しいくらいにいい加減で曖昧。語呂が良かったので、違う曲だけれど、そのまま使いました。
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![春原美桜(miosuhara)](https://assets.st-note.com/poc-image/manual/preset_user_image/production/i95512d5b9b0a.jpg?width=600&crop=1:1,smart)