『方法詩』をやってみよう
方法詩とは篠原資明先生が提唱した詩の形態の1つであり、新たな型を自ら提唱し、その型に即して詩を作るものです。
言葉を自由に紡いで作られる自由詩が、その自由さを享受しすぎたあまりに陳腐と化したことを受けて提唱された、新しい詩の行きかたとされています。
代表的なものには、同先生が実践されている『超絶短詩』があります。
これは、ひとつの語句を 間投詞+単語に分解した形で構成される詩です。
例)『哲学者』=『鉄が くしゃ』
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この方法詩、自らが型を提案することに意味があります。
見方を変えれば、最初から読んでも最後から読んでも同じひらがなの羅列となる『回文』も、ある種の方法詩と呼べるでしょう。
方法詩、私もやってみたい。
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私が提唱する型は、韻に関するもの。
『すべて同じ母音の言葉で文を作る』というものです。
撥音は利用不可、長音符と促音はワイルドカードとして扱います。
さっそく、いくつか詠んでみましょう。
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(行ごとに一篇)
さわやかな朝だ。貴女はさらさらな肌だった。
山肌は赤らかだったが、花はまだ咲かなかった。
あっ、花束かな。傍からあからさまな、あなた。からだがざわざわ。
日に日にニキビ、美に危機意識。
身にみっちり知識、生き字引。
プール浮く、宇宙浮遊。
腹部、狂う苦痛。集中する。救急くる。手術。
レゲエでへべれけ。ねえ、せめて寝てて。
おっ、祖母のお琴。ところどころボロボロ。子供のころの音。置こ。
物音。外をとぼとぼ、よそ者の男と、夫の六個の桃。コソ泥?心もそぞろ。
そろそろ午後のロードショー。この男の子、大御所の子供の頃よ。
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今回は『文章の母音をそろえる』という、誰かがもうやっていそうな形式ですが、
いざやってみると普段使わない語彙の探し方をするところに新鮮さを感じますね。
あなたも自分なりの形式で詩を作ってみませんか。