変わらないことなんて、ない。
我が家の隣は
引っ越してきてからずっと
駐車場だったのですが、
最近ついに販売され
買い手が見つかり
注文住宅が建つことになりました。
10年間、大切に育ててきた
私の背丈より大きな2種類のバラも、
もう今年で最後かもしれません。
隣の家が建てば
うまく剪定などのお世話が
できなくなってしまうので。
(実は今まで
敷地外のがらんどうの駐車場に入って
お世話していました😅)
日も当たらなくなるので
枯れてしまうかもしれません。
残念だけど
仕方がないですね。
きっと我が家が立った時も
反対の隣の家は
日が当たらなくなって、
また工事などで
多少なりとも
嫌な思いをしたでしょうから
お互い様です。
ゆうべのことです。
玄関のチャイムが鳴ったので出てみると、
近隣の職人風情の
如何にも江戸っ子という印象がある
おじいさんが、
あまり似合わないような洋風の
ハイカラな紙袋を持って
立っていました。
道を鏡文字のLに見立てて
Lの横棒の真ん中に
我が家があるとすれば、
そのおじいさんは
縦棒の下から3軒先に
住んでいます。
「あたしたちは今月末で
引っ越すことになったんですよ。
お世話になりましたね。」
あまりのことに
なんだか涙が出そうになりました。
このおじいさんは
菊を育てるのがご趣味で
毎年背の高い
それは立派な菊を何本も
育てていました。
私は思わず触りたくなるような
その大きくて立派な菊を見るのが
大好きでした。
家の前には菊の他にも
様々な季節の花を飾り
行き交う人の目を
楽しませてくれていました。
もうご隠居されているようで、
真夏の炎天下でも
真冬の木枯らしが吹くような日でも
外に出て
近所の道端にずっと立たれていることが
多かったので、
ダンナとよくこんな
話をしていました。
「おじいさんのおかげで
近隣の治安が良くなってるよね。
防犯になるし。」
「ああ、あのおじいさん
見た目怖そうだもんね」
6歳チビが産まれた時から
奥さまと共に
チビを可愛がってくれて、
チビもとてもよく
懐いています。
今年の夏は特に
暑かったので、
我が家の朝顔やプチトマトに
誰もいない夕方
水をやってくれていました。
私が薔薇や野菜の世話をしていると
近くにやって来られて
世間話をしてくれました。
洗濯物を干している日
小雨が降ると
ピンポ〜ン!とチャイムが鳴って
「奥さん、雨だよ!」と
教えてくれるのも
このおじいさんです。
「あたしの隣の家も
来年の6月までに
引っ越すんですよ。
我が家も、お隣も
借地権満了ってヤツでね」
一軒家を2軒、潰してしまうのか。
方や、我が家のお隣は
工事中。
だいぶ近所の様子が
変わってしまいますね。
「先生、就職決まったよ。
ホテルのフロント」
「私はアパレルで内定が
取れました。
来月大阪に引っ越します。
この間、マンションを見てきました」
そうか、
あなた達とも
もうすぐお別れですね。
いつもと同じ風景で
いつもと同じ顔ぶれが
日々の忙しさにかまけて
当たり前のことのように
感じてしまうけれど、
変わらないことなんてない。
良い出逢いをありがとう。
幸せなあったかい日々を
今まで当然のことの様に
送らせてくれて、
ありがとう。
「隣に建つ家は
結構な広さだし
注文住宅だから
5000万円は下らないよ。
だから、それなりに
品の良い人が来るだろうから
その点は安心だろうね。」
おじいさんとのお別れに
落ち込んでいる
私を慰めるように
ダンナが言いました。
そうか、
私のように(???)
超絶高貴でUSCBな
奥さまがいらっしゃって
おまけにその
超絶美女な娘さんは
チビと同い年で
幼馴染になって、
憧れの幼馴染婚をしちゃう
可能性もある訳ですね‼︎
逆玉の輿、ですね‼︎
おじいさんから頂いたものは
最先端を行くようなお洒落な
ベイクドティラミスでした。
貰った瞬間から気になって
袋のまわりをうろちょろしていた
チビは、
それを頬張るなり一言。
「おれ、これぜんぶたべたい‼︎」
洋菓子が基本的に
苦手なチビも
これは気に入ったようです。
お別れの意味が
分かっているのかな。
もう少しで7歳になる
幸せな息子に
少し癒された夜でした。