屋上同好会とエトセトラ(3-1)
俺の名は"絹亜 真一(きぬあ しんいち)"。
この"私立世界高等学園"に通う"超イケメン"で"超高身長"で"超ハイスペック"な三年生だ。
俺が歩けば周りの女子達はもれなく群れになる。
"きゃー!絹亜センパーイ!"
"今日も格好イイー!"
"名前がキ◯ヌに似てるわー!"
今日も今日とて、学園の女子達は俺に釘付け。だが悪いな、俺には愛すべき"彼女"がいるんだ。
「おはようございます、真一さん。」
「あぁ、おはよう、蜜柑。」
彼女の名前は"箱入 蜜柑(はこいり みかん)"。超がつくほどの美少女で、超がつくほどの金持ちで、超がつくほどのハイスペックな二年生だ。
この超ハイスペックと超ハイスペック同士でお付き合いさせてもらってるんでね、俺は他の子猫ちゃんには目移りしないのさ。
…と、言いたいところ、なのだが。
最近悩みがある。
それは、一つ学年が下の…つまり、蜜柑の友達の事だ。
そいつの名前は確か、"海乃 桃"とかいう奴で、蜜柑よりも20センチは身長が高く、目つきもキッとしている、感じの悪い奴だ。
まあそんな女でも、俺に寄ってくるだろう。と、そう思った俺は、ある日その海乃とかいう奴に近づいたのさ。
「やあ、おはよう。」
すると。
「あ、ロリコン。」
という一言が返ってきた。
え?なんで?俺が?ロリコン?いやいやいやいや、別に蜜柑は幼女じゃないし。一つ下ってだけで、たしかに童顔で背も小さくて胸も…いやとにかく、蜜柑は幼女じゃない。即ち俺もロリコンじゃ無い。なので…
「はッ、俺が?俺のどこがロリコンなんだ?」
って訊いてやった。
すると。
「いや気づけよスケコマシ。」
という、これまた辛辣な一言が返ってきた。
スケコマシ?俺が?いやいやいや、俺モテてるだけだから。なんか異常に、非常モテてるだけだから。それだけだから。決してあわよくば5股くらい……とかは思ってないから。決して、断じて。
と、いう事で、それを言ってやったんだ。
「ま、俺がモテてるって言いたいんだろ?いいんだぜ、俺は誰だってウェルカムさ…」
すると。
「死ね。」
という、シンプルな一言が返ってきた。
死ねて。ただの暴言になってるからねキミそれ。というかなにその鋭い目。完全に獲物を狩る恐竜が何かしらの目なのよそれ。すっげぇ怖いのよ。
なので…
「蜜柑〜…」
「あら、どうしましたの?膝枕なんか…」
「なんか……心折れそう…………」
「あらあら……」
今日も蜜柑に甘えるのである。あ〜イイ匂い。
しかしまぁ……このまま終わるわけにはいかない。
なぜならば、俺は常に女子からモテていなければならないからだ。しかもこの学園に居る全員の。
即ち、あの海乃とかいう奴も、振り向かせねばならないのだ。
「ぐむむむむ……」
〜一方、屋上では。〜
「あの、先輩。」
「ん?」
「あの、絹亜とかいう変態、いるじゃないッスか。」
「あぁ、あのすごいモテてる…変態かどうかは知んないけどさ…」
「あれ、警察呼んだ方がいいッスかね。」
「いやなにがあったの…」